『女はいつも四十雀』林 真理子・著(光文社文庫)【選書・ワークスタイル/文化】

【ブログ新規追加1353回】

『女はいつも四十雀』林 真理子・著(光文社文庫)

簡単レビュー

女の四十代は、子育ても仕事も社交もおしゃれもとなると、本当に忙しくて大変だ。

だが楽しく有意義な四十代を迎えれば、その延長としての五十代がやってくると著者は語る。

~そう、女の人生、勝負はいつも四十から~(冒頭の「はじめに」引用。

ここでの積み重ねが、その後の人生を豊穣にする。

10年以上にわたって「STORY」の巻頭を飾る人気エッセイ、平成最後の5年分収載。

                ★★★

林 真理子女史の小説とエッセイは全巻読み終わっているわたし・・・が!この1冊を完全に見落としていたことが、先週判明した(笑)

で、さっそく、先週末から夜な夜な読みふけって、もう「はらを抱えて笑った・笑った?」1冊だった。

とはいえ、エッセイのすべてがお笑いなんではなく、たまに、ひょっこりとおかしみが顔を出す。

たとえば、本書ではないのだが、真理子女史の好む表現に「どっさり」という言葉。わたしは、林 真理子女史の文章でしか出会ったことがない。

わたしの祖母の口グセだったから、脳裏に焼き付いていたし。

しかも、だいたいが美味しい物や高級ワインを頂く時に限って「どっさり」が出てくるんだもの(笑)

どれだけ食い意地が張ってるんだか!と思わせつつ、本当に素晴らしいお料理を頂いている情景がリアルに浮かぶのがすごい。

だから「はらを抱えて笑う」との意味は、「可笑しさに耐えられないでつい、ニヤニヤ、クスクス笑ってしまう」と言い換えられる。

文章で表現される「おかしみ」を味わえるのが、林真理子本の醍醐味だとずうっと、思っていたのよね。

下世話な、ともすれば、くだらない話であっても、真理子女史の文章マジックにかかると、一気に読ませる内容に大変身してしまう。

中タイトルに内容の暗示されているのも一案だわ。

二つ上げてみよう。

•「料理のうまい女」の条件が~頭がよいこと~だったとは!

• 四十代の今こそ、すべきこと。それは、「年をとったら、絶対にこういうことはすまい」と思うことを記憶に刻んでいく作業

と、こんな中タイトルがついていると、内容が知りたくなるってものよね。

40代女性の仕事・子育て・女友だち・品性・お金の払い方・ファッションや美容・エンタメなど2014年~2019年までの話題がぎゅっと!詰まっていた。

また、同じ時期の世間を知っていることで、こんなにも共感できるんだ!と、改めて過去の記憶の「総ざらい」ができ、ちょっと得した気分。

本タイトルの「四十雀」とは、四十代の言い当て妙だが、ご本家の四十雀はたいそう可愛らしい鳥だ。

ほっぺが白くてふっくら~💛

わたしも、四十雀みたいに、いつも「きれいでかわいいほっぺ」をしていたい!と思って、せっせと「顔や首」などのお肌を、お手入れし始めたわ(笑)

                   ★

本書の最終章「グレイヘアは甘いもんじゃない。ありのままでいるための努力は厳しいものだから」について、少々語る。

言っちゃえば、「何もせずでいられるほどありのままは易しくはない」ということだ。

「ありのまま」で行けるほどの自信を、ひとつぐらいは持ちたいと願ってはいるが、努力なくして「ありのまま」はまず、手に入らない。

これは、中年女性なら誰でも、実感しているというかわかっている。

わたしも、これまで通り、精進の日々はなんら変わらないけれど、時には、ありのままで、本書のような「人生指南のエッセイ」を読んで大笑いして、貯め込んだストレスを解消していこうと思う。

林真理子女史の書籍は、わたしにとっては、恰好の「解毒剤」なのだから~~~(笑)

ああ、いつもながら単純なわたし(笑)

それでは、また!

---------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2021年5月26日記事

『SunTAMA Style』2022年5月26日記事

『SunTAMA Style』2023年5月26日記事

『Life Tour21st』2017年5月26日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066135138.html 「積極的スポーツウォ―キングのススメ」

『みいこStyle』2019年5月26日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/18558754.html 「ただ、運が良かっただけ」

『こんな感じで書いてます』群 ようこ・株式会社新潮社~どんな風に物書きになったのか?をひも解く【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加1339回】

『こんな感じで書いてます』群 ようこ・株式会社新潮社

群ようこさんといえば、「かもめ食堂」(幻冬舎)で一躍有名になった作家。

簡単レビュー

いまだに優雅には書けません――と語る。

25歳で初めて原稿料をもらって以来40余年、140作以上もの作品を生み出してきた著者による「書く暮らし」。


新卒で入った広告代理店を半年で辞め、転職すること4回。拾ってもらった本の雑誌社で経理事務として働いていたときに書評を依頼され、初めて原稿料をもらったのが25歳。

それ以来、40年にわたり書き続けてきた著者が綴る、書きはじめの苦しみ、的外れな誹謗中傷のやり過ごし方、前期高齢者になってからの変化、そしてお金より大切なこと。

ひとつのことを長く続ける心構えと自立に徹した生き方に勇気をもらえる名エッセイ。

                ★★★

「群 ようこ」さん。なんともいい名前だと、ずうっと思っていた。

もちろん、ペンネームだ。

この名前の話もばっちり経緯が書かれている。(このくだりはかなり面白い!)

物書きが、なぜ、物書きになれたのか?それは、とても偶然だった。

何か受賞した?そうではなく、あれよ、あれよと、人の道で物書きのレールが人生に組み込まれていっちゃうんだ(笑)

「本の雑誌」社という出版社で経理事務をしていた彼女に「書評」の仕事が舞い込むのだ。

文学部出身だというだけで。ここが物書きのスタートだった。

             ★

ここで、書評を仕事にしていたわたしの話をすこし。

本の書評を書く仕事・・・わたしも2年と半年、書評を書く仕事を小学館のWEB制作会社で請け負っていたが、その時は「好きじゃないジャンルの本はレビューできない?」と思い込んでいた。

実は、群ようこさんもそうだったようだ。

しかし、書評は「好きな人にだけでなく、好きではない・無関心な人」に向けて書いていくのが筋だと、わたしは、書評を書く仕事をやってみて知ったのだった。

書評=レビュアーは、「ただのおすすめ」だけじゃない、本を通して「読む相手に刺さる文章を書く」ことに徹する。

それが、報酬を生むプロの仕事だともいえよう。

好き嫌いで書くのではない、まさに身を削りながら書くともいえる経験の連続だった。

そうでもしなければ、絶対読まないだろうな・・・って思う本もたくさん、会社から送って頂いたことは夢だったのだろか?

幸せなレビュアー時代だったわたしの話。

              ★

さて話を戻そう。

書評を書くようになった群ようこさん、当時、事務職のお給料3万円で、それ以外には「書評」は原稿用紙4枚で1万円だったと語る。

嬉しくて、涙が出たそうだ。(それは生活費が増えたことの喜び・笑)

そして、その書評連載が終わったら、かの大エッセイスト「椎名誠」氏から、続けて本の雑誌に作品を書くように!と勧められたのだそうだ。

こんな、当時の様子も克明に書いているから、物書き人生の「はじめ」を知りたい人はぜひ!本書をひも解いてみて!

いつも、飾らず、ありのままを文章にできる稀有な存在だと感じる、「群 ようこ」さん。

できるようで、とても難しい、「作品を書き続ける」人の名エッセイを紹介した。

それでは、また!

---------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2021年4月23日記事

『SunTAMA Style』2022年4月23日記事

『みいこStyle』2017年4月23日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/17825937.html 「平成最後の佳き日を迎えて」

『60歳の迎え方定年後の仕事と暮らし』著・河野純子/KADOKAWA【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加1336回】

『60歳の迎え方定年後の仕事と暮らし』著・河野純子/KADOKAWA

簡単レビュー

60歳は人生の転換点。これからの40年は、楽しく働く、自由に生きる。

「とらばーゆ」元編集長にしてライフシフト・ジャパン取締役CMO、
人生100年時代のライフシフトを研究する著者がひもとく、60歳からの仕事と暮らしのリアル。

健康寿命が延びる時代、お金の不安を解決する唯一の方法は、働き続けること。
65歳までを「待ち時間」とせず、「雇われる働き方」から「雇われない働き方」へとシフトする準備を始めよう。
目標は好きな分野で小さな仕事を立ち上げて、90歳まで続けていくこと。
そして住まいや家族、人とのつながりを見直して、幸福度をアップさせること。

60歳からの人生は自由で楽しい。
会社や家族のためではなく、自分の人生へ。ライフシフトの旅を始めよう。

                ★★★

素敵な本を見つけたので紹介しよう。

まず、驚いたのが「90歳」という文字。

90歳までを目標にしたワークスタイルの確定をしよう!という骨子だ。

わたしも10年前に「一生働き続ける」という要旨の書籍を出版済みだが、数字を使わず「一生」という表現に落ち着いた。

当時の編集者との協議でそうなったのだ。

しかし、ある意味、きちんと数字にすることで、目標にしやすいと思うし、「まだまだ行けるじゃん!」と、己を鼓舞するのには数字が一番効き目がある。

実際、わたしも「一生」と書いてきたくせに(笑)「90歳まで」と、新たな方向性を更新できたのだ!

というわけで、今日はお仕事万歳!系の書籍を紹介した。

それでは、また!

※ 手前みそだが、著作も載せておく。

『20代~50代の働く女性へ。一生、働き続けよう。意識変革と夢の実現。お金はかかりません!20分で読めるシリーズ』著・古暮由実 

簡単レビュー


結婚も仕事も大事ならば、まず一生、仕事を続けると決めてしまえばいい。
常に外では「社会と自分」家では「家族と自分」というスタンスで一生働く事を基本に自己表現するのである。
外では貢献してお金を稼ぐ。
そうすることで社会の一員である自分のやりがいにもつながり、外見も整えなければいけないので、
見た目もきれいに保てるという副産物が手に入る。
社会性や人脈など利点も多い。いつまで働くのか?ということ自体はそれこそ自分の都合で決めていけばよいのだと思う。
私も若い頃は、小説や映画のヒロインの生き方に憧れていた。
今では様々な人生経験から自分で気持を奮い立たせ、日々進化している。
いうなれば、自分のやりがいや歴史は自分でつくるものだから。
しんどい思いをして試行錯誤を繰り返す、そんな自分の姿がありのままでいいと思っている。
自分の行きたい方向、自分が活きる仕事、女性ならではの生き方を選択し、実現してゆく醍醐味を味わうことこそが、本当にワクワクできること!
就活・結婚・育児・介護や更年期もすべて受け入れて駆け抜けてきたノウハウを紹介したい。

---------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2021年4月16日記事

『SunTAMA Style』2022年4月16日記事

『SDGsな仕事「THE INOUE BROTHERS…」の軌跡』「ザ  イノウエブラザーズ」 創立者 /井上聡・著(第三文明社)【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加1323回】

『SDGsな仕事: 「THE INOUE BROTHERS…」の軌跡』「ザ  イノウエブラザーズ」 創立者 /井上聡・著(第三文明社)

簡単レビュー

日本人の両親のもとデンマークに生まれ育った兄弟が立ち上げたファッションブランド「THE INOUE BROTHERS…」

サステイナブルなモノ作りの軌跡を一冊にまとめた。

南米先住民が飼育する最高品質のアルパカ繊維を用いたニットアイテムほか、生産過程で地球環境に大きな負荷をかけずに一から作成するアイテムはどれも本当に素敵なのだ。

また、生産者に不当な扱いをしない”エシカル(倫理的な)ファッション”で、世界に貢献する”ソーシャルデザイン・ビジネス”を追求してきた原体験と未来を惜しみなく語る。

たくさんの失敗と、かけがえのない出会いの数々をつづりながら。

               ★★★

昨年秋に、ある新聞記事で、イノウエブラザーズのことを知った。

単なるSDGsの仕事術なるものだろう…と、思い込んでいた。

実際に取り寄せてみた本書を読み始めて夢中になった。

ある意味久しぶりに読書に没頭した。

なぜなら、井上氏がおっしゃる「不当に搾取されてきた人々がいることで成り立つ「安さ」を僕自身は決して受けいれたくない」と言われていたから。

本書の中に繰り広げられていた井上氏の本意はこのようにまとめられていた。

「今の社会に根づいた構造をおかしいと感じること」

「人と自然が調和して生きられるような世界こそが、真にサスティナブルであると信じること」だと。

「一人でやっても何も変わらない」という無力感をきっぱりと否定し、独自の方法でソーシャルビジネスに打って出た井上兄弟の軌跡の物語。

読後感は清々しかった。

それでは、また!

ー--------------------------------------------旧記事更新

『SunTAMA Style』2021年3月14日記事

『SunTAMA Style』2022年3月14日記事

『Life Tour21st』2017年3月14日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1064914824.html 「甘え上手って、色々あるよね」

小さな献本活動の話【仕事・本を贈る/旧記事更新79】

【ブログ1201回】

A stack of three books tied with a red ribbon with a bow and copy space: the concept of a good book – a good gift.

児童書・学参が主である教育出版社で書店営業を生業として働いている。

ほぼ、毎月発刊される、児童書やドリル、学習参考書などの見本が毎週末に送られてくる。

その新刊見本本を使って客先で商談するのだ。

1ヶ月間利用した見本本も、商談がすべて終了すれば、言葉は悪いが「ただのお払い箱」となる運命にある。

でも、ほぼ新品。

勤続17年の間、かなりの新刊見本を手にしてきたが、だいたいは数年持ちこたえて、一気に処分してきた。

きれいなままの新刊見本。「だったら売っちゃえば?!」とか言われそうだけど、それは諸々の理由からNG。(図書館、学校、病院など公共の場所へは社内で献本ルートがあるので対象外)

あくまでも社員の手元での消費に任されてきた。

で、知り合いのお子さんに差し上げたり、入院したお子さんへのお見舞いなど、迷惑にならない程度に差し上げてきたが、なかなか使いきれていないの。

新刊で、店頭では平積み状況にある本も多い。もっと知らせて読んでもらえるためにはどうしたらいいのか?

わたしが家にいくらため込んでもそれじゃあ、本の認知度は一向に上がらないでしょ。

もう、ずうっと頭の片隅に置いて悩んできた案件だ。

しかし、そんな小さな悩みの一端が解消される「目先の変わる行動」ができた。

先週、とある新聞(全国紙)の教育欄に今年3月に発刊された、我が社のシリーズ作品がレビューとともに紹介された。

その新聞では、だいたい1年で3回ぐらいの割合で我が社の新刊紹介がされる。

わたしは、その記事を見て「はっと!」した。

「レビューつきの新刊が新聞で紹介されている!」「これを使わない手はないわ!」と。

新聞、各メディアでの紹介であれば、記事そのものも読んでもらいやすいし、そこに見本本があればなおさらのこと、興味を持ってもらいやすい。

新聞や雑誌(かなり減ってはきたが)各WEBメディアなどで、自社の本が紹介されることは実は、とても多い。

新刊紹介記事がメディアに載った本を献本する」という方針で見本本を利用することにしたら、何だかとてもスッキリとした気持ちになれたのだ。

さっそく、新刊見本本(生き物関連絵本)と新聞記事をきれいに透明のバッグに入れて、知り合いのお子さん(小学5年生だが長いこと不登校中)と、ご両親に差しあげてきた。

お子さんもご両親も「いいんですか?」と、とても喜んでくれた。

献本を少しでも意味のあることと感じて頂き、記事とともに絵本を読んでもらいたい一心でお渡しした。

後日、お子さんのお母さまから、「3人兄弟で、一緒に仲良く読んでいます!」「ありがとうございました!」と、嬉しい反応だった。

わたしが、仕事で使い終わった段階で、家の片隅に追いやっていた絵本が息を吹き返した瞬間だ。

単なる絵本1冊だが、わたし達の教育出版には、「個々の可能性を発見する手助けをする」というミッッションがある。

子どもたちの成長を助ける大きな役割がある・・・と、久しぶりに自社のミッションを思い出し、ちょっぴり貢献できた気持ちでいっぱいになった。

というわけで、清々しい献本の話を書いてみた。

それではまた!

ー--------------------------------------------旧記事更新79

『SunTAMA Stye』2020年6月5日記事

『SunTAMA Style』2021年6月5日記事

『SunTAMA Style』2022年6月5日記事

『LifeTour21st』2016年6月7日記事「出版のこれからを沖縄で考える

『みいこStyle』2018年6月7日記事 「女がキャリアを積む時

『エッセイストのように生きる』松浦弥太郎・著(光文社)【選書・ワークスタイル/旧記事更新78】

【ブログ新規追加1200回】

エッセイストのように生きる』松浦弥太郎・著(光文社)

書くことで救われてきた。書くことが人生を変えてくれた(文中引用)

パーソナルな心模様を描いた文章を書き続け、周囲を見つめ続け、考えつづければ、おだやかなエッセイストとしての暮らしが手に入る。


エッセイスト松浦弥太郎が、考え方、書き方、読書、SNSとの付き合い方までを案内する新しい思考のレッスンだ。

簡単レビュー(文中の「はじめに」引用)


【エッセイストの暮らしと、エッセイの書き方・考え方とは】
職業はエッセイスト。そのほかにさまざまな仕事のかかわりがありますが、基本的に「エッセイを書く」ということが暮らしのベースにあり、いつしか「エッセイを書く」 ための暮らし方が自分らしい生き方になり、自分のこれまでの人生を築いてきたように思えます。
そこでふと思いました。これからを生きる選択肢のひとつとして「エッセイストという生き方」があるのではないかと。なんてことないと思っていた自分の生き方は、もしかし たら、これからの時代を生きるため、いや、生き抜くための「小さな発明」かもしれないと。(はじめに、引用)

もくじ
第1章 エッセイとは、なにか
第2章 エッセイストという「生き方」
第3章 書くために、考える
第4章 書くために、読む
第5章 エッセイの書き方
特別コラム「僕の教科書的エッセイ」も所収

プロフィール
松浦弥太郎(まつうらやたろう)
エッセイスト。1965年、東京生まれ。
『暮しの手帖』編集長、「クックパッド」を経て、2015年7月にウェブメディア「くらしのきほん」を立ち上げる。
「正直、親切、笑顔、今日もていねいに」を信条とし、暮らしや仕事における、たのしさや豊かさ、学びについての執筆や活動を続ける。
著書は、『しごとのきほん くらしのきほん100』『センス入門』『松浦弥太郎の「いつも」』『今日もごきげんよう』『それからの僕にはマラソンがあった』『僕が考える投資について』など多数。

             ★★★

素敵なタイトルに惹かれて購入。

久しぶりに一気に読んでしまったので、さっそくレビューを書いた。後半では、わたしの捉えるエッセイスト像などを書いてみよう。

エッセイ=散文を書くのが、ことのほか楽しい。

様々なSNS媒体がある中でも、「独自の編集ができるブログがあって本当に良かった」と、心の底から感じて生きてきた。

私が書きたいことは、ストーリー性の高い物語や小説ではなく、「仕事や暮らしの中から自分が考えたことや気づいたこと」を文章にすることであり、文字通りの「散文」でしかない。

だから、外仕事や家で家事をしているときも、いつも何かしら「これはどういうことなんだろう?」これはどう思ったのかしら?」「この出来事から導き出せることはなんだろうか?」と考えているし、疑問を自身に投げかけ、答えを導き出すのが、一種の癖というかルーティンになっている。

『エッセイのように生きる』の中にもこんな一説があった。

エッセイの本質は、「今日、こんなことがあった」という行動ではなく、「その出来事からこんな風に考えた」という自分なりの考察があってしかりであると。

要するに「目の前の出来事を明記するのではなく、自分の頭で考えて、心が感じたこと、思い描いたことを文章にする」のがエッセイの本質だ。

これは、言い当て妙だな・・・と、感心してしまった。

わたしが、これだけ長い間、飽きもせず文章を書き続けてこれたのが、まさに「個人の日常における小さな手のひら体験」を散りばめてきたからであって、「わたしがわたしとして書くオリジナルなエッセイ」にほかならないからだ。

そして、「オリジナルにこだわればこだわるほど、他者との比較とかに全く関心がなくなって行ける」ことにも気が付いた。

エッセイがど真ん中にあれば、ノイズのような文学賞やタイトル取りをスルーできる。

まさに「事実は小説より奇なり」だ。

エッセイのおかげで、自分らしく「好きに好きなだけ文章を編める」という幸せを手に入れられたのだ。

これって、松浦弥太郎氏の言われる「エッセイストの生き方」の王道スタイルじゃない?と、悦に入ってしまったよ(笑)

そして、今日も、読んでいる他者の文章の中に、書いた人のオリジナリティの端々が見え隠れするような文章に出会いたくて、様々なWEB媒体や書籍で文章に触れ続けている。まるで宝さがしのようにね。

わたしも「エッセイストのような生き方」をしよう。

それでは、また!

---------------------------------------------旧記事更新78

『SunTAMA Style』2020年6月3日記事

『SunTAMA Style』2022年6月3日記事

『SunTAMA Style』2021年6月3日記事

『LifeTour21st』2017年6月3日記事

シンフォニー・つかの間の逃避

『みいこStyle』2019年6月3日記事

週末の場所は秘密

『施主支給から賃貸DIY、古民家リノベまで セルフリノベーションの教科書Premium』坂田 夏水・著(株式会社誠文堂新光社)【選書・ワークスタイル/旧記事更新55】

【ブログ新規追加1176回】

oppo_32

施主支給から賃貸DIY、古民家リノベまで セルフリノベーションの教科書Premium』坂田 夏水・著(株式会社誠文堂新光社)

簡単レビュー

素人リノベにこんな方法があったなんて!?

自分らしい家をあきらめないで!
実はプロに頼まなくても自分できる待望の内装アイデア集だ。

空前のリノベーションブームの中、画一的なリノベではなく、自分らしさ、我が家らしさを求めるニーズは高まっていると著者の坂田氏はいう。


しかし、プロに注文すればそれなりにお金がかかってしまうもの。
結局は妥協する人も多いのではないか?


しかし、本当は自分でできることっていっぱいある!

プロに半分依頼する、などの選択肢も増えているそうだ。


予算で諦めないで自分らしい家作りを追求してみたい方にはうってつけの名書だ。
賃貸住まいだってできることはいろいろあるとも知った。

本書は、建築デザイン事務所「夏水組」の坂田夏水氏が、内装DIYのノウハウをたっぷり紹介する一冊。
前著ではマンションタイプだけでしたが、今回は一戸建てでもマンションでも店舗でもできるアイデアが満載。
SNS活用術から、憧れのパーツを施主支給する時のヒントまで、お金をかけずに空間を劇的に変えるノウハウを公開している。
自分の住まいはもちろん、お仕事で内装を考えなければならない人も必見。


■目次
PART1 セルフリノベのルール
PART2 夏水組Presents 一戸建てリノベーション
PART3 SNSも活用して情報収集! 施主支給を取り入れた家づくり
PART4 お客様に喜ばれる 店舗のセルフリノベーション
PART5 パーツ別 リノベ資材の種類と選び方
PART6 賃貸のための セルフリノベーション

Column
・快適なリモートワークのためのワークスペースの作り方
・SNSにのせる写真をグレードアップする お部屋写真の撮り方
・パーツ探しに役立つサイト
・「貼る」だけだから気軽に使える 初心者向け簡単DIYグッズ

フローチャートでわかる 賃貸DIYガイドライン

                 ★★★

夫が先週、手に入れてきたDIYの名書。

さっそく仕事終わりにぱらぱら。

「な~んて、素敵な教科書なの?!」と、驚嘆した。

こりゃあ、ブログにかかなくっちゃ!と勢い読み込んで書いている。

セルフリノベーションって、確かに流行っているよね。

地方に安い古民家を購入して、そこをワーケーション拠点にしたり、県の後押しを受けて地方移住を叶えたご夫婦が開いたカフェなど。

今では、ありとあらゆる方法を使って、思い通りの「住まい」や「仕事」はたまた「ライフスタイル」まで作れるセルフ・リノベーションの世界。

この書籍のなにが素晴らしかったのか?それは、床タイルや壁紙にこだわった内装とシャンデリア・こだわりのフロアライトの数々。

それらの素材を縦横無尽に組み合わせて、「モード」「アーバン」「和モダン」「北欧」「ガーリー」など目指すスタイルを実例で示している。

なにを隠そう、わたしは大の壁紙ファン(笑)

以前は壁紙を収集して、本カバーやデスク周りの装飾に使っていた。

特にお気に入りは「ウィリアム・モリス」の鳥や果物や花柄。渋い色調が好み。

草花や木々・鳥などが描かれている「ウイリアム・モリス」のテキスタイルに惹かれるように。

壁全体でなくとも、手帳やコースターやテーブルマットなど、小さな面積でも、好きな絵柄が日々の中に散りばめられていると、気持ちが上がって心地がいいと感じる。

今では、少しそういったDIY熱も冷め、大好きな「ウィリアム・モリス」の壁紙コレクションがマスターピースとなって、スケジュール帳になったことを知り、一昨年から集め始めている。(スケジュール帳は使い終わっても残せて眺められるし場所もとらない。良い収集だと思っている・笑)

この書籍には、「ウイリアム・モリス」デザインの壁紙も登場して、クラシカルデザインを実現する大切な役割を担っていた。

~たかが壁紙。されど壁紙。恐るべし~

というわけで、今回は暮らしを彩るセルフリノベーションの名書を紹介した。

春はDIYで模様替えもすてきよね。

息子が昨年結婚して家を出て、寂しい気持ちがちょっとだけあったけれど、家の中から一定数の「もの」が減るという一面も。

家の中に新たな自分用のスペースをつくったり、好きなものに囲まれて過ごす機会がやってきた・・・と、考えてみるの悪くない。

それでは、また!

•こぼれ話

TOPの写真に撮った手作りケーキ。今年は自分の誕生日に20㎝のホールケーキを作ったんだ。イチゴとブルーベリーのケーキにはマスカルポーネチーズを挟んで。

で、写真のは、材料がまだあるので追加で作ったバナナケーキ。何を隠そうこれが一番おいしかった。

完熟バナナとマスカルポーネチーズの絶妙なハーモニー。

そして、3回目にして生クリームが上手に塗れたのと切った断面がきれいだったので、

でめでたく写真に納まった。

ああ、やれやれ(笑)

使っているお皿&マグカップは「NORITAKE Stone Ware」

ー--------------------------------------------旧記事更新55

『SunTAMA Style』2021年4月10日記事

『SunTAMA Style』2022年4月10日記事

『SunTAMA Style』2023年4月10日記事

『ライフストラテジー』2020年4月10日記事

『「超」独学法』AI時代の新しい働き方へ~野口悠紀雄・著(角川新書)【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加1118回】

「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ 野口 悠紀雄・著(角川新書)

簡単レビュー

「学び直し」がとんでもなく「面白く」なる!

AI時代の新しい働き方を実現するためにもっとも重要なスキルが、「超」独学法である。経済学、英語、ファイナンス理論、仮想通貨、人工知能など、どんなジャンルも独学できた最先端かつ最強の勉強メソッドを初公開。


独学は、無限の可能性を持っている。そのことをできるだけ多くの方に知っていただくために、本書は書かれた。
新しい勉強の時代が到来している。勉強の必要性が高まるとともに、独学で勉強することが容易になった。
ウェブや検索を利用することによって、20年前には想像もつかなかったほど効率的に独学を進めることができる。
このチャンスをうまく活かすことができるかどうかで、その人の将来は大きく違うものになるだろう。

「勉強が必要だとは感じているが、どのように進めたらよいか分からない」と考えている人が多い。
そうした方々は、本書によって、独学がいかに効率的な勉強法であり、しかも、楽しいものであるかを知っていただきたい。そして、独学の素晴らしさを実感していただきたい。
それらの方々に対して、本書が新しい可能性を拓くガイドになることを望みたい。日本の未来は、そうした人たちの努力によって拓かれていくだろう。
本文「はじめに」より抜粋

【もくじ】
第1章 独学の第一歩を踏み出そう
第2章 独学者たちの物語
第3章 私も独学で勉強した
第4章 独学は新しい働き方を可能にする
第5章 なぜ学校でなく独学のほうがよいのか?
第6章 独学を継続させるには
第7章 学ぶべきことをどのように探し出すか?
第8章 英語は独学でしかマスターできない
第9章 検索は独学の重要な道具
第10章 人工知能の時代に独学の必要性は高まる

                 ★★

学校を卒業したら勉強はおしまい!もういいじゃん!とか。

勉強できる時代を「囚われの身」だと考える人が今でもとても多いのだそう。

「独学」なんて無駄だと思っている人は、今すぐこの本を読んでみよう!

最近、ちょっと案じていることがある。

SNSに上手い儲け話(いわゆる株式投資や暗号資産など)の広告や記事がめちゃくちゃ多い。


なぜだろう?

ネットで簡単に流せる儲け話に飛びつく人が、それほど多いということなんだろうね。

これまで、株式などリスクを伴う資産運用はプロに任せるのが一般的だった。

しかし、今ではネットの波に乗って、ネコも杓子も「簡単運用して、がっぽり儲ける!」みたいな記事ばかりが目立つ。(有名人の名前を勝手に利用した記事も多し。勇気ある著名人が抗議されていた)

そんなに簡単で、あっという間に儲かるんなら誰でもやるよね!?

でも、「騙されにくいまっとうな頭を持っている人」は、手を出さないのだ。

だって、うまい話は詐欺だから。

そして、まっとうな頭を持つ人たちが始めていることは「大人の学び直し=リカレント」だ。

リカレントとは?→「リカレント(recurrent)」とは、「繰り返す」「循環する」という意味で、リカレント教育とは、学校教育からいったん離れて社会に出た後も、それぞれの人の必要なタイミングで再び教育を受け、仕事と教育を繰り返すこと。

関連資料先;https://www.gov-online.go.jp/useful/article/202108/1.html(学びに遅すぎはない)

リカレントしたい!しようかな?と、勉強の自己投資を始めるのなら、今日紹介した「超 独学法」はとってもいい道筋をみつけられる。

SNSの簡単な儲け話に無駄な時間を割かないでリカレントしよう!

ちなみにわたしのリカレントは「源氏物語」読破と「語彙力」を高めるなど。

数学ボケだもんで、因数分解とかの攻略も考えたんだけど、独学の利点は「すきなことだけ勉強できる!」と、野口せんせも言ってたもん。

だから、来年の大河ドラマ「光る君へ」の前から源氏物語を読み始めたんだ。

まず、源氏物語の原文そのものにはじまり、登場人物相関を知り、次には古典の言葉も少しづつ学んでいる。

たとえば、「垣間見」とか。(愛のはじまり~よ♪)

わたしのリカレントはブログでも進捗を図ろうと考えている。

~独学には無限の可能性がある~

では、また!

今、小説家ではないが多くの問題解決をし、夢を語る学者・斎藤 孝氏 / 世界で活躍するマーケッター・森岡 毅氏の書籍が熱い!【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加1110回】

わたしは元々、小説など創作された作品や文章をあまり嗜んではこなかった。

書いた人の人柄がにじみ出る、息遣いが聞こえるようなドキュメンタリーやエッセイが好みだ。

だから、素晴らしい賞を受賞したり、大ベストセラーになった作家さんの小説そのものより、暮らしぶりや作家業の周辺をつらつらと書いているエッセイなどは探してでも手に入れて読んできたんだ。

要するに「事実は小説よりも奇なり」だから。

創作に優れているよりも、その創作物を生み出す人物に大変な興味があるのだ。

最近では、作家でない方々の書かれた「人生指南書」なる分野が面白くて仕方がない。

まず、斎藤 孝氏。ほぼ同世代。

書籍もとても多く出されている。夫のデスクに4~5冊積んであったのを1冊読んでみたら、共感の嵐だったのよ。

とてもキャッチーなタイトルの『60代ミッション』(西東社)をレビューしよう。

簡単レビュー

人が生きていくうえで最も必要なものは何なのか。
私は「活力」だと思う。
では、その「活力」はどこから生まれるのか。ズバリ、「使命感」である。
「使命感をもって行動し、どんな困難も情熱で乗り越え、常に上機嫌で生きていく」ことの大切さを学生たちに教えている。
こういう試みを実は、60才の節目を迎えた前後の年齢のみなさんにこそ推奨したいと、私は考えている。

「何かミッションをもって、還暦を境に始まるセカンドライフを上機嫌に生き抜こう」と。
「これからは、これで生きていこう」というふうに決めて「活力あるセカンドライフ」を送る。そんなことを期待している。
さあ、「60からのmission impossible」の始まりだ。(まえがきより抜粋)

●20~60才までの労働時間と、60~80才までの「自分の時間」はほぼ同じ。
自由に使える時間を「mission」と共に生きる。

●背負う、支援する、旅する、戦う、引き受ける、
など「動詞」をキーワードとして、斎藤孝が60代をおろそかに生きないための、28ミッションを語る。

●数々のベストセラーの生み出してきた齋藤孝の書き下ろし。
自ら2020年10月31日で60才となり、同世代に向けて熱く語る!

これを一気に読んだのは、斎藤氏が長いこと、挑戦!挑戦し続けてきたのが手に取るようにわかる文章だったから。

まさに、息遣いが聞こえてきそうな書籍だった。

             ★

さて、もう一人、超がつくビジネスマンで世界を渡り歩くマーケッター・森岡 毅氏だ。

先週、たまたま観ていたNHKで森岡氏のインタビューが観られた。

もうね、言っている一言、一言が言い当て妙で、その大事な言葉をわかりやすく丁寧に話してくれていた。

森岡 毅氏の書籍はこれまでこのブログでも2回紹介してきた。

その記事を添付しよう。

苦しかったときの話をしようか ビジネスマンの父が我が子のために書きためた「働くことの本質」

簡単レビュー

「何をしたいのかわからない」「今の会社にずっといていいのか」と悩むあなたに贈る必勝ノウハウ。
悩んだ分だけ、君はもっと高く飛べる!
USJ復活の立役者が教える「自分をマーケティングする方法」。
後半の怒涛の展開で激しい感動に巻き込む10年に1冊の傑作ビジネス書!

第1章 やりたいことがわからなくて悩む君へ
君の宝物はなんだろう
会社と結婚するな、職能と結婚せよ

第2章 学校では教えてくれない世界の秘密
そもそも人間は平等ではない
君の年収を決める法則

第3章 君の強みをどう知るか?
まずは目的を決めよう
ナスビは立派なナスビになろう

第4章 君自身をマーケティングせよ!
面接で緊張しなくなる魔法
My Brand設計の4つの要点

第5章 苦しかったときの話をしようか
劣等感に襲われるとき
無価値だと追いつめられるとき

第6章 自分の「弱さ」とどう向き合うのか
「不安」と向き合うには
未来の君へ

おわりに あなたはもっと高く飛べる

「1冊の本と出合って、『この本は、日本の未来を変えるのではないか』
そう感じることは、なかなかあるものではない」松本大介(元さわや書店フェザン店店長)

現在も平積み必須の大ベストセラー。何を目指したらいいのかわからない!と将来を投げ出す娘に充てた人生指南書だ。

ビジネス書籍で泣いたのははじめてかも。そんな死闘と苦悩を突き抜ける爽快な一書だ。

というわけで、斎藤 孝氏、森岡 毅氏お二人の書籍を紹介してみた。

ぜひ、読書の秋に本当の物語(実体験)を読んでみて!

では、また!

『まず、のび太を探そう!』大ヒットを生み出す逆転発想~ 兵庫県立大学 経済学部教授 川上昌直・著(株式会社 翔泳社)

【ブログ新規追加1081回】

『まず、のび太を探そう!』大ヒットを生み出す逆転発想~ 兵庫県立大学 経済学 教授 川上 昌直・著(翔泳社)

簡単レビュー

ドラえもんがわかれば、経営もわかる!

お客様から望まれる、しっかり利益が残る商売を作るには、何を、どんな手順で考えればいいのか?

新進気鋭のビジネスモデル研究者、川上昌直氏(兵庫県立大学経営学部教授)がやさしく解説。

9つの質問に答えるだけで、すごい!と言われる事業のアイデアがザクザク生まれる!

本書で身につくポイントはこの2つ!
・コレが欲しかった!と言われるアイデアを量産できる「のび太視点」
・良い商品でしっかり稼ぐための「ビジネスモデル」の作り方

★川上教授からのメッセージ(本書「おわりに」より)


(本書の)テーマはビジネス。しかもお客様を喜ばせながら儲ける仕組み。専門的に言うなら「ビジネスモデル」です。

私は、ずっと経営学を研究してきました。いわゆる「ビジネスモデル」の専門家です。世間的には高尚な「研究」という枠組みで生きていく中で、経営学の本当のユーザーは一体誰なのかを自問自答するようになりました。

過去には、学術書やビジネス書を上梓してきました。それはそれでエキサイティングなことだったのは事実。

しかし一方で、疑問が生じました。同業の経営学者や、あるいは経営指南をするコンサルタントには、学術書や学会発表でアプローチできました。経営者の方々には、ビジネス書や講演で直接的に訴えかけることもできました。では、一般のビジネスパーソンのみなさんやこれからビジネスをやってみたい学生のビジネスセンスの強化にどれほど貢献できたでしょうか?

経営学のユーザーは、経営学者や経営者ばかりではありません。現場で試行錯誤している多くのビジネスパーソンに対して、経営学からの「学び」を食わず嫌いにさせず、日々の仕事に向き合う目線を変化させるきっかけを提案したいと考えました。

そしてそれには、新しい知識を「インストール」するのではなく、すでにみなさんの中にある言葉や概念を使って、ビジネスの法則を「腹落ち」してもらうことがもっとも重要であると感じました。

できれば素材は、よく知らない海外の企業事例などではないほうがいい。あるいは知ってる企業であっても、詳細なケースは難しい。いっそのこと、誰もが知る「経営以外の素材」をテーマにしたい。

それこそが、経営学に興味がない人に、経営とビジネスの本質を知ってもらうという、われわれ経営学者が取り組むべきことではないかと考えたわけです。つまり、経営についてのハードルが高い方にこそ、この本でスイッチを入れてもらう。いわゆる「ゼロイチ」。それがこの本に流れる裏テーマなのです。

この本は、ビジネスの世界に既に足を踏み入れてしまった、「いまさら聞けない」経営のことで悩むすべての人に有効です。

それだけでなく、「これから経営について勉強しようかな、でも難しそう」と躊躇する人にもです。自営業の方、主婦の方、はたまた大学生、高校生の方までもが、この本が想定する対象です。みなさんの外見はそれぞれ違いますが、「ビジネスがうまくいくようになりたい」という同じ「用事」を持っているはずだからです。

このようなみなさんに対して、この本がドラえもんのポケットになってくれれば、これほど嬉しいことはありません。

                ★★★

8月、お盆休みに帰ってきた息子夫婦と、「新規事業の話」で盛り上がった。

7月上旬、息子は営業部から事業推進部、いわゆる新規事業を含む事業計画が主な仕事となる部署への異動となった。

さっそく、新規事業の発案をし、練に練った案をとりまとめてみているが、どうも「ビジネスモデル」となるか?よくわからなくなってきたと。

で、我が家の書庫でネタ探しをはじめた。夫が息子に「これはどう?」と、差し出したのが『まず、のび太を探そう!』という一冊だった。

目を丸くして「これ、持って帰る!」と、そそくさとバッグに入れてしまったほど魅力的だった様子。

あげちゃったので、夫が再度買い戻してくれた。

わたしも読んでみたが「これは面白い!」と、唸る場面の連続だったわん(笑)

また「のび太」を題材にした書籍は、書店で一度は目にしたことがあるのではないだろうか?

ざっとだが、こちらのベストセラー本も紹介しておこう!

のび太という生き方』横山泰行・著(アスコム)

ベストセラーのこの書籍が一番有名。今年の小学生夏の推薦図書にも選ばれている。

勉強も運動も苦手でぐうたらしてばかりののび太。
でも、大人になる過程で大活躍し、しずかちゃんとも結婚し、
実は人生の成功者だった!
そんなのび太から、無理せずに自分らしく生きて
夢まで叶えてしまう方法を学んでみては?

そんなのび太から学べる人生の成功法則を
「のび太メソッド」と提唱。
本書では、「のび太メソッド」を全部で37つ
紹介している。

・完璧をいきなり目指さない
・失敗することまで楽しむ
・かっこいい自分を想像する
・直感で判断。とにかく動き出す
・夢は叶うと信じ切る
・自分より、まず他人の幸せを望む
・「愛する存在」で心を強くする
など。

この「のび太メソッド」は、
どんなダメな奴でも夢が叶う魔法の法則。
みなさんの人生にも役立つようなヒントが、
この本にはたくさん詰まっているよ。

のび太というどこにでもいそうな存在が、これまで多くの子どもたちを勇気づけてきたことは間違いない。

我が家の息子ものび太本を介して、新規事業のプレゼンを勝ち取ってほしいと願っている。

実際は「大切なこと」って身近にあるものなのかもしれないね。

それでは、また!