ワーク・シフト【選書・働き方】

2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?

「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけ、

「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある(奥付から)

クラウドソーシング「ランサーズ」

激動の未来を思い描きながら執筆された本書。実に3回目の読了を終えたので、あらためて、レビューを書いてみようと思う。

● すべての働く人へ未来からの警鐘を示す

初めて手に取った年は2016年2月。3月に書籍執筆の仕事を頂いて、働き方のベストセラーである本書を急いで手に入れて読み始めた。その年5月に、政府の女性活躍推進法の施行により、女性の働く現場の体制や環境が大きく転換を図る矢先の出版。

これまでの仕事観を一掃させる辛口かつ綿密な取材データの豊富な本書から、我が仕事の未来までも予想できるほどのインパクトがあった思い出の書だ。

● まずは我が家の中から改革を!仕事の内容を細かに伝える

また、著者がこの本を執筆した動機は印象的なものだった。ある日の朝食のテーブルで2人の息子たちと交わした会話からだった。長男は将来やりたい仕事にジャーナリストを、次男は医師を選んでいたのだそう。この時、働き方の研究を始めたばかりだった著者がとっさに思ったことは、「あくまでも好きな仕事を選ぶ」という一点を教えなければ!と考え、話をし始めたのだ。

例えば、ジャーナリストは取材や原稿の執筆など特有の技術が必要不可欠な割に、お給料が少ない業種だという話。また、医師に関しては、医療機器の爆発的な開発によってバーチャルでの診療や手術が可能な将来に成り得ることなどを話し、今の考えや勉強だけでは到底立ち向かえないものだと、ピシャっと話をつけてしまう。

しかし、彼女は息子たちに、継続的に最先端の技術や社会動向を勉強し続けることを徹底することで、「好きな仕事」を続けて行けるのだと畳みかけるのだ。確かに未来が予測通りに行く保証がないことを考えれば、やりたいことや好きなことを仕事にし、すべての情熱を傾けることが賢明だと思える。

本来、仕事というものは、「お金を稼いで食べてゆくだけ」では満たされない深いメンタルの部分があるものなのだと解く。メンタルが満たされる条件はただ1つ。やりがいなのだ。

産業革命の歴史からひも解かれる、今後の行方を複数の取材先でのエピソードを交えて書かれるケース・スタディが満載の一書。読み応えは抜群だ。

● 各シフトの具体性

さて、本書のテーマである仕事のシフト=転換をどうやって叶えてゆくのか?3つの指標が提案されているので紹介してみよう。

第一のシフト・・・ゼネラリストから連続スペシャリストへの転換

第二のシフト・・・孤独な競争から協力して起こすイノベーションへ

第三のシフト・・・大量消費から情熱を傾けられる経験をする

なぜ、この3つの指標が重要なのか?それは、著者曰く、今後、時代を揺り動かす5つの要因があると解く。

1、テクノロジーの進化

2、グローバル化の進展

3、人口構成の変化と長寿化

4、社会の変化

5、エネルギー環境問題の深刻化

この5つの要因を考えるに、自らの固定観念を解体して、より柔軟に仕事そのものや自身を取り巻く環境整備に努めるべきだと書かれている。

今回、3回目の読了を果たしたのだが、驚くことが書いてあった。すでに1990年、バングラデシュで貧困世帯を救う学者の家の子どもたちは、高速回線を使ってイギリス本国からのオンライン授業を1日4時間受けさせていたという現実。

今年、新型コロナウィルス感染がなければ、日本のわたし達はまだまだ、オンライン授業やオンライン会議、商談や診療などには手が届かず、旧式の仕事や学習を続けていたのであろうと推測される。

また、ミニ起業家という概念が韓国や台湾の女子大生から湧き起こった年、取材現場の多くはSNS上にあり、対人するのは画面だけだという現実。アジアの女子大生は卒業後も既存の会社に就職するのではなく、起業家として、好きなことを発信する仕事を始めるのだった。キャリアを積むこと自体に夢や希望は見いだせないといいながら。

今では、まったくあり得る普通ですらある光景だ。

先に示した3つの指標だが、あえて解説は控えよう。なるべくは本書で読み込んで頂きたい箇所だからである。

● 最後に

なぜ、未来を予測する必要があるのか?それは、自分自身や大切な人のなんらかの決断や判断が必要な時、なるべくは正しい理論的な決断や判断をつけるためには、目の前のことだけではなく、これから先のことを常に着目し、案じていける習慣を習得する必要があるのだといわれた。

そして、正しい理論的な決断やスピードを持った判断が人を育て、人を救うのだと教えてくれた。正しい理論的な決断や判断は、人のためになるのだと、3回読み込んでやっと到達した見解だ。

ワーク・シフト~孤独と貧困から自由になる働き方の未来図2025

著者 リンダ・グラットン

出版元 プレジデント社

2012年5月初版

【もくじ】

プロローグ~働き方の未来は今日始まる

序章 働き方の未来を予測する

第1部 なにが働き方の未来を変えるのか? 

第2部 「漠然と迎える未来」の暗い現実 

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々 

第4部 働き方をシフトする

エピローグ 未来のために知っておくべきこと

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“ワーク・シフト【選書・働き方】” への2件の返信

  1. 「夏蝶や 変化変化の 世の中だ 」清流
     今までも何かしらの兆しはあちらこちらに芽生えていたが、ぼうっと生きてきた日本人には効き目がなかったことが、今回の新コロ禍ではっきりとした。犠牲になった方々には言いようがないが、これもより良い社会への序章、蝶のように変化に対応できなければ生き残れない。

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