【ブログ新規追加1346回】

大事なことは、聞き逃してしまうほど平凡な言葉で語られる。
日本語の美しさを限界まで引き出した、鮮烈なデビュー作。
簡単レビュー(文中引用)
「夏の家」では、先生(フランク・ロイドの弟子)が一番早起きだった。物語は1982年、およそ10年ぶりに噴火した浅間山のふもとの山荘で始まる。
ぼくが入社した村井設計事務所は、ひと夏の間、北浅間にある「夏の家」へ移動する。そこでは稀有な感性をもつ先生のもと、国立現代図書館の設計コンペに向けての作業が行われていた。
もの静かだけれど情熱的な先生の下で働く喜びと、胸に秘めた恋。そして大詰めに迫った中で訪れる劇的な結末。
ただ夏が過ぎても物語は終わらなかった。かけがえのない記憶と生命の瞬きを綴る。
★★★
美しい日本語が読みたい!と思っていたところ、とある建築関係のWEB雑誌から、この名作を知った。
発刊からすでに、12年が経っていたので、書店で探す前に図書館で蔵書を調べてリクエストを出していた。
忘れていたところ、GWの後半に届いたので早速、読み始めてみたら、何しろ一つのシーンに費やす文章がな・が・い(笑)
GWや夏休み、飛行機や新幹線の移動のお供にぴったりだ。
ありと、あらゆる手段を使って表現しているという感じが面白い。
しかし、上品で美しい表現は、読み込むほどに芳醇な薫りを放つ。そして読むのを止められなくなる(笑)
東京の建築事務所が夏の間は、群馬県の浅間山のふもとに仕事場を移すというシチュエーションが物語を一気に旅気分にさせてくれる。
建築のうんちくや専門用語が満載の一冊。
建築好きにはたまらない書籍かもしれない。
そして、浅間山を浅間山とも日本百名山とも書かず、「火山」と表現したところがわたしの肝を抑えた。
そのものをどう、表現するか?
小説を読む喜びをがひとつ、ひとつのディティールに満ち溢れた類まれな書籍だといえよう。
なるほど!と、唸ってしまった一冊を紹介。
それでは、また!

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「余花に逢ふ 心地ぞ友と 邂逅す」 清流子
若葉の季節に遭遇した桜のように旧友との偶然の出会いには、爽やかさが伴ひ慎ましく趣を感じる。懐かしさや以外性で対話の華が咲き、思わず日頃の暮らしのストレスを晴らしてしまうのだ。人生を語れるってすごい事。良書との出会いにも似ている。
余暇・余花( ´艸`)