『落合陽一34歳、「老い」と向き合う~超高齢社会における新しい挑戦』落合陽一・著(中央法規)【選書・ワークスタイル】

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『落合陽一34歳、「老い」と向き合う~超高齢社会における新しい挑戦』落合陽一・著(中央法規)

簡単レビュー

「この本は、僕にとって新たな挑戦となる1冊です。」落合陽一
―― 人間が生まれ、老いて、死んでいくとは一体どういうことなのか。
医学者でも生物学者でも哲学者でもない、テクノロジーの専門家ならではの視座を示せたらと、考えています。「はじめに」より抜粋。


科学者・メディアアーティスト・実業家として、次代の日本を創るリーダー・落合陽一氏が、“人間の「老い」”と“超高齢社会日本のこれから”を語る注目の論考。


「デジタル化する自然の中で「生」と「死」はどう変わるか?」をテーマとする解剖学者・養老孟司氏との対談では、真摯に「老い」と向き合う著者の目線が新鮮だ。

落合陽一氏の研究の真髄である、「老いの姿を変革する」身体補完テクノロジーの可能性、テクノロジーの導入による介護のイノベーション・成長産業化、デジタルネイチャー時代(AIやロボットとの共存が当たり前の時代)がもたらす“高齢者のクリエイティビティと多様性”の実現など、この国が目指すべき “新たな「成長」のかたち”を展望する。


“課題先進国”日本の現状をポジティブにとらえ、“豊か”な生や老いを享受するためのヒントが詰まった1冊。


もくじ
はじめに
序章【特別対談:養老孟司 × 落合陽一】デジタル化する自然の中で「生」と「死」はどう変わるか?
第1章 発展するテクノロジーと変わる「老い」
第2章 ここまで進展した「介護テクノロジー」のいま
第3章 少子高齢化社会の日本が起こす「第4次産業革命」
第4章 人にとって優しいテクノロジーとは?――求められる「ハッカブル」
第5章 誰もがクリエイションできる未来へ――勃興する「テクノ民藝」
おわりに

            ★★★

この本のタイトルに34歳とあるが、初版が2021年だから、今の著者は36歳か37歳か。

落合陽一氏の研究者としての対象テーマは、ざっくりと言って「デジタルネイチャー=人間のテクノロジーが自然環境をつくり変える」だ。

この本を読んで、わたしの「落合陽一」像がガラガラと崩れた。

見た目の若さやロックな雰囲気とは違う、寡黙で真面目な思考を持っている人だと感じた。

特に今年は大阪・関西万博でのパビリオン主催と、華々しいストーリーを持っているから。

そんな多彩な著者が本書では、30代半ばで、3児の父になったことを淡々と語っている。

これが一番の驚きで、しかもごく普通の生活というか暮らしの中で、奥さんと子育てに奮闘していると。

しかし、一方では研究者としての鋭い目線を持ち、数限りない挑戦を繰り返している。

わたしが、なぜ、この若き、一研究者を注目してきたのか?それは、2019年、まだコロナ感染が始まっていなかった時のことだ。

銀座の「Leica」というカメラショップのギャラリーで開催されていた「落合陽一写真展 情念と反芻~ひかりのこだま・イメージの霊感」という展覧会を見に行っていた。(↓展覧会の入場券)

そこで、落合陽一という、若きメディアアーティスト、筑波大学に研究室を持つ研究者であることを知る。

さっそく論文を読んでみたものの、どれもとても難しくて難解だったし、わたし自身もそれを熟考しよう?!とかはまったく考えられなかった。

そのぐらい、この若き研究者の持つ「心の何処かにあるぼんやりとしたイメージを外部に探し求める研究」はわかりにくいものなのだ。

だから、昨今の落合陽一氏に「対する」メディアの期待は爆上がりなわけだけれど、いったい、どれぐらいの人々が彼の研究に興味を持っているのか?まったくもってわからないよ(笑)

大阪・関西万博での「落合館=null²」に関しては、早くから殺到し過ぎて、入館予約は取れにくい。

https://www.ipa.go.jp/jinzai/mitou/koubo/topics/expo2025-ochiai-interview.html? 「インタビュー編」

わたしも実際に「null²」に行ってみて、落合陽一氏が唱える「建物の鏡面に自分を写して写真を撮ってみて!そのゆがみを体験してみて!」とのメッセージを受けて、体験してみた一枚がこれ。

上の建物の写真はスッキリくっきりと撮れた。

ただ下の写真は、普通の露出で撮ったのだけれど、モヤっとしていて、すっきりとは撮れなかった。

この違いをどう説明したらいいのかわからない(笑)

まあ、あの不穏なムード満載の「プルプル」とした建物の外観、建物から流れる不気味な音響だけで充分なぐらい落合陽一ワールドを体験できたと思えた。

わたし達は8月に長野県に避暑しに行く予定だが、今の落合陽一氏の次なる研究対象地は「長野・岐阜」らしい。

とっても高額な展覧会が開催されるとの情報を掴んだ。時間が許せば岐阜まで行き展覧会を観てきたいとも思うが。

彼の研究の一部を体験するにはもってこいの展示会だろう。

というわけで、今回は、昨今話題のメディアアーティストであり、研究者の「落合陽一」にフォーカスしてみた。

落合陽一・プロフィール

落合陽一

メディアアーティスト。1987年生まれ、2010年頃より作家活動を始める。境界領域における物化や変換、質量への憧憬をモチーフに作品を展開。筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターセンター長、筑波大学図書館情報メディア系准教授、2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)テーマ事業プロデューサー

それでは、また!

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“『落合陽一34歳、「老い」と向き合う~超高齢社会における新しい挑戦』落合陽一・著(中央法規)【選書・ワークスタイル】” への2件の返信

  1. 「言の葉を 気持ちに変える 驟雨かな」 清流子
    この時期の夕立はみるみる空が曇ってきて雷雨とともに襲い掛かってくる。不安定な対流で起こることが多く、ちょうど考えがまとまらず言葉に表現できない状態に似ている。今一歩深掘りしまとめてさらけ出すことで、言葉は初めて自らを導く武器となり知行合一の鍵となろう。

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