『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)【選書・文化】

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『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)

簡単レビュー

若くも美しくもない女が、男たちの金と命を奪った――。
殺人×グルメが濃厚に融合した、柚木麻子の新境地にして集大成。
各紙誌で大絶賛の渾身作がついに文庫化!!

男たちの財産を奪い、殺害した容疑で逮捕された梶井真奈子(カジマナ)。若くも美しくもない彼女がなぜ──。週刊誌記者の町田里佳は親友の伶子の助言をもとに梶井の面会を取り付ける。フェミニストとマーガリンを嫌悪する梶井は、里佳に〈あること〉を命じる。その日以来、欲望に忠実な梶井の言動に触れるたび、里佳の内面も外見も変貌し、伶子や恋人の誠らの運命をも変えてゆく。各紙誌絶賛の社会派長編。

本作着想の根底には、世に知られた事件があったのは確かだ。しかし物語が進むにつれて、事件からも犯罪者からも遠ざかる。独立したオリジナリティーに富んだ物語が展開される。進路を定めた羅針盤こそ、「女性同士の友情と信頼」である。
山本一力(本書解説より)

               ★★★

この小説を知ったのは、つい最近のこと。

書店等に一斉に並んだ「文庫」の表紙が強烈だったことから。

イギリスで話題になり、ハードカバーの売れ行きが良かったことから、8年前初版の小説が文庫化されたそうだ。

業界の勢いをも感じた。

営業先への車の中で、FM東京を良く聴いているのだが、たぶん20代後半であろう、女性パーソナリティが、「今、BUTTERという小説を読んでる・・・」と。

ふっと漏らしたつぶやきだったが、わたしは、すぐに「はは~ん!あの表紙の小説か!」と思い出せるほど、印象的な表紙だったわけ。

そんなに、なぜか目立つし、かなりの勢いを持つ小説を読まない手なはいと、ハードカバーを手に入れた。

しかし、仕事と万博の準備に追われて、やっと今週から読み始めてみた。

「ああ~~、なんとなくわかるわ」的な内容だったが、ミステリーがかった、連続する「小さな突き詰められた恐怖」を感じる作品だった。

それのどこに、若き女性を惹きつけるのか?その由縁を知りたかった。

木嶋佳苗の首都圏連続不審死事件をモデルにした小説だ。若い女性たちがそんなに殺人事件に興味があるとは思えず。

あるとすれば、「様々なバターを使った美味しそうな料理が登場する」ので食べたくなってしまうという読者感情だろうと推測した。

バター醤油ご飯にしばらくハマりそうだし(笑)

一時、バターが市場から消えて、スーパーでも「お一人様1個」などと書かれたPOPを見たことある人も多いだろう。

そのぐらいバターという食べ物には「欲求・欲望」みたいな物がひた隠しにされているように感じる。

バターは欲望のメタファーだ。

それでは、また!

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“『BUTTER』柚木麻子・著(株式会社 新潮社)【選書・文化】” への2件の返信

  1. 「のんびりと 一息衝くか 雲の峰」 清流子
    7月早々猛暑の続く毎日だが、都会の喧騒を離れてのんびりと過ごすには良いタイミングかもしれない。七夕も近い昼は雲の峰を見て、夜には月とともに輝く星を眺める。ピッタリのロケーションが東京多摩には現存していて有難い。ところでバターと言えばすぐ浮かんで来るのが、人種で問題になったトラが木の周りを回るうちバターになったという絵本。

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