『バッグをザックに持ち替えて』唯川 恵・著(光文社)【選書・文化】

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『バッグをザックに持ち替えて』唯川 恵・著(光文社)

簡単レビュー

今も不思議に思う。この私が山登りをするようになるなんて。

「興味はあるけどつらそうで……」
「体力がないから無理……」
そんなあなたも心配ご無用。唯川式登山のススメ。

取材のためのはじめての登山が辛くて、山なんてやめた……はずだった。それが浅間山を皮切りに、谷川岳や八ヶ岳、そして富士山、ついには標高五〇〇〇メートルを越えるエベレスト街道を歩くまでに。

何が楽しいのか? 辛いのにどうしてまた登ってしまうのか?

山道具から下山後の宴会まで、さまざまな山の魅力を描いた傑作エッセイ。

               ★★★

富山市立図書館で見つけた「わたしの唯一のお土産」の1冊。

愛犬をのびのびと育てるために東京から軽井沢への移住を決意。

しかし、その愛犬も数年後に天寿を全うした。愛犬のお世話に明け暮れた著者。その穴埋めにご主人様から「浅間山への登山」をすすめられたのが、山の始まりだった。

そこから、はじめは途中までしか登れず身体中が悲鳴を上げていったが、なにしろペットロスからの呪縛を解き放つ効果は抜群!

そして、浅間山を季節を問わず、100回以上も登ることとなった。(火山警報期間は八ヶ岳などに遠征する)

元、大学の登山部に所属していたご主人様のアルパインリーダーぶりが、本当に素晴らしく、一つ一つのアドバイスや山への検知に舌を巻いた。

そんな中、著者がせっかく苦しくも素晴らしい登山体験期を過ごしたことを、何かの形で書籍化したい!と思い立った時、編集者から「エベレスト登山家である田部井淳子さん」を紹介される。

取材を重ねるうちに、彼女の生涯をまとめてみたくなっていく。その過程までがこのエッセイには描かれている。

著者の作品はこちら→『淳子のてっぺん』唯川 恵・著 (幻冬舎文庫)

簡単レビュー

山が好きで、会社勤めをしながら国内の様々な山に登っていた淳子。

「エベレスト? 女なんかに登れるもんか」その言葉に奮起し、彼女は女性だけの隊で世界最高峰を目指す。

苦しい資金繰り、寝る暇もない膨大な準備、隊員同士の軋轢を乗り越え、8848メートルの頂きに立った淳子の胸に去来したのは……。

登山家・田部井淳子さんの挑戦を完全小説化。

               ★

冒頭のエッセイだが、最終章では著者自身が「エベレスト街道」への12日間トレッキングという登山旅に編集者たちと出かける過程が描かれている。

4000m~5000mの間で厳しい高山病にかかり、最終地へは、たった一人だけが到達できた登山旅の模様が文章で読み取れる。

装丁可愛さからは、想像できない傑作エッセイだ。 

           ー--           

わたしは、小説家が書く「エッセイ」の大ファンなのだ。

小説家がどんな生活を好んでいるか?どんな食べ物が好きか?趣味は?家族関係など、その作品を創り出す芳醇な背景を知りたくて、かなりのエッセイを読んできた。

わたしの編集者的フェチな部分かも(笑)

というわけで、小説家の素敵なエッセイを見つけたので紹介した。

それでは、また!

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---------------------------------------------旧記事更新

“『バッグをザックに持ち替えて』唯川 恵・著(光文社)【選書・文化】” への1件の返信

  1. 「立冬や ライフサイクル スイッチング」 清流子
    ウインターモードへの切り替え時、タイムデトックスを徹底しよう。無駄を変換し、やりたい事へ時間を補給する。週間単位で心地よく実践するための振り返り習慣をつけ、小目標をやり切ることを繰り返す事で自ずと役割配分が明確になり、なりたい自分が見えて来るのだ。

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