『哲学するベートーヴェン』伊藤貴雄・著(KOUDANSHA)【選書・文化】

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『哲学するベートーヴェン  カント宇宙論から《第九》へ (講談社選書メチエ 824)』

簡単レビュー

「われらが内なる道徳法則と、われらが上なる星輝く天空! カント!!!」
1820年、49歳のベートーヴェンは筆談用のノートにこう記した。

《第九》初演のおよそ4年前にあたる。

ここに引用されているのは、ほかならぬカントの『実践理性批判』の結語の一部だが、少しアレンジされている。

そのアレンジは、なぜ生じたのか。そしてベートーヴェンのこの感激は、何を物語るのか――。

その問いは《第九》に込められたベートーヴェンの思いへとつながっていく。


若き日にはボン大学で講義を聴講していたこともあるベートーヴェンと、彼を取り巻く文化的・社会的文脈から《第九》を生んだドイツの時代精神を描き出す意欲作だ、

ベートーヴェン(1770-1827)が生きた時代のドイツ語圏には、ゲーテをはじめヘーゲル、シラー、フィヒテ、シェリングと綺羅星のごとき知性がいた。そのなかでひときわ大きく強い輝きを放ったのが、巨星イマヌエル・カント(1724-1804年)である。


天文学と神学、そして音楽がまだかろうじてつながりを保っていた18世紀後半にあってカントの哲学は、ベートーヴェンの音楽にも大きな影響を及ぼした。哲学と音楽、それぞれの領域でドイツを代表するといっても過言ではない二人が、これほど近接した時を生きたことにこそ、《第九》誕生の秘密はあった。


若き日、ボン大学で講義を聴講していたベートーヴェンに遡り、やがて訪れる「苦悩を突き抜けて歓喜へ」と至る道筋を追いながら、有名無名さまざまな人的・知的交流の網の目を丹念に浮かび上がらせることで「知の歴史」を描くこれまでにない試み。

もくじ
プロローグ
第1講 啓蒙都市ボン
第2講 ボン大学の教授たち(その1)
第3講 ボン大学の教授たち(その2)
第4講 皇帝カンター第5講 歓喜に寄す
第6講 無限と宇宙
第7講 シラーとカント
第8講 危機の時代
第9講 歌劇《レオノーレ》
第10講 苦悩を突き抜けて歓喜へ
第11講 カント宇宙論に挑む
第12講 会話帳をめぐる問い
第13講 星空のエチカ
第14講 第九交響曲
エピローグ

            ★★★

音楽大学に通ってた時に出ていたら、手に取りわりと本気で読みふけったのではなかろうか?

そんな、音楽の巨匠と哲学のマリアージュ?!な一冊。

音大時代に、初歩の哲学を授業で取ったが、浅い知識がお好みだった(笑)から、本格的な哲学みたいな授業に、あまり興味が湧かなかった。

哲学の授業の90分は、一体何をしていたのか?と言えば、1に睡眠!2に睡眠・・・(笑)

余った時間で、当時大好きだったユーミンのあらゆる楽曲を五線譜に書き表わして歌詞をつけて遊んでいたっけ。

ただ、耳だけは授業を聞いているので、最低線の内容は覚えていた。マルチタスクな自分に少々己惚れていた頃の話。

例えば、佐久間象山の幕末の教えとか、今回のカントとは?とか国内外の哲学者を中心に、哲学という教えの入口をサラッと学んだことを覚えている。(時系列ではなかったような)

『哲学するベートーヴェン』なんとも響きが素敵な一書。夫の部屋にあったので拝借してきた。

ベートーヴェンの楽曲に触れ続けてきたし、これからも年末には必ず『第9』を聴いて年越しするだろう。

そんな、楽曲の裏話をこれまで知る良しもなかったから、この夏はいっちょ、「哲学」でも読み込んでみようか!と、ねじり鉢巻き中よ(笑)

まあ、読了はOKでしょう!ただ理解できるのかは無限(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月28日記事

『SunTAMA Style』2021年7月28日記事

『SunTAMA Style』2022年7月28日記事

『SunTAMA Style』2023年7月28日記事

『忘れる読書』落合陽一・著(PHP新書)【選書・自己啓発】

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簡単レビュー

ディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など多彩に活躍する著者、落合陽一氏。

時代の先端を行く著者の思考の源は、実は読書で培われたという。それは、読んだ内容を血肉にするための「忘れる読書」だ。

デジタル時代に「持続可能な教養」を身につけるために必要なのは読書だと、著者は断言する。

本書では、古典から哲学、経済書、理工書、文学に至るまで、著者の思考を形作った書籍を多数紹介し、その内容や読み解き方を詳説する。

著者独自の読書法はもちろん、本の読み解きを通して現代社会を生き抜く思考法までが学べる、知的興奮に溢れる一冊。 

もくじ

第1章 持続可能な教養――新しい時代の読書法

第2章 忘れるために、本を読む

第3章 本で思考のフレームを磨け

第4章 「較べ読み」で捉えるテクノロジーと世界

第5章 「日本」と我々を更新(アップデート)する読書

第6章 感性を磨く読書

第7章 読書で自分の「熱」を探せ

                 ★★★

最近、気づいたことがある。

わたしは「X」に書籍専門のアカントを開設している。(現在、フォロワー3265人)

書籍専門だから、日常的な記事やつぶやきをアップすることはない。

もっぱらブログの選書記事を載せているだけなんだけれど、書籍の紹介記事はたくさんの人々に立ち止まって見て頂けているなあ・・・と率直に感じている。

インプレッションという「記事の立ち見」数がどんどん増えているのを実感している最中だ。(だいたい1記事200~300ぐらい)

そうそう、最近では書店にも人が戻ってきているのも実感中よ。

話をSNSに戻そう。

会話を目的としていない、書籍を紹介するアカウントだから、本当の「本好き」が集まってきているのだろう。

この書籍専門アカウント(旧Twitterから)も、もう10年続いている。

これまでもこの先も、ブログ同様に、ずっと変わらないわたしの表現のひとつだ。

書籍専門と謳っているだけに、本が好きな人が続々と集まってくるとさらに嬉しいし、良い本を紹介する!というミッションの励みにもなる。

今回紹介した、落合陽一氏の『忘れる読書』もとても良質な一書。

多読・乱読・積読(笑)の著者ならではの「本との向き合い方」ががっつりと書かれている。

学者としての視点・論点も相変わらずだが、たまには少し難し目な書籍もいい刺激になる。

大人の夏休み前にぜひ、読んでみて!

というわけで、本がもたらすSNSの話をちょこっと、書いてみた。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月18日記事

『SunTAMA Style』2021年7月18日記事


『SunTAMA Style』2022年7月18日記事

『みいこStyle』2018年7月18日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/19866756.html 「令和新時代はお財布小さめで!」

『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)【選書・文化】

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『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)

簡単レビュー

若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った――。
殺人×グルメが濃厚に融合した、柚木麻子の新境地にして集大成。
各紙誌で大絶賛の渾身作がついに文庫化!!

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

本作着想の根底には、世に知られた事件があったのは確かだ。しかし物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される。進路を定めた羅針盤こそ、「女性同士の友情と信頼」である。
山本一力(本書解説より)

               ★★★

この小説を知ったのは、つい最近のこと。

書店等に一斉に並んだ「文庫」の表紙が強烈だったことから。

イギリスで話題になり、ハードカバーの売れ行きが良かったことから、8年前初版の小説が文庫化されたそうだ。

業界の勢いをも感じた。

営業先への車の中で、FM東京を良く聴いているのだが、たぶん20代後半であろう、女性パーソナリティが、「今、BUTTERという小説を読んでる・・・」と。

ふっと漏らしたつぶやきだったが、わたしは、すぐに「はは~ん!あの表紙の小説か!」と思い出せるほど、印象的な表紙だったわけ。

そんなに、なぜか目立つし、かなりの勢いを持つ小説を読まない手なはいと、ハードカバーを手に入れた。

しかし、仕事と万博の準備に追われて、やっと今週から読み始めてみた。

「ああ~~、なんとなくわかるわ」的な内容だったが、ミステリーがかった、連続する「小さな突き詰められた恐怖」を感じる作品だった。

それのどこに、若き女性を惹きつけるのか?その由縁を知りたかった。

木嶋佳苗の首都圏連続不審死事件をモデルにした小説だ。若い女性たちがそんなに殺人事件に興味があるとは思えず。

あるとすれば、「様々なバターを使った美味しそうな料理が登場する」ので食べたくなってしまうという読者感情だろうと推測した。

バター醤油ご飯にしばらくハマりそうだし(笑)

一時、バターが市場から消えて、スーパーでも「お一人様1個」などと書かれたPOPを見たことある人も多いだろう。

そのぐらいバターという食べ物には「欲求・欲望」みたいな物がひた隠しにされているように感じる。

バターは欲望のメタファーだ。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月4日記事

『SunTAMA Style』2021年7月4日記事

『SunTAMA Style』2022年7月4日記事

『Life Tour21st』2017年7月4日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066719368.html 「未来の自分をイメージする」

『生産者さんだから知っている そのままおいしい野菜の食べ方』食べチョク・著(KADOKAWA)【選書・文化】

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生産者さんだから知っている そのままおいしい野菜の食べ方』食べチョク・著

簡単レビュー

録生産者9500軒、日本一の産地直販サイト『食べチョク』さんに聞いた野菜の本。

旬の時期、 おいしいものの見分け方、栄養、長持ちする保存方法、注目の銘柄、新しい野菜、素材の 味をたのしむシンプルで意外な食べ方……など。

野菜について知りたいことがすべて分かる野菜本の決定版。 

もくじ

食べチョクで通年人気の野菜&果物(トマト;じゃがいも ほか)
春に食べたい野菜&果物(アスパラガス;えんどう豆 ほか)
夏に食べたい野菜&果物(枝豆;オクラ ほか)
秋に食べたい野菜&果物(かぼちゃ;菊いも ほか)
冬に食べたい野菜&果物(かぶ;カリフラワー・ブロッコリー ほか)

               ★★★

生産者さんだから知っている そのままおいしい野菜の食べ方

料理が面倒、忙しくて料理をする暇がない、そもそも料理が苦手……でも、野菜はちゃんと食べたい! そんな人におすすめなのが今回の書籍。

旬の時期や、新鮮なものの見分け方、栄養、長持ちする保存方法、おいしく食べるためのコツなど、なるべく料理せず、ラクにおいしく野菜を食べる方法を多数紹介している。

今年のベストセラー。

 健康のために野菜や果物を食べたいけど料理は面倒、すぐダメになるなど、結局野菜をあまり食べられないなら、野菜を大切に育てている生産者さんの情報を参考にしてみて。

旬の時期、栄養素、選び方、保存法……など、ちょっとした知識があれば、体にいいものを驚くほど手軽においしく食べることができる!

我が家では、夫の食事療法以前から、毎週、総合卸売センター内の八百屋で大量に野菜を仕込んできた。

上の写真の買い物は冬場に市場で購入したものを撮っておいた一枚。

野菜9点、卵2パック、明太サワークリームでしめて、1762円!この安さを求めて毎週通っている。

八王子綜合卸売りセンター
東京都八王子市北野町584−30
https://sogo-ichiba.com/

夏野菜、本番!美味しく元気に食べたいね!

こんな野菜の本を読んで、脱マンネリしよう!

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年6月18日記事

『SunTAMA Style』2021年6月18日記事

『SunTAMA Style』2023年6月18日記事

『60代からの見た目の壁』和田秀樹・著(株式会社エクスナレッジ)【選書・文化】

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『60代からの見た目の壁』和田秀樹・著(株式会社エクスナレッジ)

簡単レビュー

60代は「見た目老化の分かれ道」

60代なのに40代に見られる人と、80代に見られる人の違いはいったいなんなのか?!

60代からは「見た目が10割」のポイントはこれ!
・見た目は寿命の長さにも影響する
・粗食は見た目年齢を上げ、健康も損なう
・65歳過ぎたら「健康至上主義」と決別せよ
・知性こそ見た目を引き立てる妙薬

どうせあと数十年しか生きられないのだから、
おしゃれして、お化粧して、人生をいっぱい楽しまないと損!
その意欲こそが、見た目年齢の壁を打ち破る秘訣なのだと著者は語る。

もくじ
1章  見た目年齢の格差はなぜ起こるのか
2章  見た目年齢若返りはおしゃれから
3章 見た目年齢が若返る食べもの
4章  知性がないと見た目は若返らない
5章 見た目をかっこよくする生き方

著者プロフィール
和田秀樹(わだ・ひでき) 1960年大阪市生まれ。1985年東京大学医学部卒業。東京大学医学部付属病院精神神経科、老人科、神経内科にて研修、
国立水戸病院神経内科および救命救急センターレジデント、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国、カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、
高齢者専門の総合病院でもある浴風会病院の精神科を経て、現在、日本大学常務理事、川崎幸病院精神科顧問、一橋大学経済学部・東京医科歯科大学非常勤講師、立命館大学生命科学部特位教授。
著書に『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『80歳の壁』『70歳の正解』(以上、幻冬舎新書)、『老害の壁』(エクスナレッジ)など多数。

             ★★★

すごいタイトルの書籍を紹介している。

本書で見た目の筆頭に上げられている、「サザエさん」のお父さん、磯野浪平の年齢って知ってる?

設定年齢57歳!

でも禿茶瓶で、髪は1本。ちょっとあまりにも現実離れしてない?

それでも、劇中では現役サラリーマンだ。

植木等の時代じゃあるまいし。(そうそう、植木等の「ニッポン無責任時代」シリーズで代表的な「無責任男」では彼は大卒で、気づいたら出世していたと・笑)

磯野浪平と奥さんのふねさん、家では着物だし。見た目だけでなく生活スタイルがまったく違うし。ああいった、姿形が高齢者だと思う人は少ないだろう。

しかし、長年のTVの刷り込み作業によって、本当に自分がどれほどステレオタイプなのかな・・・っと、今回の本を読んで強烈に感じた次第。

ま、「サザエさん」は作品の一つだと思っているけれど。(実際には、まわりにああいった家族はいない)

              ★

さて、わたしが毎月、オンラインで参加OKな営業部・部会議にリアルで参加しているのには、実は深~い理由がある。

同世代の同僚の姿形を見ることで、まず、自分がどう思うのか?仕事に影響がないか?服装はお化粧や身だしなみは大丈夫か?受け答えに支障がないだろか?な~んて数々のチェックをするためなの。

だんだん、長年培った経験だけで、仕事を回していると、どんどん気づかなくなってくる部分への修正の意味を込めて参加しているのだ。

同僚でも年代の若い方々の身なりはそりゃあ素敵よ!特に内勤の方々はお綺麗(笑)編集部は自由奔放だし、なかなかいい目の保養になっているの。

最近では、わたしも長いこと遠ざかっていた「マスカラ」とかまた、利用するようになった。目元が奥まってきたので、どことなく険しい顔つきに見えるかな?と、気づいて盛っている(笑)

まつ毛も年とともに、だいぶ抜けて短くなっているし。(きゃりーぱみゅぱみゅのつけまつげの歌を思い出した・笑)

とにかく、会議自体はかなり頭を使うちょっと厳しい現場だが、周辺はまだまだ、華やかさがあるので、しっかりと英気を養いに行ってる。

中年になっても常に「意欲」を失わないためにも「見た目」にこだわることがどれだけ大事なのか。

本当の元気さとは?深く掘られている本書。しかも和田秀樹氏は、わたしより2歳上!同世代の書いた心情は「なるほど!」と感じてレビューした。

少しクセのある本書、一読の価値あるかも。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年6月9日記事

『SunTAMA Style』2022年6月9日記事

『SunTAMA Style』2023年6月9日記事

『Life Tour21st』2017年6月9日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066352924.html 「夏準備~旅は書くことで完結する」

『夫はホテルオークラ元総料理長、妻は料理家~ ふたりのごはん』根岸規雄&石原洋子・著(KADOKAWA)【選書・文化/ワークスタイル】

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夫はホテルオークラ元総料理長、妻は料理家~ ふたりのごはん』根岸規雄&石原洋子・著(KADOKAWA)

簡単レビュー

テレビで大反響!!(わたしは観れず・泣)
話題のフレンチトースト、ねぎベーゼ、レバームースのレシピも完全収録!

世界一受けたい授業」に著者である根岸規雄さんが出演。
出演者がそのおいしさに歓声を上げたホテルオークラの「フレンチトースト」や
「ねぎベーゼ」など、番組で紹介された料理の
詳しいレシピをすべて掲載している。

しかも、ホテルオークラのシェフ時代に「世界一」といわれた
フレンチトーストの作り方は、6ページにわたって紹介しているので
初めてでも失敗しないと読者から大評判。
市販の4枚切り食パンで、うっとりするほどしっとりした逸品が出来上がる。

「ねぎベーゼ」は、長ネギの青い部分を捨てずに生かすために生まれたソース。
独特のネギの臭みはなく、緑は鮮やか。
お肉にも魚にもぴったりで使い勝手もとびきりだそう。

このほかに、妻で人気料理家である石原洋子さんと一緒に
旬ごとの食材を使った滋味あふれるおかずや、
季節の保存食作りも丁寧に紹介している。

ワインのおつまみも、ふたりの手にかかると
「チキンレバーのムース」や「グリーンアスパラのパイロール焼き」なしゃれた味わいのものが並び圧巻だ。

いずれも、特別な食材や調味料を使うのではなく
時間をかけて、ひと手間かけることを惜しまないのが
おいしさのコツ。

「手作りは高級品にまさる。年齢を重ねた今だから、台所で
一緒に肉を焼き、出来立てをふたりで食べるそんな日々の幸せに
心から感謝しています」(根岸 規雄)

「毎日食べてもあきない料理こそ、健康の源」(石原洋子)

料理界のトップを極めたふたりの
豊かな普段の食卓には、世代を超えて学ぶことがいっぱいの一書である。

              ★★★

なんとも素敵な料理本を見つけてしまったので早速レビュー。

もし、貴方の旦那様が名門ホテルの総料理長だったら?!

さぞかし、家でも腕をふるった料理の数々を作って食べさせてくれるんだろう・・・な?!

しかし、こちらのご夫婦は、奥さんも料理研究家で、家でも40年お教室を司ってきたプロ中のプロだ。

お互いを「一介の料理人」「料理研究家」と呼び合い、尊敬しつつ、毎日心づくしの料理を二人で作って、一緒に食べる喜びを味わっているという。

ホテルオークラ仕込みの「フレンチトーストのスペシャルな朝食」に心を奪われてしまった。

で、さっそく4枚切りの食パンを買ってきたわ。レシピは手に入れてあるんだから、絶対に美味しい!忘れられないフレンチト―ストを作ってみせるわ!と鼻息も荒いわたし(笑)

この穏やかなご夫婦からしたら、「あらあら、そんなに勇んで作ったら、ふわふわのフレンチトーストにならないでしょ!」とか、言われちゃいそう。

とにかく、ていねいな暮らしを実現したくて、手に取った一冊だ。

我が家では、朝食の際、わたしがコーヒーサーバでコーヒーを沸かしている間に、夫がテーブルマットを敷き、お皿やカトラリーを並べてくれる。

お互い自然な流れの中で、美味しいものを食べるための準備を惜しまず、ゆっくりと、ていねいに、すばやく作ってみようとワクワクしている。

わたしにも、きっとできる「世界一の朝食」なのだ。

この一冊を手に入れただけで、とても幸せ💛

それでは、また!

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『Life Tour21st』2017年6月2日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066251637.html 「夢を実現する家計管理法」

『女はいつも四十雀』林 真理子・著(光文社文庫)【選書・ワークスタイル/文化】

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『女はいつも四十雀』林 真理子・著(光文社文庫)

簡単レビュー

女の四十代は、子育ても仕事も社交もおしゃれもとなると、本当に忙しくて大変だ。

だが楽しく有意義な四十代を迎えれば、その延長としての五十代がやってくると著者は語る。

~そう、女の人生、勝負はいつも四十から~(冒頭の「はじめに」引用。

ここでの積み重ねが、その後の人生を豊穣にする。

10年以上にわたって「STORY」の巻頭を飾る人気エッセイ、平成最後の5年分収載。

                ★★★

林 真理子女史の小説とエッセイは全巻読み終わっているわたし・・・が!この1冊を完全に見落としていたことが、先週判明した(笑)

で、さっそく、先週末から夜な夜な読みふけって、もう「はらを抱えて笑った・笑った?」1冊だった。

とはいえ、エッセイのすべてがお笑いなんではなく、たまに、ひょっこりとおかしみが顔を出す。

たとえば、本書ではないのだが、真理子女史の好む表現に「どっさり」という言葉。わたしは、林 真理子女史の文章でしか出会ったことがない。

わたしの祖母の口グセだったから、脳裏に焼き付いていたし。

しかも、だいたいが美味しい物や高級ワインを頂く時に限って「どっさり」が出てくるんだもの(笑)

どれだけ食い意地が張ってるんだか!と思わせつつ、本当に素晴らしいお料理を頂いている情景がリアルに浮かぶのがすごい。

だから「はらを抱えて笑う」との意味は、「可笑しさに耐えられないでつい、ニヤニヤ、クスクス笑ってしまう」と言い換えられる。

文章で表現される「おかしみ」を味わえるのが、林真理子本の醍醐味だとずうっと、思っていたのよね。

下世話な、ともすれば、くだらない話であっても、真理子女史の文章マジックにかかると、一気に読ませる内容に大変身してしまう。

中タイトルに内容の暗示されているのも一案だわ。

二つ上げてみよう。

•「料理のうまい女」の条件が~頭がよいこと~だったとは!

• 四十代の今こそ、すべきこと。それは、「年をとったら、絶対にこういうことはすまい」と思うことを記憶に刻んでいく作業

と、こんな中タイトルがついていると、内容が知りたくなるってものよね。

40代女性の仕事・子育て・女友だち・品性・お金の払い方・ファッションや美容・エンタメなど2014年~2019年までの話題がぎゅっと!詰まっていた。

また、同じ時期の世間を知っていることで、こんなにも共感できるんだ!と、改めて過去の記憶の「総ざらい」ができ、ちょっと得した気分。

本タイトルの「四十雀」とは、四十代の言い当て妙だが、ご本家の四十雀はたいそう可愛らしい鳥だ。

ほっぺが白くてふっくら~💛

わたしも、四十雀みたいに、いつも「きれいでかわいいほっぺ」をしていたい!と思って、せっせと「顔や首」などのお肌を、お手入れし始めたわ(笑)

                   ★

本書の最終章「グレイヘアは甘いもんじゃない。ありのままでいるための努力は厳しいものだから」について、少々語る。

言っちゃえば、「何もせずでいられるほどありのままは易しくはない」ということだ。

「ありのまま」で行けるほどの自信を、ひとつぐらいは持ちたいと願ってはいるが、努力なくして「ありのまま」はまず、手に入らない。

これは、中年女性なら誰でも、実感しているというかわかっている。

わたしも、これまで通り、精進の日々はなんら変わらないけれど、時には、ありのままで、本書のような「人生指南のエッセイ」を読んで大笑いして、貯め込んだストレスを解消していこうと思う。

林真理子女史の書籍は、わたしにとっては、恰好の「解毒剤」なのだから~~~(笑)

ああ、いつもながら単純なわたし(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年5月26日記事

『SunTAMA Style』2022年5月26日記事

『SunTAMA Style』2023年5月26日記事

『Life Tour21st』2017年5月26日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066135138.html 「積極的スポーツウォ―キングのススメ」

『みいこStyle』2019年5月26日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/18558754.html 「ただ、運が良かっただけ」

『fika フイーカ 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』芳子・ピューイル・著(キラジュンヌ株式会社)【選書・文化】

『fika フイーカ 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』芳子・ピューイル・著(キラジュンヌ株式会社)

簡単レビュー

仕事も家庭も、素敵な「休息」があなたの人生を変える!
毎日が慌ただしいと感じる人たちにおくる
“北欧流のゆったり過ごすライフスタイル”を提唱する一冊。

その著作『世界一幸せな国、北欧デンマークのシンプルで豊かな暮らし』において
いち早く“ヒュッゲ“を日本に紹介した、北欧流ワークライフデザイナーとしても活躍する芳子ビューエルさんの最新刊。


北欧・スウェーデンにある「fika(フィーカ)」という習慣を通して、
毎日が忙しく過ぎていく全日本人に捧げる「休み方改革」を提唱する一冊だ。


これからの時代の働き方や仕事について見つめ直すために、改めて休み方について考えてみよう!

            ★★★

5月GWが終わったばかりで何なんだが、すでに「仕事のし過ぎ」というか走り過ぎている毎日。

そして心の中は、次の旅(楽しみ)に向けて、優先順位をつけて次々と予定をこなしているのだけれど、わたしのこうした「詰め込み体質を見直す時期」が来ていることを、このところ猛烈に感じている。

やっぱり、体力が持たないな・・・と、思う。

それでも、「旅」という楽しみを目の前にぶら下げてひたすら走ってしまう。

しかし、今のわたしに必要なことは、たぶん実質の休みを取ることよりも、頭の中の思考=貧乏体質をリセットするのが一番重要だと感じる。

例えば、「半日、ぼ~っとする」ことになっても、無駄だとか・罪悪感を抱かないとか(笑)

わたしは外営業のくせに、あまりカフェなどに入って、仕事をしたり客先のアポまで時間を潰したりという無駄をすることはほぼない。

その一方で、同僚がよく言っているのは「アポって本当にイヤ!だって飲みたくもないコーヒー頼んで時間をつぶさなきゃならないでしょ?」って(笑)

そんな無駄な時間と費用はわたしの場合、まったくない。

事前にアポ先の周辺に行きたいカフェや図書館、公園などを探しておいて、ミニトリップしているから。

もちろん、カフェも飲みたくないコーヒーなどではなく、あえて飲みたくなる珈琲を見つけておくので、それを頂いた時の満足感はかなりのものよ。

さ、ここまで己の事前準備、いわゆる「情報強者のうぬぼれ」的な話を書いているが、それも「もう、いいんじゃない?」と、最近は溜飲が下がってきているのも確か。

同僚のぼやきも容易に聞き流して行けばいいよ~~ってね。1つ1つ真面目に捉え過ぎないのも大事だと思える。

でも、これって加齢のせいかも!?

で、少々、生き方・働き方の新提案を求めていたら出会った、「fika」という言葉。

少し「fika」について、調べてみたので記載する。

• フィーカ (fika) とは、スウェーデン語で「甘いものを食べながらコーヒーを飲む」という意味です。スウェーデンでは、1日の間に数回、家族、友人、同僚などとフィーカの時間を取ることが一般的で、短い休憩時間の中でリフレッシュし、コミュニケーションを深めるための大切な習慣です。

• フィーカの時間は、15分から30分程度で、特に午前10時頃と午後3時頃が一般的です。フィーカでは、コーヒーとクッキーやケーキなどを一緒に楽しむのが一般的ですが、甘いものが苦手な人は、サンドイッチやレモネードなど、他の飲み物や軽食で代用することもあります。

◎ フィーカは、単なる休憩ではなく、気分転換やコミュニケーションを深めるための大切な時間であり、スウェーデン社会の重要な文化の一つとして根付いています。例えば、フィーカを通して、同僚と雑談をしたり、親しい友人との間で、個人的な話題をしたりする中で、円滑な人間関係を築くきっかけにもなります。(資料元→https://ideasforgood.jp/glossary/fika/

なるほど、いうなれば、「おやつ」と「人間関係」を上手に生活の中に組み入れて、緩急にメリハリをつけて暮らそう!という習慣。

たった15分の他愛無いおしゃべりとお茶時間でも人を誘い、人生の軌道修正をちょこっとする「小さな幸せ」をつかむ習慣ってわけ!

わたしは、よほどの理由がない限り、外仕事で忙しいので(そう思い込んでいる)人を簡単のお茶に誘うことはない。

でも、先週急に思いついて、ある方に連絡を取り、ランチに誘ったら一発快諾!こうしてフィーカの扉を開いてみた(笑)

他愛ない話を、滅多に会えない友だちとする、なんて贅沢な休息時間だろう。

               ★★★

今回、紹介した書籍『fika フイーカ 世界一幸せな北欧の休み方・働き方』では、上手に暮らしの中に休息を取り入れることで、それまでの「働き方」や「生き方」ひいては「考え方」までもが一筋の繋がりを持つようになっていくのだという。

それが、自分らしい生き方であり、自分ファーストなんだと。

仕事だけがやりがいじゃなくて、身近な暮らしの中でやりがいを見つけて生きる・・・って感じかしら。

この本の中で醍醐味を感じた部分は、著者自身が、仕事(会社経営)や子育てに行き詰った時、必ず誰かに相談を持ち掛けて解決の糸口を探る場面だ。

そして、「旅」に出て、大いに発散して元気を取り戻して帰ってくる様など。

そして、失敗談も成功談もどれも読みごたえのある内容だった。

わたしも、こうした書籍をお手本に少しづつ、「仕事を減らし生活を真から楽しむ術」を身につけている最中。

それでも本音は、働ける限り「仕事というガソリン」は切らしたくはない。

ま、仕事もお金も時間も限られた中で、「本当の幸せを掴む努力」だけは怠らないで行く(笑)

北欧の人たちだって、国が人生のアレコレを「保障」してくれるから、さぞかし楽で優雅な暮らしが実現できる!とか思っていたのだけれど、消費税24%の「国」だってことを忘れていた!

だから、普段は慎ましく暮らしている。そして白夜の国でもあって、いつでも出かけられるわけでもない。

み~んな、制約のあるなかで、知恵と工夫で「世界一の幸せ」を実現しているのだ。

わたしもまだまだ、頑張ろう。

だって、変えられるのは「自分」と「未来」だけだから。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2023年5月23日記事

『Life Tour21st』2017年5月23日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066102252.html 「10年後何してる?を考えた1日」

『火山のふもとで』松家 仁之・著(株式会社新潮社)【選書・文化】

【ブログ新規追加1346回】

『火山のふもとで』松家 仁之・著(株式会社新潮社)

大事なことは、聞き逃してしまうほど平凡な言葉で語られる。
日本語の美しさを限界まで引き出した、鮮烈なデビュー作。

簡単レビュー(文中引用)

「夏の家」では、先生(フランク・ロイドの弟子)が一番早起きだった。物語は1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。

ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間にある「夏の家」へ移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。

もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。

ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る。

               ★★★

美しい日本語が読みたい!と思っていたところ、とある建築関係のWEB雑誌から、この名作を知った。

発刊からすでに、12年が経っていたので、書店で探す前に図書館で蔵書を調べてリクエストを出していた。

忘れていたところ、GWの後半に届いたので早速、読み始めてみたら、何しろ一つのシーンに費やす文章がな・が・い(笑)

GWや夏休み、飛行機や新幹線の移動のお供にぴったりだ。

ありと、あらゆる手段を使って表現しているという感じが面白い。

しかし、上品で美しい表現は、読み込むほどに芳醇な薫りを放つ。そして読むのを止められなくなる(笑)

東京の建築事務所が夏の間は、群馬県の浅間山のふもとに仕事場を移すというシチュエーションが物語を一気に旅気分にさせてくれる。

建築のうんちくや専門用語が満載の一冊。

建築好きにはたまらない書籍かもしれない。

そして、浅間山を浅間山とも日本百名山とも書かず、「火山」と表現したところがわたしの肝を抑えた。

そのものをどう、表現するか?

小説を読む喜びが、ひとつひとつのディティールに満ち溢れた、類まれな書籍だといえよう。

なるほど!と、唸ってしまった一冊を紹介。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年5月7日記事

同じ料理研究家の本を集める趣味~料理本は連続して読む・見るを繰り返すことで身に着く~定期的に楽しみ料理センスを磨く~書籍紹介もあり🎶【暮らし/選書・文化】

【ブログ新規追加1335回】

わたしの数少ない書籍コレクション(笑)

有元葉子さんはかなり長い間、料理研究家と名乗らずに、現在も不定期に主催を続ける料理教室の主宰とご本人を紹介されていた記憶がある。

有元葉子さんは、大好きな料理研究家。

料理のセンスも器のセンスも、なにより著書の紙面の作り方、表現方法がわたしの肝にズバッと入り込んできた、ここ数十年。

だいたい、料理本にはその著者の持つ背景(撮影場所が自宅だったり、器や家具が私物だったりなど)がまるっと記載されていて、ライフスタイル好きにはたまらない内容となっている。

で、有元葉子さんの料理本を図書館で「見つけては欲しくなり購入」を繰り返してきた。

また、「イタリアと東京」またそれ以降の「長野県と東京」の2拠点に暮らす背景あたりを描いた書籍では、おおいにその生き方に触発された。

今ではYou Tubeチャンネルで長野での暮らしぶりを季節の料理とともに発信している。

滅多にチャンネル登録しないわたしも、チャンネル登録をし、動画を観ている。

実際に地元の食材を農家さんから手に入れる、地産地消に取り組む、雪国での暮らしぶりなど、一人暮らしだからこその、「大人の豊かな時間」をYou Tube越しに眺めるのが楽しみになっている。

※最新版の番組。

ここで数少ないコレクションの中から1冊、紹介しよう。

有元葉子の料理教室 春夏秋冬レシピ』有元葉子・著(KADOKAWA)

簡単レビュー

告知と同時に満席になる憧れ料理教室!レッスンの真髄をまとめた決定版

全国から申し込みが殺到し、告知と同時に満席になる有元葉子の料理教室。玉川田園調布で開催される少人数のその教室のとっておきレシピをまとめた決定版が登場。

春夏秋冬の季節ごとに厳選したレシピに加え、台所や道具の工夫、献立の立て方、準備と段取り、器のコーディネートもアドバイス。

                ★★★

~素材の持ち味を生かしながら、余分なものを入れない「引き算」の料理が美しい~

大好きな著者さんの本&動画を紹介してみた。

心と身体に納得がいくお料理を求めている方は、ぜひ、手に取ってみて!

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2021年4月14日記事

『SunTAMA Style』2022年4月14日記事

『SunTAMA Style』2023年4月14日記事