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簡単レビュー
映画『あちらにいる鬼』(2022年11月全国ロードショー)の原作者が紡ぐ、 「おいしいもの」にまつわる50の風景。
~食卓のおかげで私たちは「家族」だった~
2014年9月に刊行された、単行本『荒野の胃袋』の文庫化。
直木賞をはじめ、数多くの文学賞を受賞し、随筆やエッセイ、絵本の翻訳でも高い評価を受ける井上荒野さんは、食べることが大好きで、料理上手でも有名。
そんな著者が軽妙な筆致で描き出す、「おいしいもの」にまつわる50のショート・エッセイ。
食べ物の記憶にはいつも味や匂いとともに、ステキな情景や思い出もついてくる。
本文に紹介された一品をおいしく作れるレシピを、色鮮やかなカラーイラストとともに収録。
巻末には文庫化のための豪華特別対談 角田光代 × 井上荒野「生きること 食べること」を収録。必読だ。
◎ 本書に登場するメニュー紹介
全50のテーマ項目を「春」「夏」「秋」「冬」に分けて構成。
春→ にぎやかな筍 ◎今年もお弁当 ◎にぎやかな筍 ◎キングオブエビフライ ◎フランスうどんの音 ◎うどん問題、あるいはルーツ ◎ステーキバトル ◎コンビーフ自分史 ◎塗りものと二日酔い ◎煮干しはえらい ◎混ぜごはんの領土問題 ◎クレッソンとサラドと鰐梨と ◎ササミ礼賛
夏 →切ない梅酒 ◎外食考 ◎大人な茄子 ◎昔のとうもろこし ◎切ない梅酒 ◎香ばしき魂 ◎裏通りの冷やし中華 ◎ひみつのカニカマ ◎「しぼりたて」と「てかてか」 ◎王女様のチーズサンド ◎麦茶、あるいは敬意の問題 ◎青春のインスタントラーメン
秋 →夜とロシアとコロッケと ◎ろくちゃんの茄子 ◎煮込みの明日 ◎キングオブ干物 ◎ケーキを焼く理由 ◎幻のミートパイ ◎ひとり羊 ◎夜とロシアとコロッケと ◎なんちゃってポルチーニの幸福 ◎パーフェクトな秋刀魚 ◎絶滅危惧種の卵 ◎男らしさと油揚げ ◎じゃがいもをする話 ◎母と食べる
冬→ おせちを作る理由 ◎「ごろっとしたごはん」考 ◎レディとトランプのスパゲッティ ◎主婦の昼ごはん ◎葱の青いところ ◎孤高の牡蠣ごはん ◎干鱈と闘う ◎大晦日の鰤かぶら ◎悩ましきお雑煮 ◎黒豆の心 ◎おせちを作る理由 ◎元旦と甘酒 ◎がり餅と火鉢 ◎納豆と想像力 ◎最後の晩餐
★★★
これまで、井上荒野さんのエッセイは読み続けてきたが、本当に「食」に関する文章が多くて驚く。
なぜだか、読むこと(読了)を促進する井上荒野さんの文章がこれまた素晴らしい。
何しろ、美味しそうなテーブルの再現が文章でされていることが、「本書を手に取った読者を満足させる一番の要因」なんじゃないだろうか?
そして、その「料理」なり「器」が持つ背景がまたいいのだ。
例えば、「別れた男性から、料理を1品教えて欲しい」と、言われて教える場面。
これまで、生きてきた中で食べた数多くの料理の中から選び抜いた一品が、別れた彼女の作る「料理」だった。
そして、彼女から教えてもらった料理を作る男性の「至福」の人生が小さく完成する・・・。
小説の中にも「器」や「料理」を描く場面の多いことで、わたし自身も井上荒野小説に、一気に心を掴まれたことがある。
猛暑続きで、食欲減退ぎみの方へ!こんな一冊が貴方の胃袋を掴んで離さないかも(笑)
それでは、また!
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「空蝉や リターン求め 苦心せり」 清流子
現し身のこの世の定めか、生きていくためには何かしらの生計を立てる必要がある。真っ当な働きに対し正当な報酬を求めることに卑しさはないが、どのようなビジネスモデルを使えば、ウェルビーイングな人間主義経済となるのか、大いに悩むところ。胃袋を満たすだけではつまらない。
リターン( ´艸`)