さよなら、村上龍さん【選書/文化・思い出の作家をエッセイに書く】

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雑誌「GOETHE」2025年版(幻冬舎)の巻頭エッセイのコピー。

作家、村上龍氏が10月17日に亡くなった。(享年74歳)

晩年はテレビ番組『カンブリア宮殿』の長期MCを勇退し、体調面での変化や過去の腰部脊柱管狭窄症にまつわる報道などから様々な憶測や噂も飛びかったが、公式には「自宅で穏やかに亡くなられた」という事実と、遺族の意向を尊重して静かに見送られたことのみが伝えられている。


『限りなく透明に近いブルー』で群像新人文学賞および芥川賞をダブル受賞し、経済、エンタメ、社会の歪みまでを描ききった巨匠のあまりに早い退場に、惜しむ声が後を絶たない。


村上龍という作家の真骨頂は、甘えを完全に排した「超実利主義・快楽主義・サバイバル美学」にある。

             ★★★

「わたしが出版社で働くきっかけとなった作家の話」

18年前、わたしは東京丸の内ビルで開催された、村上龍「半島を出よ」出版記念講演に当たり参加した。

わたしはまだ、現在の出版社に席を置いていたわけではなく、ピアノ講師をメーカーで続けていたころのことだ。

真夏の日差しが強い、丸ビルの1階フロアに早めに着いた。その時、フロアで村上龍氏の既刊小説やエッセイなどを平積みしつつ、そこで開催元の幻冬舎の社員さん?が大手の書店様の招待客に商談を持ちかける場面を何気で見ていた。

わたしは「本の営業、そんな仕事があるのね?!」「いいなあ、好きな著者の本を売る仕事なんて!」とかお気楽に考えていた。

幻冬舎の営業マンの中には、ちょっとだけおしゃれで、かっこいい女性もちらほら。

わたしはその女性の商談をまじかで見て、「わたしもやりたい!」「わたしも本の営業マンになる!!」と決めちゃったの(笑)

音楽大学を出てから、まっすぐにピアノ教師を続けていたが、大好きな本を仕事にしたいと、改めて考えた一日だった。

その時、わたしは46歳になっていた。

村上龍さんの講演は一番前で聴いた。

もうね、超かっこいい方で、眼光鋭い中に時折見せる「はにかんだ表情」がなんとも言えず素敵で、今でも忘れられない一コマとなっている。

そして、「半島を出よ」を担当した編集者との絆さえも感じる「編集者と心中する気持ちで、日本中で講演をして、売って、売って、売りまくるよ!」という爽やかなエールを送る姿など、眩しい場面がいくつもあった。

凄い作家魂を見せてもらった。

講演が終わって、まっしぐらに地元駅の図書館に向かった。それは、「朝日新聞・就職情報」をまとめて閲覧しようと思ったのだ。

まず、出版社の就職応募があるか?を調べてみた。

すぐに一社見つかった。(今、勤めている会社だ)

そして、その会社の応募条件にピッタリ合っていたのも奇跡だった。

その新聞応募記事をコピーに取り、履歴書を買って、帰る途中で履歴書に貼る写真を撮り、急いで帰った。

その日のうちに、履歴書だけでなく職務経歴書も作成して完成させ速達で出版社に送った。

三日後、出版社から☎連絡を頂き、翌日、当時JR四谷駅前にあった本社ビルで面接とペーパー試験を受けて、その日の夕方5時だったかしら、「採用」の連絡を受けた。

要するに、大好きな作家「村上龍さん」の講演が当たり、聞きに行かなければ、わたしの人生はまったく変わっていたのだろうな・・・と、村上龍さんに感謝の気持ちしかないのだ。

すべては、タイミング。

しかも、長年、苦労して手にいれた音楽教師という立場を捨ててもいい!と思える仕事を見つけられた喜び。

ひらめきやヒントが一斉に発動した、たった5日間の就活劇だった。

実は、今の会社の応募と合わせて募集のあった「幻冬舎」はすでに予定人数に達してタイムアウト。


的に見事に当たった「たった一社だけの就活」だったのも、己の運の良さに驚きだった。

わたしは、村上龍さんの代名詞でもあるドライブする=疾走する文章が大好きだ。

というわけで、まったく「人生はスピード感とストーリー(物語)で成り立っている」と、痛感した話。

そして、疾走した人生を終えた村上龍さん、どうぞ、ゆっくりとお眠りください。

それでは、また!

                ★★★

一冊のエッセイを紹介しよう。

『おしゃれと無縁に生きる』村上 龍・著(幻冬舎)

簡単レビュー(本文引用)

「おしゃれ」より「普通」のほうがむずかしい。

成功しようと焦ることもない。

「死なないこと」それがすべてだ。

『お金で幸福は買えるのか?』そんな問いに意味はない。

別に幸福でなくても生きていける。

だが、信頼がなければ、人生はひどく辛いものになる。

そして信頼は、絶対にお金では買えない。

村上龍氏は、「この日本の中で真の豊かさを得られるためには?」の問いを自問自答した44の金言を中心に書かれたエッセイ。

10月15日の花「秋名菊・シュウメイギク」

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『ヒットの復権』バズの起点は作れる~柴 那典・著(中公新書ラクレ866)【選書・文化】

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『ヒットの復権』バズの起点は作れる~柴 那典・著(中公新書ラクレ866)

簡単レビュー

日本の音楽が、世界で存在感を示している。

米津玄師、YOASOBI、Creepy Nutsらの楽曲がグローバルチャートのトップ10にランクイン。

J-POPを代表するアーティストたちが続々と海外に進出し、ワールドツアーは各地で熱狂を呼んでいる。

なぜ、いま日本の音楽が世界に届くようになったのか?

その背景には、2020年代になって生まれた新たな「ヒットの力学」があったのだ。
本書はその構造的な変化を、2016年からの10年間を辿りながら解き明かしていく。

CD不況とランキングの形骸化で「ヒットの崩壊」が叫ばれた2010年代から、コンテンツ産業が日本の基幹産業の一つとなった2020年代の「ヒットの復権」へ。

この10年で音楽シーン、そして音楽業界に何が起きたのかを、以下の3つのキーワードで読み解く。

「バイラル」 ── SNSとショート動画から国境を超えるヒットが生まれる現象
「アニメ」──アニメとJ-POPが深く結びつき世界に届く構造
「プラットフォーム」──ストリーミングサービスの普及、そして業界団体と行政の連携

「音楽には世の中の変化が最初に現れる」──日本発コンテンツの海外売上は約5.8兆円と、いまや半導体や鉄鋼を超える規模に成長。

コンテンツビジネス・メディア・エンタテインメント産業に関わるすべての人必読の一冊。

【もくじ】
第一章 2016年、変革の萌芽
第二章 2019年、音楽シーンの主役交代
第三章 2020年、コロナ禍で何が起こったか
第四章 2023年、新たなヒットの方程式の誕生
第五章 2025年、コンテンツ産業は日本の基幹産業へ

              ★★★

三連休の合間にちょっとした遊び気分で、日本のPOPSシーンが如何にバズったか?を紐解く一書を読んでみた。

そして、日本のPOPSシーンを論文的に解説されている文章を読む中、思い出したのが己の「卒業論文」だった。

音楽大学でも「卒演」だけでなく、いっちょ前に「卒論」があったのよ。

わたし達のHクラスでは、卒論を観て下さる担当教授が西洋音楽史専門の先生だ。

先生からは、「あなたは、最近の日本音楽史の何か?をテーマにするといいよ。そして枚数は250枚~300枚で書いてみてね」と。

一足先に夏季休暇中の先生から「どう?卒論のテーマは決まった?」と、最速の暑中見舞いが届いた。
投函場所は河口湖の別荘地からだった。

さあ、大変!

わたしといえば、夏休みは友達と伊豆七島へ行ったり、海へ毎週行ったり、バイトしたりで超忙しくしていて、すっかり「卒論」のテーマを考えておくことなんて忘れちゃっていた。

そして、9月になってから、重い腰を上げて、原稿用紙を30束(300枚)とありとあらゆる日本の音楽シーンを彩ってきた、名だたるアーティストの資料を大学図書館にこもってコピーし続けた。

PCもスマホもない時代、こうして図書館にこもって欲しい情報を集めることしかなかった。それはそれで楽しかったけど。

そして、ぎゅっと向き合った卒論のテーマは「日本のPOPSが消耗品になるこれから」とか題名をつけて先生にテーマ出しを観て頂いた。

先生は「あなたには合っているように思う。ザっと書いたらもっていらっしゃい!」と。前向きなお言葉でほっとしたのを今でも覚えているわ。

そして、10月~11月と卒論と格闘した。その11月に発売された松任谷由実のアルバム「昨晩お会いしましょう」(昭和56年/1981年)に収録された「カンナ8号線」を聴きながら最後まで一気に書いた。

「昨晩お会いしましょう」アルバム写真。

                ★★★

ここで「カンナ8号線」をまとめてみるよ。

• タイトルの由来と背景→植物の「カンナの花」と、東京都内を環状に走る「環状8号線(通称:環八)」を掛け合わせた言葉。

• 環八のカンナ→当時、環状8号線の世田谷区から杉並区あたりの中央分離帯には、排気ガスや強い日差しに強い「カンナの花」が実際に植えられていた。

• 楽曲の内容→失恋の切なさや過去の思い出を、真夏の環八を車で走る情景や力強く咲く赤いカンナの花に重ね合わせた、疾走感のあるアップテンポな名曲。その後大ヒット。

                  ★★★

約2ヵ月間をかけて卒論に没頭したわたしを支えたのは、まぎれもなく「日本のPOPS=名曲」の数々だった。

卒論に日本のPOPSを選び、深堀りする中で知ったことは「音楽には、世の中の変化が最初に現れる」という現象があることだった。

当時は「世界へ打って出るための方程式」が無数に音楽の中には潜んでいて、それが飽和状態になって溢れたら、大ヒットする・・・。

日本のPOPSには名曲が多く蓄積も多いから、一過性ではないいわゆる消耗品にはならないだろう・・・という展望や期待感も文章に入れて書き上げた。

あれから44年が経ち、日本のPOPSシーンは、まさに百花繚乱じゃないか?


「何が起きるかわからないし、どこに正解があるのかわからない、得体の知れない混沌が文化」と、本書の著者が書いていた。

この書籍には、名だたるアーティストたちの活躍の裏側が書かれているだけでなく、2025年前後に世界的に知られることになった「青葉市子」のことも詳しく書かれていた。(わたしも知らなかった・笑)

久しぶりに音楽の話を書いたら、無償に色々と聞きたくなって最高の連休になったの。

そうそう、あたしがおばあちゃんになってら、ラジオとかでユーミンの歌が流れたら元気になる自信がある~(^-^)


それでは、また。

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『本当の登山の話をしよう』服部 文祥・著(株式会社 デコ)【選書・文化】

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『本当の登山の話をしよう』服部 文祥・著(株式会社 デコ)

簡単レビュー

人はなぜ山に登るのか――著者30年にわたる「登山批評」の集大成。
第Ⅰ部は、デビュー作『サバイバル登山家』以前に書かれた、著者の原点ともいうべき隠れた名篇のほか、若き日に憧れた和田城志へのインタビュー、山で書いた「遺書」についての回想記を収める。
第Ⅱ部は、山野井泰史、星野道夫、フリチョフ・ナンセン、デルスー・ウザーラ、ウォルター・ウェストンら、著者が敬愛する人物たちを通して登山とは何かに迫る。また、クマとのつきあい方、世界と日本の最高所の意義について私論を展開する。
第Ⅲ部は、廃山村での自給自足のほか、狩猟のパートナー・ナツ(犬)の失踪騒動、もうひとつのライフワーク・中距離走の喜びなど、近年の暮らしのあれこれを語る。最後に、登山よりも先に志したという文章表現について論じる。

              ー--

〈なぜ山に登るのかという質問を、山に登らない多くの人が、山に登る人に投げかける。
わかりやすく答えるのは難しい。質問に含まれる「なぜ」の裏には、「辛くて、大変で、無償なうえに、もしかしたら死ぬかもしれないのに、なぜ」という思いが隠されているからだ。「死ぬかもしれないのになぜ」とまっすぐ聞いてくれるなら、風景やストレス発散が、登山の理由にならないことは明白だ。景色を見るために死ぬ思いをする人はあまりいない。
山に登る理由はただ一つ、自己表現だと、思っている。自分が山(ひいては地球というフィールド)で何ができるのか。それを知りたいし、示したい。そういう意味では芸術一般と変わりがない。登山はダンスに似た身体表現の一種類だと私は考える。〉「富士山 世界で一番手頃な高所」より

             ★★★

わたしの同僚に、まったく登山をしないが「山岳小説を読む」ことや「山岳雑誌」を日常的に眺めることや、登山周辺のギア、ファッションなどに精通している方がいた(女性よ)

彼女がよく言っていた。

「山岳小説やエッセイってすごく面白いよね!」と。

わたしもそう思う。

そもそも登山とは、「審判や観客がいないところで行われるため、記録や報告文を残すのが登山家の重要な行為になっている」と教えてくれた。

そして、こうも言っていたな。

「だってさ、自然って、生命に対して無関心じゃん!吹雪になって、どんなに祈ろうと、叫ぼうと、お金を積もうと、自然は何もしてはくれないよ」と。

そんな、「超過酷で、しかも命がけで、無償の登山記録が読める書籍は、宝物じゃない!?」とまで言っていた。

職場にこうした「一見の価値」を認めつつ、「登山とは・・・一体なんだろう?」って、見つめる同胞が居た。

今思い起しても幸せな時間を共有できた。

                ー--

今回、紹介した「本当の登山の話をしよう」の著者である、服部 文祥氏は、登山の核心について、冒頭で述べている。

かなりの見栄っ張りな性格の著者は、早い時期から「ひと昔前の登山ヒエラルキー」に性根が侵されていたのだそうだ。

誰よりも早く、日本よりも海外のアルプスへ。

海外のアルプスよりヒマラヤへ、という風に。

そして、登山家の憧れ「K2」の遠征に参加することができた。

どんどん、ヒエラルキーの階段を「どうだ!」と言わんばかりに登り詰めていくのだが。

その後、ヒエラルキーなどまったく意味を持たない、ヒマラヤの麓で暮らす村人に刺激を受け、己の目指す道「サバイバル登山家」のスタイルが確立されていく。

要するに、K2が「本当に登りたい山じゃなかった!」ってことだと。

K2の遠征に参加したのは、「世界の憧れK2の登頂者」という肩書が欲しかっただけ。

当時のガールフレンドには「山登りなんて、ヒモをつけて岩を登るんでしょ?」と言われ、母親からは「命がけのことがカッコいいと思ってるんでしょ?!」と言われ、仕事の同期からも「それって、現実逃避なんじゃない?!」とか。

総じて、皆が皆、同じことを言う。

エッセイの中では、それは「なぜ、山に登るのか?」に意味を見つけることにそれぞれが躍起になってしまったように思えた。

とういうわけで、この書籍もかなり面白い登山の話がこれでもか!というぐらい披露されている。

しかも、すべて著者本人が体験した話。臨場感抜群だ(笑)

というわけで、普段は1000mから2000mぐらいの国内低山でハイキングをするわたしも、雨の続く今年のグリーンシーズンは読書三昧だったわ。

10月の最後あたりでどこかの低山にハイキングに出かけたいなあ。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2025年9月30日記事

『あの道がそう言った』片岡 義男・著(JFAメディアワークス)【選書・文化】

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簡単レビュー

一般社団法人日本自動車連盟(JAF)会員向け機関誌『JAF Mate』2017年5月号~12月号で8回に渡って連載された同名の人気エッセイ7作品。

および2016年11月号から連載された「片岡義男の回顧録」5作品をベースに、著者の50年に及ぶ執筆活動から生まれた2,000本超のエッセイの中から厳選した「道」「旅」「クルマ」「オートバイ」にまつわる49作品を加えたエッセイ集。

              ★★★

「片岡義男」でわたしはできている・・・。

正確に言えば、「片岡義男氏の小説」がわたしの10代後半~30代後半までを彩ってきた。

そして、好みの生き方を見つけるお手本だった。

ほぼ、すべての作品を舐めるように読み尽くしてきた記憶がある。

片岡義男氏の小説から「短編小説」の書き方を学んだし、『スローなブギにしてくれ』『アップルサイダーと彼女』など、片岡義男氏の作品のタイトルが素晴らしい!ので、そのタイトルに惹きこまれるかのような、幸せな読者時代を送ったのだ。

たぶん1番好きだった作品は『幸せは白いTシャツ』だったかな。

~ひとり旅が似合う女性ライダーの物語~だった。

小説のあらすじは「オートバイで一人旅に出ている若い女性が、旅先で出会う様々な人に出会い人生経験を積む。その中で2~3日おきに東京の自宅に電話をかけ、両親の間で進行中の離婚話の進展について聞く・・・という話。

また、小説のタイトルは忘れてしまったが、「年上女性の部屋でプラモデルを作る話で、彼女が遠くの郷里で見合い~結婚となり、彼女の部屋を引き払う時に彼女は結婚先の新居にプラモデルを持って行って飾った・・・」という話も一妙だった。

片岡義男作品は、特に短編では、淡々と物語の経過を述べて語って行き、最後に「あっ!」というささやかな「仕返し」があるのが好きだった。

要するに「技巧的な表現を多用」はしないのだ。

それでいて、爽やかな風が通りぬける作品ばかり。

怨念深いものもないし、比喩や揶揄ばかりの文章などまったく見あたらない。

そんな、片岡義男作品総集編をこの連休中に、あの頃を思い出して、もう舐めるかのように(笑)読み耽ったのよ。

もう、単なる回顧録とは違う、幸せ過ぎて素敵な休日となった。

それでは、また!

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『魂の退社』稲垣 えみ子・著(東洋経済新聞社)【選書・文化】

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『魂の退社』稲垣 えみ子・著(東洋経済新聞社)

簡単レビュー

出世競争や「もっと給料を」という欲望からもう自由になりたい――

人生の折り返し地点にさしかかり、そんな思いが日に日に強くなる著者。

だが会社を辞めて食べていけるのか?

お金がなくても幸せな人生とは?

大手新聞社社員が「50歳、夫なし、子なし、無職」になるまでの悪戦苦闘を明るくリアルに綴る。

すべての働く人に贈る、勇気と希望と笑いの詰まったエッセイ。

               ★★★

先月、営業先で退職した元同僚とばったり出会ったばかりで、頭の中でぐるぐると「わたしはいったいいつまで働く?」とか「このまま?」などと仕事と会社の関係を思い巡らせていた。

そして、うっすらと「仕事=わたし」でなくなった時のことも考えていた。

で、稲垣えみ子さんの退社エッセイを思いだして、急いで図書館に予約を入れたところ、あっという間に着ちゃったんで、先週末で一気に読んでしまったんでレビューと相成った経緯よ。

しかし、なんでこんなにこの方の文章は面白いのだろうか?

それほど、新聞記者として鍛えられたのだろうか?

いいや、思うに「天性の面白気質を持っている」方のようだ。

ひとつ、ひとつのことがらや、出来事に意味合いを持たせて文章を編み、経緯を並べ、読者に周知と納得をもたらす名人なんだろう・・・と推測してみた。

そして、エッセイのテーマが「会社員(自分)の退職について」と。

社内でまことしやかに繰り広げられる「理不尽な仕打ち」にいつまで耐えて勤めるのか?

TVドラマ「半沢直樹」で描かれていた通り「会社はそのすべてが一編のドラマ」であると言われていたな。

その一編のドラマを自分の手でひねりつぶすがごとく、定年を待たずに「辞める」とはなんと、勇気のいることか?!

そのあたりの心情がこれでもか!と、にくい(例えば、退職金は手切れ金とか)表現で描かれていて、スイスイ読めちゃう(笑)

退社エンタメという一書を、抱腹絶倒で読み切った週末だった。

ま、わたしは「自分の潮時の年齢=退社日」を決めているので、とにかくその日まで「健康」で「謙虚に学び続ける」日々を送って行こうと決意している。

まだまだ先は長い。全力でやりきる覚悟よ(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年9月14日記事

『SunTAMA Style』2021年9月14日記事

『SunTAMA Style』2022年9月14日記事

『Life Tour21 st』2015年9月14日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1039344186.html

「1日、25時間で行く!」

『みいこStyle』2018年9月14日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/12144473.html

「もう歳だから・・・なんて壁はない」

『スタイルを見つける』原 由美子・著(大和書房)【選書・文化】


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『スタイルを見つける』原 由美子・著(大和書房)

Version 1.0.0

簡単レビュー

これまでに数多くの雑誌で魅力的なスタイルを提案してきた原由美子さん。
本書は、原由美子さんが、自身の暮らしについてつづった初のエッセイ集。


日々のなかで何を考え、何を選び、衣食住のスタイルを見つけていくか。
「自分のスタイルを持つことは大切だが、止まってしまってはだめ」と語る原由美子さんの、思索の過程ともの選びの視点が、新たな気づきを与えてくれる。


自宅の部屋や、長く着続けているお気に入りの服、アクセサリー、家具などのカラー写真も収録。


「自分で考えて、感じて、スタイルを持って生きていきたい」と考えているすべての人におすすめの一冊だ。

【目次】
朝食
スニーカー
サングラス
好きな色
カーディガン
きれいな色
アクセサリー
ブローチ
クローゼット
ガウン
バンダナ
ピンク
たかがTシャツ
されどTシャツ 1
されどTシャツ 2
制服
ジバンシィとオードリー
平服
大きなテーブル
椅子
衣食住
夕食スタイル
泳ぐ、歩く
ノート
きもの
黒髪の女
シャネル

               ★★★

今週、雨風に悩まされながらも、俄然秋の空気になってとても涼しい。

こんなに過ごしやすくなると、丸一日働いても、まだ疲れず「何か探したくなる」ものよね。

そんな気分にぴったりの一冊を久しぶりに手にとってみた。

自分のスタイルを持つ楽しみに気づかせてくれる一冊。

たとえば、「テーマカラーを持つこと」や「テーマアクセサリー」を持つことなど、日常に「自分だけの華やぎ」を持って悠々と生きる術を叶えることなど。

久しぶりにハッ?!とさせられた「スタイル」を磨く一書だった。

2024年版と比較的新しい本だし、気づきが随所に詰まっているので紹介した。

これで、秋の先取りは思うがまま(笑)

それでは、また!

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『今度生まれたら』内館 牧子・著(講談社)【選書・文化】

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簡単レビュー

70代では人生やり直せない?

人間に年齢は関係ない、なんてウソ。
人生100年はキレイごと。

「今度生まれたら、この人とは結婚しない」70歳の主婦、佐川夏江は自分がやり直しのきかない年齢になっていることにショックを受ける。

人生を振り返ると、あの時別の道を選んだらどうなっていたかと思うことばかり。

進学は、仕事は、結婚は。少しでも人生をやり直すため、夏江はやりたいことを始めようとあがく。

大好評の著者「高齢者小説」シリーズ。
「元気をもらいました」「自分のことのように読みました」「もっと早く読みたかった」
など読者の声多数のベストセラー!

            ★★★

小説家・内館牧子氏が書いた、NHK大河小説『毛利元就』では、作者自身のこんなエピソードがあった。

「大河小説用に原稿を何話分か書き溜めている」と。
これを聞いたある大作家が返した言葉は「そんなもん、作り置きの文章などダメだよ!毎週、毎日、もがいて、もがいて話を創り出すのが大河小説の書き手だろうが!」と喝破されたそうだ。

作り置きは、自分が安心するためだけのものであって、読者や視聴者を本当に楽しませるものではないんだなあ・・・。

わたしは、この大作家と内館牧子氏のやり取りを読んで、大・大納得した。で、さっそくブログにもその片鱗を今もなお、残して1日置きに書き続けている。

このブログでは11年間、ほぼ書き溜めてはいない。「鮮度だけはバッチリ」のものに育ててきた(笑)

要するに、「文章にも賞味期限がある!」ってこと。

寸前やタイミングを見事に捉えられた時、書き手も読み手も気分がいいものなのだ。

というわけで、この夏読んだ、1冊の小説から思い出したエピソードを書いた。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2023年8月21日記事

『SunTAMA Style』2024年8月21日記事

『SunTAMA Style』2025年8月21日記事

『ずっと元気でいたければ60歳から食事を変えなさい』森 由香子・著/料理・川上文代(青春出版社)【選書・文化/健康】

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『ずっと元気でいたければ60歳から食事を変えなさい』森 由香子・著/料理・川上文代(青春出版社)

簡単レビュー

青春新書プレイブックス『60歳から食事を変えなさい』のビジュアル版。


同じ高齢者なのに、若々しい人と、老け込んでしまう人がいる。
その大きな要因のひとつに、60歳からの食事があると著者は言う。


4000人を超える患者さんの食事記録と、最新栄養学からわかったことは、食べるものの割合、食べる量、食べ方など、「若い頃の習慣の延長では、いけない」ということ。


本書では、「すぐマネできる1週間の実践レシピ」「ひと目でわかる食材のたんぱく質量」「60歳から積極的に食べたい食材」など、年齢による身体の変化に合わせた食べ方やレシピを、写真とイラストでわかりすく紹介する。

           ★★★

まったく驚きの連続だった健康本。

我が家の朝ご飯だが、忙しい出勤前なので、完全にテンプレート化させていた。

メニューは、食パン(8枚切り1枚)、レタスか刻んだキャベツの大盛り、卵は目玉焼き、ベーコンかハム1枚、スライスチーズ1枚、ミニトマト2個、バナナ半分に無糖ヨーグルト、季節のジャム、落としたコーヒー。

だいたいこんな毎朝。

結構、頑張って用意してきたつもりだが、これでは本書によると、「まったくタンパク質が足りていない!」ということになるそうだ。

まず、ベーコンやハムは「タンパク質と捉えるのではない」のが驚きだった。加工品のベーコンやハムは「脂を多く含む肉類」となって、筋肉などに影響されないので、取り入れるのならお肉そのものを焼くなどするのが良いと。

で、そのメニュー例だが、朝からステーキ1枚とか、鶏ももと赤ピーマンの炒め物とか、驚きのメニューが並んでいたのだ。

朝から、ステーキ!?すごいご馳走のイメージだが、こういったタンパク質食材を朝・昼・晩にまんべんなく取り入れることが筋肉をつくり、ロコモやフレイルなどの運動機能を下げる身体の減少を遠ざける食べ方なんだそうだ。

そういえば、昔、ピアノを教えていた頃に知った90歳現役ピアニストの女性は、毎朝ステーキを食べていたっけ。

その姿に大変驚いたのだが、何せ己が若かったのでただ驚いてしまっただけ・・・(笑)

そのステーキ1枚が90歳現役ピアニストの身体を作っていたんだわ。

タンパク質恐るべし!


この書籍には一週間分の朝・昼・晩のメニューと写真、作り方が載っているから、参考にしながら、一日60gのたんぱく質をしっかり摂って行こう!と決めた。

さあ、夏休みまであと4日出勤。しっかりとタンパク質ファーストと水分補給で猛暑を乗り切ろう!

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2022年8月3日記事

https://www.aylife.site/post-15806

「70歳の自分をリアルに想像する」【健康・高齢】

『Life Tour21st』2015年8月3日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1035781654.html

「複線思考で働く、デュアルに暮らす」


『荒野の胃袋』井上 荒野・著(潮出版/文庫レーベル)【選書・文化】

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『荒野の胃袋』井上 荒野・著(潮出版/文庫レーベル)

簡単レビュー

映画『あちらにいる鬼』(2022年11月全国ロードショー)の原作者が紡ぐ、 「おいしいもの」にまつわる50の風景。

~食卓のおかげで私たちは「家族」だった~


2014年9月に刊行された、単行本『荒野の胃袋』の文庫化。

直木賞をはじめ、数多くの文学賞を受賞し、随筆やエッセイ、絵本の翻訳でも高い評価を受ける井上荒野さんは、食べることが大好きで、料理上手でも有名。

そんな著者が軽妙な筆致で描き出す、「おいしいもの」にまつわる50のショート・エッセイ。


食べ物の記憶にはいつも味や匂いとともに、ステキな情景や思い出もついてくる。

本文に紹介された一品をおいしく作れるレシピを、色鮮やかなカラーイラストとともに収録。


巻末には文庫化のための豪華特別対談 角田光代 × 井上荒野「生きること 食べること」を収録。必読だ。

◎ 本書に登場するメニュー紹介

全50のテーマ項目を「春」「夏」「秋」「冬」に分けて構成。

春→ にぎやかな筍 ◎今年もお弁当 ◎にぎやかな筍 ◎キングオブエビフライ ◎フランスうどんの音 ◎うどん問題、あるいはルーツ ◎ステーキバトル ◎コンビーフ自分史 ◎塗りものと二日酔い ◎煮干しはえらい ◎混ぜごはんの領土問題 ◎クレッソンとサラドと鰐梨と ◎ササミ礼賛

夏 →切ない梅酒 ◎外食考 ◎大人な茄子 ◎昔のとうもろこし ◎切ない梅酒 ◎香ばしき魂 ◎裏通りの冷やし中華 ◎ひみつのカニカマ ◎「しぼりたて」と「てかてか」 ◎王女様のチーズサンド ◎麦茶、あるいは敬意の問題 ◎青春のインスタントラーメン

秋 →夜とロシアとコロッケと ◎ろくちゃんの茄子 ◎煮込みの明日 ◎キングオブ干物 ◎ケーキを焼く理由 ◎幻のミートパイ ◎ひとり羊 ◎夜とロシアとコロッケと ◎なんちゃってポルチーニの幸福 ◎パーフェクトな秋刀魚 ◎絶滅危惧種の卵 ◎男らしさと油揚げ ◎じゃがいもをする話 ◎母と食べる

冬→ おせちを作る理由 ◎「ごろっとしたごはん」考 ◎レディとトランプのスパゲッティ ◎主婦の昼ごはん ◎葱の青いところ ◎孤高の牡蠣ごはん ◎干鱈と闘う ◎大晦日の鰤かぶら ◎悩ましきお雑煮 ◎黒豆の心 ◎おせちを作る理由 ◎元旦と甘酒 ◎がり餅と火鉢 ◎納豆と想像力 ◎最後の晩餐

               ★★★

これまで、井上荒野さんのエッセイは読み続けてきたが、本当に「食」に関する文章が多くて驚く。

なぜだか、読むこと(読了)を促進する井上荒野さんの文章がこれまた素晴らしい。

何しろ、美味しそうなテーブルの再現が文章でされていることが、「本書を手に取った読者を満足させる一番の要因」なんじゃないだろうか?

そして、その「料理」なり「器」が持つ背景がまたいいのだ。

例えば、「別れた男性から、料理を1品教えて欲しい」と、言われて教える場面。

これまで、生きてきた中で食べた数多くの料理の中から選び抜いた一品が、別れた彼女の作る「料理」だった。

そして、彼女から教えてもらった料理を作る男性の「至福」の人生が小さく完成する・・・。

小説の中にも「器」や「料理」を描く場面の多いことで、わたし自身も井上荒野小説に、一気に心を掴まれたことがある。

猛暑続きで、食欲減退ぎみの方へ!こんな一冊が貴方の胃袋を掴んで離さないかも(笑)

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2022年7月24日記事

             

コンビニのさらなるよろずや化を知る~ちょっと硬いけれど、面白いタイトルの書籍も紹介🎶【暮らし/選書・役に立つもの/文化】

【ブログ新規追加1525回】

近頃は、ドラッグストアでインナーを販売しているのが普通になった。写真のインナーは主人が近所のドラッグストアで衝動買いしたもの。(確か780円税抜きとか)テロテロの素材で-7℃超冷感!というのに惹かれちゃったそう(笑)

わたしの仕事場である書店でも、リラックスウエアがだいたい置いてあるし。


そういえば、わたしも5月にコンビニのファミリーマートで、春色の靴下を買った。

そのファミマがさらに拡大して、現在では衣類まで売っているではないか?!

軽い驚きとともに、さっそく見に行ってきた。

• 商品画像/公式より

「綿麻 開襟シャツ」とか「綿麻 イージーパンツ」とか。

どれどれ、お値段は?

コンビニエンスウェア「綿麻 開襟シャツ」(くろ・M/通常価格・2990円)コンビニエンスウェア「綿麻 イージーパンツ」(くろ・M/通常価格・2990円)2着でだいたい6000円!コンビニでそんなに使う?!

時代が変わったのかな。なんとなくコンビニに行くことが滅多にないので、初動買いすることもないし。

でも、「使うあてのないお金」をたくさん持っていたら、ノリで買っちゃうかも(笑)


そんな、コンビニよろずや化の話を書いてみた。

• 商品画像/公式より


さて、今回、どうしても紹介したかった書籍があるので、ここに載せる。

『文学は何の役に立つのか?』平野啓一郎・著(岩波書店)

簡単レビュー

文学は、私たちの人生や社会に対して、どんな意味があるのだろうか。

人間の生を真摯に見つめ、現代の問題群に挑み続ける小説家が、文学の力を根源から問う。

大江健三郎、瀬戸内寂聴ら、先人たちの文業にも触れながら、芸術や社会へと多岐にわたる自らの思考の軌跡をたどる。

読者を新たな視座へと誘うエッセイ・批評集成である。

                ★★★

さて、「文学。特に小説が役に立つ」のか?どうか?

わたしは、役に立つと思う。

あの東日本大震災の後、被災地の書店がほぼ閉店してしまった。

それでも一部の書店が早々に開店したところ、被災された方々の多くが詰めかけ、皆さん、小説というか物語をたくさん購入されたと出版業界情報で聞いたことがあった。

現在では、全国のリアル書店が1万店を切ってしまった!と。書店減少に歯止めがかからない世の中だが、いざという時、人は書籍を文学を求めるのだろう。

きっと、それは日本人の基礎的教養の高さ=品格が備わっているからだと感じている。

今回、久しぶりに「文学の必要性」を考えさせられた一冊だった。

あなたの「いざ!」という時に必要な本は何?

そんなことを妄想してみてもいいかも。

それでは、また~~~♪

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『SunTAMA Style』2020年7月3日記事

『SunTAMA Style』2024年7月3日記事