『50歳の棚卸し』住吉美紀・著(講談社)【選書/ベストセラー紹介・文化】

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『50歳の棚卸し』住吉美紀・著(講談社)

簡単レビュー

著者自身の赤裸々な自己開示に共感の嵐!
ミドル女性向けNo.1WEBマガジン『ミモレ』で大反響を呼んだエッセイ連載が、大幅な書き下ろしを加えて待望の書籍化。

50 歳までひた走ってきたフリーアナウンサーが、これまでの人生を棚卸ししてみたら。
自分のせいで番組終了、ヤバすぎる元カレ、心が乾き切った40代での婚活、壮絶な不妊治療……。
辛い経験にも愛しい思い出にも真正面から向き合って見えてきたのは、“自分にとっての本当の幸せ”。

「私は不幸でもない、ひとりでもない、失敗してもいない。
私はもう、大丈夫だった」

人生後半を心豊かに、軽やかに生きるヒントが満載!
前向きなユーモア溢れる筆致で綴った、著者16年ぶりのエッセイ集。


【住吉美紀 Miki Sumiyoshi】
フリーアナウンサー/文筆家。紅白の総合司会も務めた元NHKアナウンサー。平日朝の帯番組、TOKYO FM『Blue Ocean』の人気パーソナリティ。


【目次】
第1章 ライフワークを棚卸し
第2章 恋愛と結婚を棚卸し
第3章 子のない人生を棚卸し
第4章 いろんな「家族」を棚卸し
第5章 棚卸しで見えてきた、今とこれから

            ★★★

TOKYO FM『Blue Ocean』大人気パーソナリティ・住吉美紀さんのエッセイを紹介。

2025年9月4日発売。と同時にベストセラー入り!

書店で、仕事の合間にサッと見てきた。なんともほのぼのとした表紙。

発売1週間で、ベストセラーに入っちゃうすごさ!!

毎日、営業の車中で楽しみに聴いている住吉さんの番組。

とにかく元気がいい。あの声に励まされている人の多いことったら!

もちろん、わたしもその一人。

男女、年齢を問わず、誰にでも受け入れられるそのお話しぶりや、リスナーの相談ごとへの返答など、大好きになってしまう要素がたっぷりの魅力的な人柄。

その話しぶりがそのまま、書籍となって出版されたんだもの。売れるハズよね。

◎東京FM公式より画像拝借

車移動でなくても、家で平日(月~木)の朝9時~10時55分まで住吉ワールドに浸るのもいい。

それでは、また!

※金→書籍紹介・旅(アクティビティ)をアップ予定。

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『SunTAMA Style』2020年9月12日記事

『SunTAMA Style』2021年9月12日記事

『SunTAMA Style』2022年9月12日記事

『Life Tour21st』2017年9月12日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1067677092.html 「家にあるものでちょこっと晩酌」

『バリ山行』松永K三蔵・著(講談社)【選書・文化】

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『バリ山行』松永K三蔵・講談社

簡単レビュー

第171回芥川賞受賞作。(2024年上半期)


あらすじ


古くなった建外装修繕を専門とする新田テック建装に、内装リフォーム会社から転職して2年。

会社の付き合いを極力避けてきた波多は、同僚に誘われるまま六甲山(標高932m)登山に参加する。

その後、社内登山グループは正式な登山部となり、波多も親睦を図る目的の気楽な活動をするようになっていた。

職人気質で変人扱いされ孤立している、ベテラン社員妻鹿(めが)があえて登山路を外れる難易度の高い登山「バリ山行」をしていることを知ると……。

「山は遊びですよ。遊びで死んだら意味ないじゃないですか! 本物の危機は山じゃないですよ。街ですよ! 生活ですよ。妻鹿さんはそれから逃げてるだけじゃないですか!」(本文より抜粋)

会社も人生も山あり谷あり、バリの達人と危険な道行き。圧倒的生の実感を求め、山と人生を重ねて瞑走する純文山岳小説。

                ★★★

やっと手にいれた「バリ山行」

おもに六甲山を舞台に書かれた小説だ。

かっこいい装丁。

もくじもない、はじめにもない、あとがきなどない。

一気によませる161ページ。

期待しかない、待ち望んだ「山岳読書登山体験」だ。

一本のあらすじが貫く、「山の怖さ」と「社会の厳しさ」これが、ビジネスマンに受けた一番の理由だ。

伏線回収は、最後にしれっと、訪れる。見事としか言えない。

バリとは?簡単に説明しよう。

山で言うバリエーションルートとは、一般の登山道として整備されていない、難易度の高いルートのこと。

道標や整備された道がなく、ルートファインディング(正しい道を見つける技術)と、クライミングやロープワークなどの登山技術が必要とされえる。

体力だけでなく高度な技術と経験が求められ、登山図などにもルートが記載されていないため、登山者は自己の判断で進む必要がある。

男性的な要素が強くハード面でも装備面でも魅力的だが、一方では自然破壊につながる行為だと賛否が分かれる。

このあたりの社会的議論も含む内容が読み応えを増す。

                ★

以前、伊豆高原の三筋山(標高821m)で「軽いバリ」をやっている男性登山者達を見かけた。

急な山頂付近の岩肌を、数人で一気に駆け下りてきた。

えっちらおっちら、最後の急登を登っていたわたしは、何のことだかわからなかったが、一般道をまったく無視したその下りの様相は、自然破壊?を連想させる勢いそのものにも思えた。

手に持つピッケルで藪を切り裂き、ガンガン進む「藪漕ぎ」をやっていた。

ああ・・・危ないな・・・としか思えなかったわたしは、ひたすら一般の登山道を一歩、一歩ゆっくりと登り登頂した。

もちろん、帰りも来た道をピストンした。

「藪漕ぎ」された後を歩いたらショートカットできるのだろうが、踏み倒された自然をさらに踏み馴らすことは、はばかれたから。

で、今回紹介した「バリ山行」は、その一見、身勝手に見える「バリエーションルート」を毎週登り、ヤマレコ?のアプリに記録している会社員「妻鹿・めが」と、仕事に悩む「波多・はた」という「バリにハマる男」の社会派小説だ。

こわいのは、ヤマレコ?アプリに毎週のバリルートを記録投稿していること。

それを誰にも言ってはいない妻鹿だったが、ある日を境に数人に見つかってしまい、「バリ」をやっていることを知られてしまう。

ちょっとだけいいな?!と思ったのが、山アプリの登録者名だ。

主人公の波多は「Hatagonia」女性社員の多門さんは「Tamontbell」でアウトドアメーカーの名前と自分の名前のミックスでつけられていたことだ。

どこかで真似したい発想(笑)

で、山アプリの話に戻ると。

なるほど。

単なる山行記録だと思ってルート設定していたものが、勝手に他人に見られてしまう。

WEBアプリだから公開設定で投稿すれば、当然といえば当然だ。

そういった個人情報はしっかりと管理しなくてはいけない。

他人に見られないように設定する?有料会員になる?などの手配が必要なのかしら?

わたしは、誰にでも行ける山(観光的な)しか行かないので、登山アプリは登録もしていないし、有料会員にもなってはいない。

そういった山関連の装備なども結構詳細に書かれている。

一冊の小説から得られる情報はとても多い。

もし、山が好きなら読んでみてもいい一冊だ。

なにより、その「一気に読ませる文脈」には舌を巻くだろう。

山岳小説は「登らずして登る」もの。こんな登山体験もいい。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2024年9月6日記事

『Life Tour21st』2015年9月6日記事

ターシャ・テューダーの仕事観

https://lifetour.blog.jp/archives/1039225785.html

『ちひろの絵のひみつ』ちひろ美術館・編(講談社)【選書・文化】

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『ちひろの絵のひみつ』ちひろ美術館・編(講談社)

簡単レビュー

あなたも「ちひろタッチ」が学べる
名作の技法を解き明かす!
実体顕微鏡で作品の“細部”に迫る

この本は、いわさきちひろの絵画技法に焦点をあてた初めての本です。

ちひろの絵は、没後30年たった今でも、たくさんの人に親しまれています。その理由のひとつは、ちひろの絵が誰にでもわかりやすいからでしょう。

わかりやすいということは、絵のテーマが子どもであったり、犬や猫や小鳥や花だったり、身近なものだからです。誰でもよく知っているものは、理解しやすいものです。


しかし、、描かれているものがわかりやすい、というだけでは、じつは充分ではありません。

私たちが日頃感じている子どものかわいらしさを、可憐な花の美しさを、絵がみごとに語ってくれているとき、その作品に共感するのです。(中略)

絵を描く、ということは、自分の思いや感動を人に伝えることです。

音楽も文学も、美術も、あらゆる芸術表現の根本は同じです。芸術家が技術を磨くのは、自分の感動を、より豊かに伝えたいからにほかなりません。(中略)

本書は、自分らしい感動を表現したい、と思っている方々に、ちひろがどんな工夫をして、自分の作品を作り上げたのか、その一端を紹介して参考にして頂きたいと思い、編集しました。

また、いわさきちひろという画家と、その作品をより深く理解したい、という方々にとっても本書はきっと役に立つことでしょう。(ちひろ美術館常任顧問 松本 猛)~はじめに~

              ★★★

どんなことでも、何年も何十年も地道な努力や工夫を積み重ねて、「自分のスタイル」を作っていくものだろう。

今回、取り上げた本書の絵画技法を真似ても、すぐに身につくものではない・・・ということをうかがわせる、ちひろの創作の実態が明かされている書籍だ。

ちひろの「ぼかし」の技法は、江戸時代初期の名画家・俵屋宗達の技法を猛勉強したすえに出来上がった、独自のスタイルなのだという興味深い話もあった。

真似るということは「学ぶ」こと。

いいな!っと思ったら取り入れてみるのも一案かもしれない。

先日の安曇野ちひろ美術館訪問でこの本に出会った。

見本をパラパラを見て行くうちに「欲しい!」と思い夫に伝えたら買ってくれた(笑)

一朝一夕でできることは、誰にでもできる。

わたしも、ちひろのような地道な努力を積み重ねて「自分のスタイル」を文章と写真で表現していきたい。

それでは、また!

安曇野ちひろ美術館の1日入館証。この入館証で公園や庭園からの出入り自由になる。

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『SunTAMA Style』2021年8月29日記事

『SunTAMA Style』2022年8月29日記事

『Life Tour21st』2017年8月29日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1067491444.html 「グラマラス香港」

『スーパーホテル「マニュアル」を超えた感動のおもてなし』原 良憲・嶋田 敏・星山 英子/共著(かんき出版)【選書・文化/ワークスタイル】

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『スーパーホテル「マニュアル」を超えた感動のおもてなし』原 良憲・嶋田 敏・星山 英子/供著(かんき出版)

簡単レビュー

京大教授陣がおもてなし・ホスピタリティを科学した!
あらゆるサービス業の最大の悩みは、店舗ごと、スタッフごとで提供するサービスの質にばらつきがあることだ。属人的なものだから、仕方がないとあきらめている経営者や店長は多い。

スーパーホテルは8割がアルバイトの現場。緻密なマニュアルはない。しかし顧客満足度調査9年連続1位を実現している。その秘訣は何か?


本書では、京都大学とスーパーホテルがタッグを組み、「おもてなしの科学化」「暗黙知の形式知化・定量化」に取り組んだ共同研究の内容を紹介。


さらにスーパーホテルには、スタッフ一人ひとりの高品質のサービスを支える「徹底した理念の浸透」と「自律型感動人間の育成」、この両輪がある。


科学化された「おもてなしのノウハウ・知見」×「理念経営×自律型感動人間」、2つのノウハウ・ドゥハウは、あらゆるサービス産業に展開できる。


サービスの質にばらつきがある、店舗全体のサービスのボトムアップがはかれない、人が応募してこない、辞めていく……こんな課題を抱えるあらゆるサービス産業の経営者、幹部たちに、「こういう仕組みをつくれば、スタッフが、お店が、そして会社が大きく変わる!」というヒントになる一冊。

もくじ
プロローグ~刊行に寄せて~
第1章○答えは現場にある!
    マニュアルを超えるおもてなしへの究極のこだわり
第2章○現場のおもてなしを科学する!
    京都大学との共同研究とその成果
第3章○全スタッフが理念実現に向けて一丸となる!
    理念浸透の究極の仕組み
第4章○自律型感動人間を育成する!
    究極の仕組み
第5章○どんなサービス業にも応用できる!
    「理念経営×自律型感動人間」という
    究極のサービスマネジメント
エピローグ~スーパーホテルがこれから目指すものとは?

             ★★★

今回で3回目のスーパーホテル宿泊。(1回目の山梨県スーパーホテル河口湖では、温泉も素敵で、焼きたてデニッシュも楽しみ、山梨の清酒、ワインなど最高だった。2回目は静岡県富士市)

スーパーホテルの何が楽しみか?って、それは、飲み放題のお酒・ソフトドリンク・コーヒーが自由に頂ける「ウエルカム・バー」と「ホテル内にある地元の天然温泉」「地産地消の地元食材をふんだんに使った朝食」だ。

旅の予定が出てきたあたりで、かならず「スーパーホテル」の所在を確かめている。

あったら、まず「ウエルカム・バー」いわゆるお酒飲み放題のバー(時間制限あり)がついているか?(導入なしもあり)と、「地元の温泉浴場」があるか?駐車場の有無(料金も)そして1泊の値段などを細かく調べている。

今回、松本に泊まる計画を立てた。松本には「お城口」という松本城に5分という好立地の大人気スーパーホテルがある。

ここだと、日曜宿泊で一人8000~9000円ぐらい(一番高い日で17000円!もあった)。

もちろん、ウエルカム・バー、天然温泉、朝食つき。駐車場は有料コインパーキング。

夜の国宝松本城の「ライトアップ」もすぐそこ。それでこの値段は安い!ただ、インバウンド景気ゆえ、なかなか取れなくなってきた。

で、今回、わたし達が宿泊したのは、松本駅徒歩2分にある「スーパーホテル松本駅前

日曜宿泊で、一人5800円(ヤフートラベル手配)。新しくできたばかりのとってもきれいなホテルだ。(残念なのは温泉施設はなし)

ウエルカム・バーはなんと15時~20時のロングでオープン。ほとんどの宿泊者は、皆チェックインしたら、お部屋に行く前にまず、一杯頂く・・・という至福のサービスがある。

わたし達もしっかり、ハイボールを頂き、旅の疲れを癒してからお部屋へ。

今回は3人用のコネクティングルーム。おまかせ(安い)だったのでとっても嬉しい。

豪華ではないが、なにしろきれい。新しいだけで幸せな気持ちになる。

部屋のしつらえが秘密基地風(笑)

で、松本城はホテルから徒歩15分圏内だけど、これまで昼と夜と見に行っているから、今回はホテルでゆっくりしよう!と。

フロントで頂いた温泉入浴剤を入れてお部屋のお風呂に入って、お昼寝して、夕方18時に用意しておいた夕食やおつまみをウエルカム・バーに持ち込んで、2時間たっぷりと旅の話をしつつ、信州の地酒や安曇野ワインとともに楽しんだ。

で、ウエルカム・バーで展示されていた、「スーパーホテル感動のおもてなし」を見つけて、お酒とともにバーのソファーでゆっくりと読書させて頂いた。

これも至福。

だいたい、80席ぐらいあろうかと思うフロアが、ほぼいっぱいになっていた。

それぞれ、おつまみや食事を持ち込んで飲みつつ、しゃべりつつ、松本の夜を楽しんでいた。

ワイワイとうるさい人たちは皆無で、皆さん静かにゆったりとくつろいでいるのが印象的だった。

頂いた美容液をしっかりと塗り込んで朝5時までぐっすり。フロントで借りた専用枕で、ふかふかの布団にくるまって爆睡(笑)

で、トレッキングに行くので6時半一番に朝食ビュッフェを頂きに行って、このホテルがさらに大好きになった。

それは、宿泊者ひとりひとりに声かけをいっぱいするスタッフの姿。

信州の地元名産を使った朝食の説明や美味しい食べ方も教えてくれる。

毎回、朝一番で頂くのは、地元の牛乳とヨーグルト。

今回は安曇野の牛乳と濃厚ヨーグルトにはちみつ。

お腹に染み渡る美味しさ。

また、お料理がなくならないように補充をしている手際のよさ。補充したらアナウンスするなど、とにかく笑顔の声出しが徹底されていた。

楽しく働いているんだろう・・・と、思わせてくれる声掛けの効果は絶大だ。

働くを楽しむ先には、奇跡が待っているのだと感じた。

施設も新しく、デザインされて気持ちのいいお部屋だったし、どこもピカピカで嬉しい。

さらにビルの1F駐車場(1泊1000円出し入れ自由で追加なし)も取っておいた。名札をつけてくれていて安心だった。

たぶん、この値段でここまでホスピタリティ溢れるお宿は、ないんじゃないか?と思ったので書籍を紹介した。

まず、旅を決めたらスーパーホテルがあるか?調べてみて。


最後に朝食後に頂いたミニパンケーキ(ミックスベリー&メイプル添え)を。

長野県中信地方の経済、商業、文化の中心地、松本。

スーパーホテル松本駅前は「国宝 松本城」の最寄りJR篠ノ井線松本駅より徒歩約2分の所に立地している。

無料ビュッフェ朝食では、彩り野菜サラダやとろろなど健康的なメニューを取り揃えている。

信州松本に旅する機会にはぜひ。

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(すべて更新済み)

『八ヶ岳南麓から』上野千鶴子・著(山と渓谷社)【選書・文化 / ワークスタイル】

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『八ヶ岳南麓から』上野千鶴子・著(山と渓谷社)

簡単レビュー

東京⇔山梨。二拠点生活のリアルを綴る
著者初の「山暮らしエッセイ集」待望の書籍化。

四季の景色や草花を楽しむこと、移住者のコミュニティに参加すること、地産の食べ物を存分に味わうこと、獣・虫との闘いや浄化槽故障など想定外のトラブルに翻弄されること、オンラインで仕事をこなすこと、「終の住処」として医療・介護資源を考えること……。
山暮らしを勧める雑誌にはけっして出ていないこと」までも語られる、上野千鶴子版「森の生活」24の物語。

わたしのいまのテーマは「大好きな北杜で最期まで」
それにもちろん「おひとりさまでも」が加わる。
―――本文より

                ★★★

夏休み前のこと、山と渓谷9月号「八ヶ岳」特集で、この書籍を知った。

えっ!?上野千鶴子さん?あの「おひとりさま」という言葉を流行らせた東大教授だった方?

なんと、八ヶ岳に移住して早20年!だそうだ。しかも彼女は富山出身の自称「山女」だという。

特に八ヶ岳に移住してからは、毎年極寒の中、早朝からお得意のスキーをたしなんでいるのだそうだ。

年に30日は滑りに行くと。

そんな社会学者の上野千鶴子さんの八ヶ岳での暮らしぶりを覗いてみたくて、夏休み初日に本書を手に入れた。

あの新書のお堅いイメージではない、ブルーの素敵な装丁に心が奪われてしまった。

中のイラストもとっても素敵。第一、文章がめちゃくちゃ読みやすい。上野さんがそばで語っているかのような表現ばかり。

なぜ、移住したのか?

実は大変なことばかり!

高齢になったらどうする?(すでにかなりの御歳・笑)

別荘派と移住派の違い。

などなど、興味深いエッセイが 24編。

わたしが、唯一真似しているのは「夏の八ヶ岳・火を使わないレシピ」だ。

• 桃のスープ(完熟桃をカットして牛乳、ヨーグルトとミキサーで攪拌して完成。スパイスなし)

• とうもろこしのポタージュ(ゆでで、粒をバラバラにしたら牛乳とミキサーで攪拌してできあがり。スパイスはお好みで)

• レタスの韓国海苔サラダ(ちぎったレタスに韓国海苔を揉んで振りかけるだけ)

• ズッキーニのスライス・オリーブオイルがけサラダ(ひらひらの紙みたいにスライスしたらオリーブオイルと塩でどうぞ)

この4点。

大好きな果物や野菜ばかり。真夏の前菜にいかが?

家で、別荘ごっこするにはもってこい!のレシピよ(笑)

というわけで、素敵な山暮らしをされている社会学者上野千鶴子さんのエッセイ本を紹介した。

わたしも旅先で避暑して読んできた。

この夏は、旅先の関連書籍を3冊読んだので、8月最終週は旅をなごり惜しむブックレビュー週の予定。

(月)八ヶ岳・移住エッセイ

(水)松本ホテル・ビジネス

(金)美術館・絵の描き方

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年8月25日記事

『SunTAMA Style』2021年8月25日記事

『SunTAMA Style』2022年8月25日記事

『SunTAMA Style』2023年8月25日記事

Ku:nel 2025年9月号『それゆけ!大人のニッポン観光』【選書・文化】

『ブログ新規追加1388回』

簡単レビュー

それゆけ! 大人のニッポン観光

テーマがあると旅はもっと楽しくなる。
杉浦さやかさん/甲斐みのりさん/岡美里さん
大谷有紀さん/しらいのりこさん

酒井順子さんが助言&提案
自分らしさ100%の 
新・旅テーマで出発!

2泊3日、ゆるり大人のニッポン観光、
テーマ旅のすすめ。

                 ★★★

長い夏休みももう中盤を過ぎて、ワタワタと、避暑への旅を準備している。

この数日、色々とあったことを書いてみる。

休み始めて、順調に疲労も溶けはじめた月曜。

やっぱりそれまでの猛暑と詰め込んだ仕事の「ツケ」が身体に出てきた。

数年前に罹った「皮膚感染症」の一種だ。

服の中で、何かが「チク!」と弾けた音がして痛みが全身を貫いた。

それでも、さほどの痛みではなかったので患部を診ないまま就寝。

朝、恐る恐る患部を診てみたら「真っ赤になった大小の斑点がいっぱい・・・」猛烈な痒みと痛みで、気持ち悪いったら(泣)

で、すぐにかかりつけ医のいる病院へ出向くも、夏休み中で診てもらえず。

それから夫に検索をしてもらいながらなんとか、口コミ評価の良い皮膚科のある病院を見つけて、駆け込みで診て頂き処方箋を出してもらい、事なきを得た。

疲れと猛暑で免疫力がガタ落ちだった様子。

薬はすぐに効き始めて、猛烈な痒みと痛みから解放された。

今は、めっちゃ幸せ(笑)

だから、予定していた2泊3日の旅行も中止してもいいかも・・・とか一瞬考えた。

家にいることも充分楽しいし、ことさら旅に出なくってもって。

しかし、身体も治りつつあることだし、予定を1泊に短くして出かけようということになり、昨日プランをガラッと変えた。

詰め込みはせず、無理がなく疲れない方向へとシフトした。まだしっかりと治り切ってはいないので、軽い山歩きにしたり温泉も取りやめた。

しかし、長い休みがあることで、気持ちに焦りもなく、体調が崩れてきてもネガティブにならずに済んだのは幸い。

これで、今年の夏休暇も旅で〆ることになった。

                ★★★

年に数回、旅に出る暮らしを続けて数十年が経つ。

どんどん旅慣れてきて、旅の荷造りもささっと、できてしまう。

それでも毎回思うことは「旅に出る前の自分と、旅を無事に終えて帰ってきた自分は前とは違っているはず」だと。

変われることって、大事なんじゃないかな。

それを叶えられるのが「旅」だと思う。

それでは、また!

※ 来週のブログアップは(火・木・土)の予定。

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『SunTAMA Style』2020年8月15日記事

『1945年8月6日あさ8時15分、わたしは~原爆を体験した子どもたち』言葉/原爆を体験した子どもたち・絵/いわさきちひろ(童心社)【選書・文化】

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『1945年8月6日 あさ8時15分、わたしは~原爆を体験した子どもたち』言葉/原爆を体験した子どもたち・絵/いわさきちひろ (童心社)

1945年8月6日、あさ8時15分。

当時の子どもたちが書き残した言葉を、いまを生きるすべての人へ。


日本で初めて戦争をテーマに、青少年の子どもたちに向けてつくられた絵本『わたしがちいさかったときに』(童心社)の刊行から58年。

この本に収録された、原爆を体験した子どもたちの言葉をいまにつないでくれるのは、児童文学作家のあまんきみこ、詩人のアーサー・ビナード、当時の執筆者の小川俊子が語る言葉と、いわさきちひろが描いた絵。

とどまることのない時間の流れのなかで、時をこえて当時の子どもたちと出会い、わたしたちは今日を、明日をどう生きるのかをともに考える絵本である。(amazonレビュー引用)

                ★★★

広島県出身の夫と、広島に本籍を持つわたしたちにとって、8月6日は特別な日。

偶然にも原爆投下を免れた義父の体験は、幼い頃から聞いてきたという、夫の話をまとめて以前のブログに書いてきた。

戦後80年。

途方もなく遠い記憶ではなく、現代まで様々な形で語り継がれてきた「負の遺産」だ。

この日は、戦争で亡くなった多くの命を悼みつつ、今が幸せであることに感謝をする。

こんな敬謙な思いをさらに強くしている。

この1年の間には、本籍を広島に持つ息子夫婦を伴い、家族で広島帰省を果たしたい。

今、一番「訪れたい旅先」であることに間違いはない。

家族が増えた喜びを墓前に報告すること、そして「HIROSHIMA」で平和を皆で語りあう。

8月6日は「恒久平和」を願い語る日。

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『SunTAMA Style』2020年8月6日記事

『SunTAMA Style』2021年8月6日記事

『SunTAMA Style』2022年8月6日記事

『SunTAMA Style』2023年8月6日記事

『哲学するベートーヴェン』伊藤貴雄・著(KOUDANSHA)【選書・文化】

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『哲学するベートーヴェン  カント宇宙論から《第九》へ (講談社選書メチエ 824)』

簡単レビュー

「われらが内なる道徳法則と、われらが上なる星輝く天空! カント!!!」
1820年、49歳のベートーヴェンは筆談用のノートにこう記した。

《第九》初演のおよそ4年前にあたる。

ここに引用されているのは、ほかならぬカントの『実践理性批判』の結語の一部だが、少しアレンジされている。

そのアレンジは、なぜ生じたのか。そしてベートーヴェンのこの感激は、何を物語るのか――。

その問いは《第九》に込められたベートーヴェンの思いへとつながっていく。


若き日にはボン大学で講義を聴講していたこともあるベートーヴェンと、彼を取り巻く文化的・社会的文脈から《第九》を生んだドイツの時代精神を描き出す意欲作だ、

ベートーヴェン(1770-1827)が生きた時代のドイツ語圏には、ゲーテをはじめヘーゲル、シラー、フィヒテ、シェリングと綺羅星のごとき知性がいた。そのなかでひときわ大きく強い輝きを放ったのが、巨星イマヌエル・カント(1724-1804年)である。


天文学と神学、そして音楽がまだかろうじてつながりを保っていた18世紀後半にあってカントの哲学は、ベートーヴェンの音楽にも大きな影響を及ぼした。哲学と音楽、それぞれの領域でドイツを代表するといっても過言ではない二人が、これほど近接した時を生きたことにこそ、《第九》誕生の秘密はあった。


若き日、ボン大学で講義を聴講していたベートーヴェンに遡り、やがて訪れる「苦悩を突き抜けて歓喜へ」と至る道筋を追いながら、有名無名さまざまな人的・知的交流の網の目を丹念に浮かび上がらせることで「知の歴史」を描くこれまでにない試み。

もくじ
プロローグ
第1講 啓蒙都市ボン
第2講 ボン大学の教授たち(その1)
第3講 ボン大学の教授たち(その2)
第4講 皇帝カンター第5講 歓喜に寄す
第6講 無限と宇宙
第7講 シラーとカント
第8講 危機の時代
第9講 歌劇《レオノーレ》
第10講 苦悩を突き抜けて歓喜へ
第11講 カント宇宙論に挑む
第12講 会話帳をめぐる問い
第13講 星空のエチカ
第14講 第九交響曲
エピローグ

            ★★★

音楽大学に通ってた時に出ていたら、手に取りわりと本気で読みふけったのではなかろうか?

そんな、音楽の巨匠と哲学のマリアージュ?!な一冊。

音大時代に、初歩の哲学を授業で取ったが、浅い知識がお好みだった(笑)から、本格的な哲学みたいな授業に、あまり興味が湧かなかった。

哲学の授業の90分は、一体何をしていたのか?と言えば、1に睡眠!2に睡眠・・・(笑)

余った時間で、当時大好きだったユーミンのあらゆる楽曲を五線譜に書き表わして歌詞をつけて遊んでいたっけ。

ただ、耳だけは授業を聞いているので、最低線の内容は覚えていた。マルチタスクな自分に少々己惚れていた頃の話。

例えば、佐久間象山の幕末の教えとか、今回のカントとは?とか国内外の哲学者を中心に、哲学という教えの入口をサラッと学んだことを覚えている。(時系列ではなかったような)

『哲学するベートーヴェン』なんとも響きが素敵な一書。夫の部屋にあったので拝借してきた。

ベートーヴェンの楽曲に触れ続けてきたし、これからも年末には必ず『第9』を聴いて年越しするだろう。

そんな、楽曲の裏話をこれまで知る良しもなかったから、この夏はいっちょ、「哲学」でも読み込んでみようか!と、ねじり鉢巻き中よ(笑)

まあ、読了はOKでしょう!ただ理解できるのかは無限(笑)

それでは、また!

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――旧記事更新

『SunTAMA Style』2020年7月28日記事

『SunTAMA Style』2021年7月28日記事

『SunTAMA Style』2022年7月28日記事

『SunTAMA Style』2023年7月28日記事

『忘れる読書』落合陽一・著(PHP新書)【選書・自己啓発】

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簡単レビュー

ディアアーティスト、筑波大学准教授、ベンチャー企業の代表など多彩に活躍する著者、落合陽一氏。

時代の先端を行く著者の思考の源は、実は読書で培われたという。それは、読んだ内容を血肉にするための「忘れる読書」だ。

デジタル時代に「持続可能な教養」を身につけるために必要なのは読書だと、著者は断言する。

本書では、古典から哲学、経済書、理工書、文学に至るまで、著者の思考を形作った書籍を多数紹介し、その内容や読み解き方を詳説する。

著者独自の読書法はもちろん、本の読み解きを通して現代社会を生き抜く思考法までが学べる、知的興奮に溢れる一冊。 

もくじ

第1章 持続可能な教養――新しい時代の読書法

第2章 忘れるために、本を読む

第3章 本で思考のフレームを磨け

第4章 「較べ読み」で捉えるテクノロジーと世界

第5章 「日本」と我々を更新(アップデート)する読書

第6章 感性を磨く読書

第7章 読書で自分の「熱」を探せ

                 ★★★

最近、気づいたことがある。

わたしは「X」に書籍専門のアカントを開設している。(現在、フォロワー3265人)

書籍専門だから、日常的な記事やつぶやきをアップすることはない。

もっぱらブログの選書記事を載せているだけなんだけれど、書籍の紹介記事はたくさんの人々に立ち止まって見て頂けているなあ・・・と率直に感じている。

インプレッションという「記事の立ち見」数がどんどん増えているのを実感している最中だ。(だいたい1記事200~300ぐらい)

そうそう、最近では書店にも人が戻ってきているのも実感中よ。

話をSNSに戻そう。

会話を目的としていない、書籍を紹介するアカウントだから、本当の「本好き」が集まってきているのだろう。

この書籍専門アカウント(旧Twitterから)も、もう10年続いている。

これまでもこの先も、ブログ同様に、ずっと変わらないわたしの表現のひとつだ。

書籍専門と謳っているだけに、本が好きな人が続々と集まってくるとさらに嬉しいし、良い本を紹介する!というミッションの励みにもなる。

今回紹介した、落合陽一氏の『忘れる読書』もとても良質な一書。

多読・乱読・積読(笑)の著者ならではの「本との向き合い方」ががっつりと書かれている。

学者としての視点・論点も相変わらずだが、たまには少し難し目な書籍もいい刺激になる。

大人の夏休み前にぜひ、読んでみて!

というわけで、本がもたらすSNSの話をちょこっと、書いてみた。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月18日記事

『SunTAMA Style』2021年7月18日記事


『SunTAMA Style』2022年7月18日記事

『みいこStyle』2018年7月18日記事

https://miikostyle.blog.jp/archives/19866756.html 「令和新時代はお財布小さめで!」

『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)【選書・文化】

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『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)

簡単レビュー

若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った――。
殺人×グルメが濃厚に融合した、柚木麻子の新境地にして集大成。
各紙誌で大絶賛の渾身作がついに文庫化!!

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

本作着想の根底には、世に知られた事件があったのは確かだ。しかし物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される。進路を定めた羅針盤こそ、「女性同士の友情と信頼」である。
山本一力(本書解説より)

               ★★★

この小説を知ったのは、つい最近のこと。

書店等に一斉に並んだ「文庫」の表紙が強烈だったことから。

イギリスで話題になり、ハードカバーの売れ行きが良かったことから、8年前初版の小説が文庫化されたそうだ。

業界の勢いをも感じた。

営業先への車の中で、FM東京を良く聴いているのだが、たぶん20代後半であろう、女性パーソナリティが、「今、BUTTERという小説を読んでる・・・」と。

ふっと漏らしたつぶやきだったが、わたしは、すぐに「はは~ん!あの表紙の小説か!」と思い出せるほど、印象的な表紙だったわけ。

そんなに、なぜか目立つし、かなりの勢いを持つ小説を読まない手なはいと、ハードカバーを手に入れた。

しかし、仕事と万博の準備に追われて、やっと今週から読み始めてみた。

「ああ~~、なんとなくわかるわ」的な内容だったが、ミステリーがかった、連続する「小さな突き詰められた恐怖」を感じる作品だった。

それのどこに、若き女性を惹きつけるのか?その由縁を知りたかった。

木嶋佳苗の首都圏連続不審死事件をモデルにした小説だ。若い女性たちがそんなに殺人事件に興味があるとは思えず。

あるとすれば、「様々なバターを使った美味しそうな料理が登場する」ので食べたくなってしまうという読者感情だろうと推測した。

バター醤油ご飯にしばらくハマりそうだし(笑)

一時、バターが市場から消えて、スーパーでも「お一人様1個」などと書かれたPOPを見たことある人も多いだろう。

そのぐらいバターという食べ物には「欲求・欲望」みたいな物がひた隠しにされているように感じる。

バターは欲望のメタファーだ。

それでは、また!

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『SunTAMA Style』2020年7月4日記事

『SunTAMA Style』2021年7月4日記事

『SunTAMA Style』2022年7月4日記事

『Life Tour21st』2017年7月4日記事

https://lifetour.blog.jp/archives/1066719368.html 「未来の自分をイメージする」