『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』村上春樹・著(新潮社)【選書・文化】

【ブログ新規追加450回】

一気に読んでしまった。

これまでの村上作品と比べて、遥かにモノゴトについての説明や登場人物についての情報が多く、わたしが思う「読者を置き去りにしない」秀逸な作品と言える。

小説を読むうえで、わたしが必要としているのは、伝えたいことについての説明や情報が詳細でなくとも、ある程度提供されているのを重要視している。

これまで数えきれないほど小説を読んできたから、内容が薄く書き手の勉強不足を補うリカバリーな文章表現にはもう騙されなくなった。

村上氏のこれでもか!という「ミルフィーユのように積み重なった膨大な勉強量」と「納得の行くまでゴリゴリと手直しされたであろう推敲のこん跡」が垣間見えるエンターテインメント性の高い芳醇な作品だ。

ああ、村上春樹氏ってどこまでも読者思いだったんだと改めて気が付いた(驚き!)

で、もったいないので、小説のレビューはよそう。できることなら読んでみてほしい。

簡単なあらすじだけ書き示しておく。

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編

これは、36歳の男性画家(肖像画専門の画家)の話だ。結婚6年目にある日突然妻から「あなたとはもう一緒にやってはいけないから」とだけ言われた。

その日の内に画家は車で東北方面へあてもなく放浪の旅に出ていく。

2ヵ月ほど北の街を放浪したが、もう飽きてしまい画家仲間の友だちにいきさつを電話した。

友だちの提案により、友だちの父親(有名画家)が所有する小田原の別荘で暮らすことになる。

そこから、奇妙な事件やら問題に引きずり込まれていく。

キーワードは別荘の屋根裏に隠すように置いてあった、「騎士団長殺し」という名前のついた大型の絵画だった。それは有名画家が「ある問題」を明らかにするために描いた絵画らしい。

主人公画家は、このピカソ作ゲルニカを思わせる絵画の持つ秘密を暴くつもりはなかったが、どんどん不思議とも言える人物や現象に巻き込まれていく。

例えば、いわくつきの中年男性の依頼を受け肖像画を書く案件とか、なぜだか夜中に鈴の音が規則正しく鳴り響くとか、怪しい石室の存在など毎日がサスペンス極まりない状況を冷静に分析する主人公画家。

謎だらけの話がさらに謎を生む。

そんなある日、イデアが突然顕れる。

イデアとは、プラトンが生んだ哲学だ。

「見る」という動詞(idein) に由来する。元々は「見られている」ことを前提とした「姿」「形」を表す言葉である。

作品中、時おり主人公の前に姿を顕す身長60㎝のイデアは、まさに「騎士団長」の出で立ちをしていた。

イデアが顕れるようになってからは、不思議な現象にも説明がつき、いつしか現実でも非現実でもモノゴトは進んでいくし、まったく怖いものではなくなっていった。

しかもイデアは予言ができる。

この予言に従う主人公画家の行く末は・・・。

               ★

「第2部 還ろうメタファー編」では、主人公画家とイデアが遭遇する新たな局面(解決すべき問題)をどうやって乗り越えるのかが超楽しみだ。

第1部、第2部で1000ページにも及ぶ超大作。それを一気に読ませる村上氏の筆力には脱帽する。

※8月18日夕方の月

騎士団長の放つ名言に「目に見えるものが現実だ」「しっかりと目を開けて見ておればいいのだ」「判断はあとですればよい」と。

村上氏には珍しい、モノゴトの収束をさせる場面も多数あり、この作品は第3部が続編で出されるだろうと、多くのハルキストの話題となった記憶がある。

そうね。第3部が出たらぜひ、読みたい。

どうか、村上氏、煙に巻かないで・・・(笑)

※ 騎士団長のモチーフは、モーツアルト作オペラ「ドン・ジョバンニ」の名場面「地獄落ち」からだそうだ。

まず、タイトルありきの作品となった。




『ナイルパーチの女子会』柚木麻子・著(文藝春秋)【書評・文化】

【ブログ新規追加448回】

ねえ、ナイルパーチって魚知ってる?

スズキ目アカメ科アカメ属の淡水魚。淡泊な味で知られる食用魚だが、一つの生態系を壊してしまうほどの凶暴性を持つ。要注意外来生物だ。

回転ずしで使われている大半の白身魚は偽装魚である。偽装魚とは、味や調理によって使い勝手のよい安価な食材になり変われる代用魚のことである。

例えば、真鯛→ティラピア、ひらまさ→ナイルパーチ、あいなめ、えんがわ→アメリカナマズ などetc (資料先 / 回転寿司店はアメリカナマズとナイルパーチを大半の白身魚として出す)

ナイルパーチの女子会』柚木麻子・著(文藝春秋)

第二十八回山本周五郎賞&第三回高校生直木賞作品だ。

女の友情とはいったい何なのか?を描いた問題作。(2015年3月発刊)

• あらすじ

父親と同じ大手商社でバリバリ働く主人公(志村栄利子・30歳・独身)海外出張も多く多忙な栄利子のひそかな楽しみは、主婦ブロガーおひょうさん(丸尾翔子・30歳・既婚/夫と二人暮らし)の書く「ダメな主婦日記」を毎日読むことだ。

おひょうさんの紹介する回転寿司やコンビニパンやお菓子の新商品を買い込み食べながらブログを読むのが楽しくて仕方がない。

キャリアウーマン栄利子とは全く違う平凡な主婦おひょうさんのどーでもいい日常を垣間見て、それはそれはいいストレス解消になったのだ。

いつしか、おひょうさんのブログの熱心な読者となる。

さらにおひょうさんが栄利子と同じ街に住んでいることを突き止めた。

その後、ブログで知ったおひょうさん行きつけの店で二人は偶然の出会いを果たしそこから意気投合する。

しかし、それは偶然ではなく、栄利子のストーキング癖によって実現した出会い。

一旦は意気投合した二人だったが、おひょうさんは栄利子の執拗な待ち伏せに辟易し、彼女をストーカーと認定する。

女同志の蜜月は予想以上にあっけなく破綻した。

それは、他人との距離をうまくつかめない栄利子の一挙手一投足が原因でおひょうさんを遠ざけてしまったのだった。

だが、執拗におひょうさんに執着する栄利子は、まるでストーカーまがいの行動に度々打って出てしまう。

昔、中学生時代にも、幼馴染みの圭子から疎ましがられたことが許せず、ストーカーじみた行為を起こし、信じられない噂(圭子が援助交際しているというウソを流す)となって圭子の将来を潰した経験を持つ栄利子なのだ。

普段は、美しく優秀な商社勤めのOL栄利子。しかし、自分が避けられたり受け入れてもらえなくなったりすると逆上し、相手を食い尽くす狂暴な癖を持っていた。

まるで、偽装魚のナイルパーチみたいだ。スカンジナビア湖にたった一匹のナイルパーチを入れた時、あっという間に湖の生態系がナイルパーチの食い荒らしにより変わってしまったのだ。

商社でナイルパーチの輸入に携わる栄利子はナイルパーチの生態を勉強し、まるで女同志の友情のようだと反芻した。

何がなんでも、おひょうさんは私のものだと言わんばかりにストーキングを繰り返す栄利子はまるで狂暴なナイルパーチそのものだ。

執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。


一方、おひょうこと翔子も実家に問題を抱え――。

作家である重松清氏の解説・・・「本作『ナイルパーチの女子会』は、柚木麻子さんがデビュー以来追い求めてきた主題の一つの到達点であり、その後の柚木さんが展開する文学への結節点でもある。」

• 読後感

同性の友だちができない栄利子と翔子。ブルーの表紙、ふわふわしたイラストからはまったく想像できない女のドロドロ執着劇だ。

かなり狂気の世界なのに、誰にでも経験のありそうな女の「取った,取られた」から始まる当たり前の日常を巧みな言葉で表現する柚木麻子氏。

身近でありながら、登場人物たちが言葉を荒げる様は狂喜じみていて、何度も途中で読むのを止めようと思わせるが、結局栄利子と翔子の近々の将来が知りたくて最後まで読んでしまった。

ストーキングや社内いじめや家庭内介護のすさまじさなど、恐ろしくもあり身近でもある内容に目が離せなくなってしまったのだ。

女の持ち合わせている深層心理をえぐる内容が息苦しい。この作品を再度読み返そうとは思わない。

普通の女子がサイコだった話。

最終盤に差し掛かる頃、付きまとわれていた翔子も同じように、NORIという女にストーキングしてしまう。

誰もが栄利子になりうるのだ。

それまで、築き上げてきた世界をいとも簡単に崩す怖ろしい女の狂気劇だった。

もう、当分は回転寿司店へは行けない(笑)

「心がえぐられすぎてつらい」

手元にあるもので楽しむ能力が人生を豊かにする~コミック『こづかい万歳』を紹介🎶【選書・こづかい制の文化】

【ブログ新規追加435回】

「おこづかい」って子どもの時の最も大切な精神安定剤だった。働かなくてもお金が手元に入ってくる。

そうそう、お正月の「お年玉」もおんなじ。子どもならではの稼げる最高の習慣じゃあないだろうか。

そこへゆくと、大人となってからは、しっかり労働した対価がお金となって入ってくる仕組みを持つようになる。まったく意味合いは違うが毎月のお給料日は、子ども時代とは比べ物にならないほどの精神安定剤となっているはずだ。

せっせと働く夫が毎月働き終えたら、妻からもらう?「おこづかい」この制度も普遍なものなのだな。

汗水たらして働く夫。それを愛する家族ができたら、お給料、全部丸投げできちゃう。

日本人男性のそういう部分は本当に凄いし何よりその精神が尊いし有難い。

一方、年金の話だが、年金もいわゆる「おこづかい」的なイメージがどうしてもぬぐえない。

ま、それまでの人生の積み立てをきちんとやってきた人に渡される「ご褒美」なのだ。だから労働のイメージが湧かなくても当然だろう。

                 ★

さて、話は戻り、「おこづかい」をもらう旦那さんたちの使い方に注目したコミックを紹介しよう。

こづかい万歳』モーニングコミックス / 吉本浩二・著

簡単レビュー

「おこづかいもっとチョーだい!」

と、口ぐせのように叫んでいる漫画家の吉本氏が自らの自伝として認めた作品『おこづかい万歳』

作家、45歳。

毎月、低額?定額と言い直そう。2万1千円。これが作家の「おこづかい」だ。

その中から、執筆のお供の大好きな「お菓子」を何と、1万円近くも使い、あと半分の1万1千円は内緒の内緒だ。

ともすると子どもにおもちゃをねだられたりすればアウト!この楽しくも苦しい「おこづかい」の使い道や、悩ましく、いじいじと悩む「おこづかい」の攻防戦。

全国の「おこづかい生活」を営むすべての定額夫さまに送る、大人の「おこづかい」マンガなのだ。

               ★

こち亀」を思わせる画風と、「孤独のグルメ」を思わせる「おこづかい」の攻防戦や他人のもらっている金額の取材が非常に面白い。

『こづかい万歳』で取材を重ねる主人公。

その金額に、その使い方に、そのつど惜しみない共感が溢れ出る。

ああ~、みんな同じなんだ。

しかし、中には「おこづかい0円」という強者までいた。いったいどうやって毎月しのいでるのだろう?

その0円亭主は、上手に今ある物で楽しく暮らせているようだ。要するに人生の達人ってワケだ。

                 ★

えっ?ちょっと待って!わたしもそういえば「おこづかい」なんて自分にあげていないわ!

年金だって、まだまだだし。あるとすれば、小さなアドセンスの収益や印税などがこれに当たる。だから定額ではない。

しかし、「おこづかい」のないことに不自由はしていない。気づいてもいないもん(笑)

趣味が仕事とブログ執筆と写真。カメラも夫がくれた一眼だけ。体力づくりに低い山を歩くとかだ。別段お金のかかる趣味もサークル活動も持っていない。

そうか!わたしも0円仕事人主婦ってワケ。

そうそう、わが家の夫も「おこづかい制」で長年やってきたが、ポイント貯めるのが得意で、ほぼポイントで何でも賄っている。ポイ活上級者なのだ。

今や、現金をただ使うよりも、カード払いにしてポイントを貯めるのがいい感じ。

現代になっても一家の「おこづかい制」の概念だけはしっかりと根づいてる日本。

どう?

人の「おこづかい」知りたくなった?(笑)

燃え尽きたいと望み叶わなかったボクサー・栄光の背番号3によって消えた三塁手/勝負の世界に何かを賭け喪っていった者たちの物語『敗れざる者たち』沢木耕太郎・著【選書・文化】

【ブログ新規追加426回】

オリンピック5日目、アスリートの誰もが、喉から手が出るほど欲してやまない金メダルを早くも掴んだ選手がいる。

一方で、なぜだか、不安が的中した・・・という金メダル候補、まさかの予選落ち。

それぞれの戦いが明暗を分け始めたオリンピックの晴れ舞台。

TVで観戦する側もハラハラドキドキしつつも、アスリートたちがコロナ禍の中どんな思いで戦ってきたのであろうかと、心中を察するあまり「すべての選手が全力を出し切って戦える」ようにと、願ってやまない。

そんなスポーツ一色の中、ずいぶん前に図書館で予約をしておいたノンフィクション作家でありスポーツライターである沢木耕太郎氏の著書『敗れざる者たち』が届いた。

さっそく、オリンピック中継を観ながら読み始めた。

敗れざる者たち』沢木耕太郎・著(文春文庫)

もくじ

1、クレイになれなかった男たち

2、三人の三塁手

3、長距離ランナーの遺書

4、イシノヒカル、おまえは走った

5、さらば宝石

6、ドランカー(酔いどれ)

                 ★

読後レビューする。

               

『敗れざる者たち』見事なまでに名著である。

実在の人や動物(馬)による実話を、著者 沢木耕太郎氏の手にかけると、まるで魔法がかかったみたいに、活き活きとした作品に仕上がるのだ。

それぞれのアスリートたちの戦い切った後の姿が爽やかなこと、この上ない。また、著者自身がその気持ちに浸り切った文章に圧倒されもする。

ここでは確かに、ボクシング、野球、競馬、マラソンで華麗にチャンピオンとなり一流と呼ばれ頂点に立つことが「叶わなかった」アスリートたちの、「報われない」競技人生がこれでもか!と描かれている。

しかし、敗者の気持ちに浸り切った著者、沢木耕太郎氏の描くアスリートには微塵たりとも暗い影はない。

あるのは、無冠の帝王とも言える「終わった者たち」の清涼感だけだ。

これは、いったいどういうことなのであろうか?しばし、本を置いて考えてみた。

そして、かすかだが答えを導き出せた。

それは、沢木耕太郎氏の描くアスリートは、その人本来の持つ人生を「生き切る」ことに「夢中」だったのだ。

著者は「夢中」さをコアに戦いを描き切った。

そこには感動秘話や涙も汗もすべてを飲み込んで戦ったアスリートの昇華した姿があっただけだ。

「夢中」はすべてに通じる魔法なのかもしれない。

                ★

今朝、近所のヒマワリ畑に撮影に行った。

まだ7月だというのに、すでに花びらを枯らしたヒマワリも多く驚いた。

しかし、その横には、すくすくと太陽を浴びて伸びる真新しいヒマワリたちの姿もあった。

花の世界も戦いのまっただ中。 まさに「光と影」だ。

『1Q84 BOOK1 4月-6月』村上春樹・著(新潮社)【選書・文化】

【ブログ新規追加409回】

あなたの本棚には、「村上春樹」の本ってある?

あるとすれば、「ノルウェイの森 上・下」とか?

そうそう、あの一世を風靡した「1Q84 1/2/3」もあるんじゃない?

でも、それって読んだ?

わたしの、周りの読書家も、そうでない本好きでも誰も読んでないのよね。

わたしの友だちが言ってたの。

「ああ、あのタイプは本棚のオブジェよ」と。

いうなれば飾り。

現代では、むつかしい世界の文学全集とか、ほぼ見かけなくなった。

それだったら、当代きってのノーベル文学賞にこの数年、毎年ノミネートされ続ける希代の作家「村上春樹」のベストセラーが、部屋の本棚に並んでいるというのが、現代のアカデミズムなんじゃあないんだろうか?

たとえ、読んでなくても「持ってる」ことに意味があるのかも(笑)

              ★

1Q84」→推定部数(シリーズ3作)300万冊を売り切った。要するに大ヒットベストセラーとなった。

こぼれ話だが、2006年に「フランツ・カフカ賞」を受賞して以来、毎年「ノーベル文学賞」を受賞するかもしれない、という話題がある。

その中、この「1Q84」は2009年5月に発売された。当時は発売前の事前注文も空前の冊数を記録したし、どこの本屋でもピラミッドやトーテムポールを狙ったかのようなオブジェを「1Q84」商品で作り、世間をあっと言わせる購買戦略を取った書籍である。

そうそう、売り方もオブジェさながらだった。

書店営業を始めて1年がたった頃だった。

で、わたしもその大ベストセラーを購入しようか?と、ずいぶん迷ったが、なぜかスル―してしまった。

その理由が、「ノルウェイの森」を読んで、気分が悪くなったトラウマからだった。

以外なほど、村上氏の作品には、男女の営みが多く描かれている。その辺だけでも受け付けにくかったのもある。

でも、書かれている場所が新宿だったり、国分寺だったり、知っているというのは馴染みが良く、JAZZの話、バーや喫茶店での過ごし方やJBLのスピーカーから醸し出されるJAZZの音色の話はわたしをときめかせたりもした。

やっぱり、トラウマになった決定打は、この作品全体の持つ「暗さ」だ。「自殺」をテーマにしてるのもねえ。

わざわざ自殺するために読むような本だったとは。(あくまでも個人的見解ゆえ)

でも、「ノルウェイの森 上・下」で村上春樹という作家を認知した人は多いだろう。

で、問題なく大ベストセラーとなり、映画化された。

わたしの気分が悪くなろーが、イヤだろーがそんなのカンケ―ネ~だった(笑)

                ★

先日なぜだか、夫がブックオフオンラインでこの大長編作「1Q84」全3巻を買い求めた。(大人買い・笑)

理由は、内容だったようだ。
(リーマンショック後の金融と経済資本主義の行方などから)

わたしは、とっさに「いよいよ、読む時が来た!」と、勝手に夏休みの読書スケジュールに入れようと考えた。

しかし、今回の皮膚細菌感染症の悪化から股関節炎に罹り、丸三日なにもできず、家に籠る日ができたことから「1Q84 1」を読んだのだ。

希代の作家の作品を13年ぶりにひも解いた。

本の帯には「Q なにが起こっているのだろう。」という一文が書かれている。

まるで、わけのわからない細菌に感染したわたしの心境みたいだと思った(笑)

そして、ダブル主人公の青豆(29歳女性)と天吾 (29歳男性)という二人の数奇な運命に翻弄されつつも、スリル満点のサスペンス仕立ての文章がなにより素晴らしい。

エンターテインメントとして、最高に楽しい読書ができた3日間だった。

              ★

簡単レビュー

主人公は2人だ。

青豆(あおまめ)女性で29歳、仕事はスポーツクラブのインストラクターだ。もう一人の主人公である天吾(てんご)男性も29歳。予備校の数学講師をしながら小説を書いている。

これで、何をいわんとするか?といえば、二人が同じ町の同じ小学校に通っていた過去がある。

第1巻の途中にその場面が出てくる。

父子家庭だった天吾。NHK視聴料を集金する父親。その父親に日曜日は集金で一日中連れまわされる。そんな過酷な生活が小学5年生まで続いた。

意外なほど天吾は体が大きく、浅黒く勉強もできたことから、クラスでは一目置かれる状況。しかし、NHKの集金で父親と町中を歩いていた時、クラスメイトにその姿を見られてから友だちはいなくなった。

一方の青豆は「〇〇〇の証人」という新興宗教の信者だった母親に連れまわされ、週末は電車で様々な街へ布教活動に出ていた。それも5年生まで。クラスでは、親しい友だちもいなく、いつも一人でいた。

ある日、理科の実験中に同じテーブルの男子に「こいつんち〇〇〇の証人でさ、手術も輸血できないんだってよ!」と、みんなの前で青豆を非難し始めた。その騒ぎから青豆を救ったのが天吾だった。

同じ境遇を感じたのだろう。

そんな天吾と青豆は孤独な10歳の少年少女として、誰もいない放課後の教室で黙って手を握り見つめ合う。

10歳になった時、天吾は父親に「もう集金には行かない」と宣言した。時同じくして青豆も母親に「もう布教活動に行かない」と宣言し、家を出た。それから行く当てのない青豆の壮絶な人生が始まった。

しかし、そのまま二人はそれぞれの事情で別れ別れになってしまう。相思いながら互いの消息を知ることなく月日は流れていった。

青豆は、いつかどこかで天吾とすれ違う日(出会う日)を願って生きてきた。

1984年4月、2人は個別にそれまでの世界と微妙に異なる「1Q84年」の世界に没入していく。

ある老婦人から依頼を受け、人を始末する殺人鬼となっていた青豆。自分で開発した武器を使って29歳ですでに3人をあっちの世界へ葬った。

小説家になるため、ある編集者から依頼を受け「新人文学賞」ノミネート作品の総書き直しを仕事とする天吾。

青豆は某カルト教団(〇〇〇真理教)のトップリーダーの暗殺を依頼され企てる。

一方の天吾は書き直した小説が見事新人賞を獲るも詐欺行為だと心底思い悩む。

そこから新人賞元作者と元作者の育ての親から聞かされる某カルト教団の胡散臭いというか血なまぐさい活動の全貌を知るのだ。

書き直した新人賞作品に書かれているのは、某カルト教団の真実なのか?

青豆と天吾の距離が少しづつ近づく超大作サスペンス。

ここまでが第1巻。

次も読むか?

当然でしょ!



                

『日本で、ヒュッゲに暮らす』イェンス・イェンセン PARCO出版【書評・文化】

【ブログ新規追加394回】

日本で、ヒュッゲに暮らす』イェンス・イェンセン・著(PARCO出版)

ヒュッゲって何語?デンマーク語だそう。綴りは「Hygge」と書く。動詞でも名詞でも使え、「Hyggelig(t)」と書けば形容詞にもなる。

この言葉の意味は、「嬉しい・悲しい」などの人が感じる気持ちを端的に表している言葉なのだそうだ。

ちなみに、みんなでお酒を呑んで、ワイワイやるのはヒュッゲとは言わない。

要するに「楽しい」という感情は違うのだそうだ。何やらめんどくさ・・・。

• チルってる?とヒュッゲは同意語かどうか

そこで、少し前に、日本の若い人の間で流行った「チル」という表現を思い出したのだ。

このチルとは、「のんびり・まったり」や「癒し」などの心身のリラックス状態を表す言葉。

若い人の間で特にネット上で流行ったスラング(俗語)だ。

テンポの遅い曲をチル系と呼んだり、そういったゆるいライフスタイルを好む人たちをチルアウト系と呼んだりするのだそうだ。

これって、デンマークのヒュッゲに似てない?ひたすら心地よい空間を求める生き方や仕事の仕方が日本でも若い人の間から沸き起こっていたのを思い出した。

• 著者のいうヒュッゲの実現には時間が必要

日本とデンマークの決定的な違いは時間の使い方だという。デンマークのライフワークバランスの取り方はこうだ。

1日を3つのブロックに分ける方法(①仕事8時間 ②自分の時間8時間 ③寝る時間8時間)だと。

日本人はもっと働いているように思うとも。その仕事時間革命を奥さんと始める著者。

そういった人間本来のあり方をデンマーク人でありながら日本に住んで体現している様を一冊にまとめた書籍だ。

• さっそく読後感想を。

たしかに、ちょっとおしゃれだが、著者自身の文章に男性特有の無骨さがある。

まず、仕事の時間配分について、日本人である奥さんの働き方に異論を唱え徹底的に話し合う。

その結果、奥さんが仕事を辞めて、本来やりたかった手仕事を始めるというくだりでは唖然としてしまった。

「すごく話し合った」のだという。すべてにおいてこの繰り返しだったら・・・。

ちょっとわたしには合わないと率直に感じた。

「日本人は仕事が命」そう言い切る著者。だが、どうだろうか?今の日本で先ほど取り上げた「チル」する若者の存在を知っているのであろうか?まあ、4年前だから仕方ないか。

じわじわと、周りが変化しているかもしれないよね。

自分の親世代の生き方をどこまでも大切にする著者。わたしには「圧」を感じる文面が多かったのも事実。

しかし、何か生き方の柱のようなものを求めている場合には、大いに取り入れるのもいいのかもしれない。

一冊の本から生活規範を学ぶのも悪くはないだろう。

この書籍は2018年刊行された。それから約4年の間にコロナをはじめ、大きく世界は変わったのだから、「今までの生活習慣がすべて正しい」とはとても言えないと感じた。

                 ☆彡

もくじ

はじめに

1章 ヒュッゲなインテリア

2章 おいしい時間のヒュッゲ

3章 心がふれあうヒュッゲ

おわりに

•さて、 簡単レビューを書く

~北欧デンマーク流ライフスタイル“ヒュッゲ”で心地よく暮らすアイデア。

家具・食事・時間の工夫で変わる。

日本で“ヒュッゲ” を感じて豊かに生きるヒントがいっぱいデンマーク+日本の混合ヒュッゲで暮らしをもっと楽しもう~

                ☆彡

徹底的に「心地よく暮す」に注力した本だ。

子育て、パートナーシップ、コミュニティの在り方、仕事の仕方など様々な範囲を網羅している。

しっかし、おしゃれな北欧ばかりじゃないよ!と、小さなパンチを喰らった一冊。

たまには合わない本も紹介したくて登場させた。

興味があればぜひ!

おすすめシネマ~ブックセラーズ~NYブックフェアとは売買と発見の間を走るジェットコースターだ【書籍の文化】

【ブログ新規追加383回】

ブックセラーズ 簡単レビュー

~味わい深くてクレイジー。希少本の世界へようこそ!~

「NYブックフェアとは、売買と発見の間を走るジェットコースターだ」

品揃えで個性を競う老舗書店やブックディーラー、希少本コレクターが集結。その舞台裏を追いながら、ブックセラー奥深い世界をひもとくドキュメンタリーだ。

登場人物は皆「味のある変人」ばかり。

「世の中にはコレクターと、コレクターを理解できない人の二種類が存在するものだ」と、変人たちは口を揃えていう。

見た事のない本、それにまつわる逸話、伝説のディーラーやコレクターのエピソード満載。普通の書店だけが本の流通する世界じゃない。まったく知らない世界が暗躍する。

気のきいたかっこいい編集で99分あっというま!だそう。

しかし、緊急事態宣言下の東京では上映会場が激少ない(泣)

ヒューマンシネマトラスト有楽町とかキネカ大森・・・だけ。

早くTSUTAYAとかのレンタルDVDがリリースされないかな。まだ映画上映中じゃあ、無理だよね。

というわけで、「本好きコレクターが挑む希少本の世界」といったディープな内容の映画の紹介だ。

わたしが日頃感じているのは、本屋は基本的に本好きが勤めている場所なのだ。

本の話ならもれなく聞いてくれるし出版社の話を聞く義務ともいえる使命が存在する。

ああ、この人は本が好きなんだな~と感じる書店員さんに出会えると「同胞感」を感じるほど一定の安心感が漂う。

だから、この映画、本を売るわたしが観なくて誰が観る?

わたしもまだ観ていない。観たらこのページを更新する使命があるとさえ思っている。

監督 D・W・ヤング

製作 ジュディス・ミズラキーダン・ウェクスラーD・W・ヤング

製作総指揮 パーカー・ポージー

キャスト

~この映画に登場するブックピープルの顔は、どれも例外なく美しい~



『本を読む人だけが手にするもの』藤原和博(著)~本を読む人・そうでない人の階層社会【書評・文化】

【ブログ新規追加371回】

「これから先の日本では、身分や権力やお金による階級社会ではなく、本を読む人とそうでない人に二分される階層社会がやってくるだろう」本書、奥付より抜粋

『本を読む人だけが手にするもの』藤原 和博・著(日本実業出版社)

【本書レビューと雑感】

本書は、「なぜ、本を読むといいのか?」について考える本である。

わたし達は、子どもの頃から、親や学校の先生に「本を読みなさい!」と言われてきた。

しかし、「どうして読まないといけないのか?」「読むといいことがあるの?」など、疑問がいつでも沸き起こっていた。

「どうして本を読むのがいいの?」と、子どもに正面から問い返されたら、あなたならどう答える?

・・・理路整然と、答えられる大人はなかなかいない。

そもそも、子どものころに親や先生に言われて「何となくいいから」で、本を手に取ってきた幸運な人はそれで万事OK。

厄介なのは、親や先生から読書を勧められ過ぎて、イヤになった人だろう。そういった読書に苦い経験を持つ親は、そう簡単に子どもに本の必要性を伝えるなんてまず、無理だ。

そうした、本についてビターな経験を持つ方にぜひ、手に取って頂きたい本である。

この本では、いわゆる「速読術」や「読書法」などの読み方スキルについては一切書かれていない。

書かれている本筋は、「読書で人生を磨く」これに尽きる。

現在、コロナ禍で外出を控える人が増え続けている。毎日書店営業に出ているが、お客様はかなり戻ってきている感じ。

長い自粛生活では、食料の次に本が必要とのデータもある。皆、本を求めているんだ。こんなグレーの時代を生き抜くために本は不可欠な存在なのだ。

本書で読書や本について深く考えるきかっけになってもらえれば幸いだ。

                 ★

【本書概要】

本書は、東京都の義務教育では初となる民間企業出身の校長を務め、現実社会と教育をリンクさせた「よのなか科」という大人気の授業や、ベストセラーで知られる藤原和博氏が、「人生における読書の効能」について語る。

目次から、要点をひも解いてみよう。

• 序章「成熟社会では本を読まない人は生き残れない

現代は「本を読む習慣がある人」と「そうでない人」に二分される階層社会になりつつあると警告。

• 第1章「本を読むと、何が得か?

「読書量と収入の密接な関係」「読書によって身につく、人生で大切な2つの力」など、読書のメリットを答えていく。

• 第2章「読書とは「他人の脳のかけら」を自分の脳につなげること

「1冊の本にはどれほどの価値があるのか」「本を読むことは、2つの『みかた』を増やすこと」など、本を読むことの本質に迫る。

• 第3章「読書は私の人生にこんなふうに役立った

「自分の意見をつくり上げるための読書」「読書で人生の鳥瞰図を獲得する」など、人生と読書との関連性がリアルに綴られていく。

• 第4章「正解のない時代を切り拓く読書

21世紀の成熟社会に不可欠な「情報編集力」とそれを構成する5つのリテラシー「コミュニケーションする力」「ロジックする力」「シミュレーションする力」「ロールプレイングする力」「プレゼンテーションする力」を、いかに読書で磨いていくかを解説。

• 第5章「本嫌いの人でも読書習慣が身につく方法

読書嫌いの子も少なくなかった中学校の校長時代の経験なども踏まえ、いかに読書を習慣化させるかを、現実的な側面からポイントを押さえていく。

• 巻末「藤原和博の「これだけは読んでほしい」と思う本・50冊

ビジネスパーソンに読んでほしい14冊」「学校では教わらない現代史を学ぶ10冊」「小中学生から高校生の子を持つ親に読んでほしい15冊」「子どもといっしょに読みたい11冊」という著者のおすすめ本も紹介している。

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久しぶりにがっちりと書評を書いた。3年のあいだレビューライターを兼業でやっていた頃の自分を回想した。

当時のわたしは、朝5時~7時をブログ執筆、7時~9時を一日分の家事、9時~17時を本業で外出、17時~21時を夕食、風呂(団らん)、21時~23時をブックレビュー執筆、その後就寝。

これでみると、執筆と言える部分は朝の2時間と夜の2時間の計4時間。少ないような丁度いいような。絶妙なバランスかもしれない。

2時間あれば、一本書けるし、推敲もわりと丁寧にできる。しかし、ブックレビューを書く場合、対象本の熟読が必須だ。

では、その熟読をど~していたのか?

それは、一週間で多い時は5冊のブックレビューを書くため資料は前もって届けてもらって、前週の土・日にはすべての本をざっと一読みして、キーポイントを見つけて付箋をつけておいた。

キーポイントに貼った付箋を手引きに、毎日一冊づつ書き上げて行く。そしてすぐに納品せず、5本書き終わったら土・日に全部推敲し、文章のアレコレを精査して翌日の月曜日の朝に納品。

そして、納品後、午後には次の5冊の指示(次書いて!)が届くので、同じルーティンで書き始める。

この方法で、3年間で250冊ぐらいのレビュー記事を書いた。

と、書き出してみたが、どこにも熟読していた形跡はない(汗)

年間、約300冊を読書してきた習慣が役に立った仕事だった。暇さえあれば、いつでも本を読んでいる生活だからできた仕事だね。

今では、ブックレビューもこのブログで書くだけで、小さな自分仕事に落とし込んでいる毎日だ。

深く読める日常が戻ってきてからは、わたしなりの「ベストセラーの読み方」とか、「古典の読み方」など、新しい着眼点を持てるようになってきた。

仕事も出版営業だし、ブログも本を中心に書いている本から離れられない「本の虫」だ。

ブログは自分流「かわら版」だと思って気楽に書いている。しかも、気持ちも書評も自分の言葉で書く。

どこかの誰かの借り物じゃない文章を書く毎日。

どうか、わたしのブログから「本好き」が伝染するように願う(笑)

幸福の素はこの3つ!~「精神科医が見つけた3つの幸福」miniレビュー【書評・文化】

【ブログ新規追加307回】

今月、読んだ書籍の中で一番勉強になり、心に伝わった一書だ。

幸せには脳内ホルモンが必須だ。それも3つ。

この3つを知り、常に意識して暮らせるようになると、無用な不安や焦り、他人との比較に悩む必要がなくなるのだそうだ。

精神科医が見つけた3つの幸福」樺沢紫苑・著(飛鳥新社)

【書籍概要】

これは「幸福論」ではなく、初めての「幸福の実用書」である。
「幸福」の元素とは、実は「脳内物質」だった!(樺沢氏の研究発見した理論)

コロナ禍、人生100年時代、AI化、スマホ依存など、目に見えない恐怖、 現代のあらゆる問題を1冊で解決すべく書かれた渾身の一書!

簡単にできる習慣だけ! 最新データとエビデンスをもとに、人生を充実させる方法を具体的にわかりやすく教えるまったく新しい本である。

もくじ(抜粋)

・なぜ5分に1回スマホをチェックする人は、健康、仕事、人間関係のすべてを失うのか?
・朝散歩するだけで人生が変わるこれだけの理由
・「成功」イコール「幸福」の時代は終わった!
・すべての課題を解決する「幸せの3段重理論」とは

~今、再び自分の「幸福観」を見直すチャンス到来!

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さっそく、「3つの幸福」脳内物質を紹介しよう。

セロトニン的幸福

セロトニン的幸福とは、ひとことで言うと「心と身体の健康」の幸福を意味する。

「体調がいい」「気分がいい」「清々しい」「爽やか」など、日々の生活の基盤となる幸福の総称。

セロトニン的幸福とは、健康で気分がいいなど、一見すると「当たり前」と感じるような幸福である。

要するに、いかにストレスの少ない環境(仕事・家族・知人等の人脈)を持てるかが鍵となる幸福物質成分だ。

オキシトシン的幸福

オキシトシン的幸福とは、ひとことで言うと「つながりによる幸福」である。

他者との交流、関係によって生まれる幸福を感じるとき、脳内ではオキシトシンが盛んに分泌されている。

夫婦関係、パートナーシップ、親子関係、スキンシップによる安心感、幸福感。

友人や仲間との連帯感、信頼感、一体感や、コミュニケーションによる楽しさ、コミュニティへの帰属意識。

SNSの運用も重要なポイントだろう。見ず知らずの人とWEBを介して交流できる。要するに、実際のコミュニケーションで、会って失敗したくない人に最適なツールだ。

対比させてみよう。自分一人で感じるのがセロトニン的幸福だとすると、誰かと一緒にいて「楽しい」「安らぐ」「癒される」と感じるのがオキシトシン的幸福である。

ドーパミン的幸福

ドーパミン的幸福とは、ひとことで言うと「成功」「達成」の幸福と総称される。

ドーパミンは脳を高ぶらせる作用が強い。それゆえドーパミン的幸福には「高揚感」が伴う。

そして、ドーパミン的幸福を得るためには、努力や行動といった「対価」が必要になる。

セロトニン的幸福やオキシトシン的幸福は「静かな幸福」であるのに対して、ドーパミン的幸福は高揚感が激しく、それ自体が幸福だと感じるものだ。

だからこそ、多くの人はドーパミン的幸福こそが「幸福」と考え、そこを目指すのである。

お金、財産、富、仕事での成功、目標達成、地位や名誉などの社会的成功、学び、物欲、承認欲求、食欲、金銭欲など。

ドーパミンは我々の「モチベーション」「やる気」の源であり、ドーパミンが出るからこそ頑張ることができ、結果として自己成長にも繋がる。

しかし、ドーパミンに関しては危険な一面もある。

それは「依存性」が高い物質成分ゆえの「もっと!もっと!」と、高みを目指して自分の脳内にどんどん要求するといった、危険な側面がある。

ここで、わたしの体験を書いた以前のブログを添付しておこう。

闘わない生き方」→http://lifetour.blog.jp/archives/1030095691.html 2018年5月

※ 12年前に、脳出血を発症した時、わたしのアドレナリン中毒の疑いが発覚したのだ。その時の主治医の処置や、それからのわたしの来し方などをまとめて書いた記事となっている。記事の巻末には「アドレナリン中毒セルフチェック」も入れてあるよ(笑)

というわけで、3つの脳内成分(セロトニン・オキシトシン・ドーパミン)が幸福度をアップするのだという研究結果の書籍の紹介をした。

最後に。

3つの脳内成分の云々をリンクしておく。ぜひ、興味のある脳内物質をひも解いてみよう!

セロトニン→https://www.minamitohoku.or.jp/information/minamitouhoku/201411/nav

オキシトシン→https://www.terumozaidan.or.jp/labo/class/s2_11/interview02.html

ドーパミン→https://ja.wikipedia.org/wiki/

※ セロトニンは安心ホルモン、オキシトシンは幸せホルモン、ドーパミンはやる気ホルモンと、覚えておくといい。

運動、食事や睡眠など、基礎的な部分を補強するのが一番かも。

ウイズコロナ~変化の速さに惑わされないために本を読もう~おススメ3冊【選書・文化】

【ブログ新規追加287回】

もうすぐ3・11が来る。

あの驚愕の一日から早や,10年。

そして、新型コロナウィルスの世界的な感染。

もう、世界は変わったんだ。

10年後があっという間にやってきた。

2021年、わたしたちは新しい生き方のスタート地点に立つ。

                  ★

何しろ、今までのように働くことや、人と会う、食事を共にする、遊びに行く・・・こういった何気ない楽しみを奪い去ったコロナウィスル。

自然界からの警鐘は、わたし達に新しい生活様式を促すことだったのかもしれない。

で、あればわたし達も、10年後の2030年に備えた未来思考の書籍を読んでおくことは必須だろう。

10年後も生き残っていると思われる選り抜きの3冊を紹介する。

                  ★

FACTFULNESS (ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

2019年、ベストセラーとなった書籍。

知識不足で不安な人、事実と噂話の違いを見分けられない人、ネットやTVの情報に流されて鵜呑みにしがちな人におススメの一書。

疑心暗鬼になりやすい人の特徴は、「情報と感情が錯綜している」と、著者は言う。世界中の人々が真実に基づいて世界を見渡せるようにと願い執筆したのだそうだ。

疑心暗鬼に陥りやすい人もそうでない人も、改めて読みたい一冊。

ファクトフルネスの大まかなルール
1)分断本能を抑えるには、
2)ネガティブ本能を抑えるには、
3)直線本能を抑えるには、
4)恐怖本能を抑えるには、
5)過大視本能を抑えるには、
6)パターン化本能を抑えるには、
7)宿命本能を抑えるには、
8)単純化本能を抑えるには、
9)犯人探し本能を抑えるには、
10)焦り本能を抑えるには、

以前のブログ記事も添付しておこう。詳しくはこの記事からどうぞ。

■ 2030年の世界地図帳 あたらしい経済とSDGs、未来への展望

著者は、大学准教授であり世界的メディアアーティストの落合陽一氏

最近よく目にするようになったSDGs(Sustainable Development Goals)とは、具体的にどう世界に反映されてゆくのか?2030年をターゲットに書かれているのが興味深い一書だ。

現代の世界の持つ目線と、そこに暮すわたし達の生活全般への「思考の架け橋」となっている。

SDGsは、持続可能な開発目標で、今後人類社会が達成していくべき17の目標。この本では、イメージしにくい世界的な目標の解像度をあげて思考する人に非常に役立つだろう。

~速度をあげ進みゆく社会の目指すべき方向を明解に理解し、ドリブンしていく~こんなスタイルの提案書籍だ。

エクサスケールの衝撃 次世代スーパーコンピュータが壮大な新世界の扉を開く

「エクサスケール・コンピューティング」によって、すべてが変わる。

をテーマに、テクノロジーが駆使された結果、社会がどうなるかを想定した書籍。

衝撃と書かれているが、内容はかなりディストピアなところまで踏み込んでいる。

今の倫理観もテクノロジーが変えていく可能性がある。

読んでみて実際のところ、この本が想定する社会がいいと思えるかは別れるところだと思う。

個人的にはここまでの変容を60歳になった私が理解し、認めることができるとは思えないな。とも思う内容だ。

3冊目は、10年後、本棚に残らないかもしれない。

● 現在、書店頭では、統計学に関する書籍が目白押しだ。

子どもにもわかる統計学https://amzn.to/3bm2AfTなど、斬新な切り口で読者を増やしている。

児童書だが、より統計学に寄り添ったわかりやすい内容だ。書店で見かけたらぜひ、手に取ってみて。

世間の変化が加速する今。

今まで触れてこなかったことがらを書籍で吸収しよう。

そこに新しい思考が見つかったらもうけもん(笑)