「東京登山・写真で綴る御岳山/みたけさん」【風景・御岳山】

【ブログ新規追加453回】

御岳山は東京都青梅市にある標高929mの山。

古くから山岳信仰の対象となっており、山頂には武藏御嶽神社が建立されている。

天空の集落と言われる御坊(おし)集落があり、現在では25軒の宿坊がある。登山の疲れを癒す精進料理を1000m近い山の上で味わうのも乙なものだろう。

これまでこのブログでは、東京の西の最果てを度々紹介してきた。

今回は本丸となる御岳山を登ったルートと、見どころを紹介する。

御岳山の入口は滝本駅~そこからケーブルカー(急勾配22度)に乗る事6分で、御岳山駅に到着する。(御岳山登山口から徒歩で御岳山駅を目指すと、約「1時間20分」かかる。これは健脚な場合だそう。

わたし達はケーブルカー(往復1130円)を選んで始発の7時30分に乗り込んだ。車は滝本駅前にあるTimes24(平日24時までは一日1100円)に停めた。

※ ケーブルカーはコロナの影響から乗車人数制限をしているが、夏場は15分おきに臨時列車が運行されている。駅の構内ショップの品揃えもまあまあで、わたしは、登山記念の山バッジを夫と共に購入。)

さっそく山頂で帽子につけてみる。名物ピンクのレンゲショウマと山、ピッケル&ロープ、山の名&標高と小さいながら可愛いデザイン。

御岳山駅で早朝(7時50分)の東京を眺める~オリンピックマスコットのモニュメントもあった。

レンゲショウマ(夏山野草)の群生地へ急ぐ~富士峰園地で5万株のレンゲショウマと対面する。

ケーブルを降りて、徒歩5分の富士峰園地は北斜面に5万株のレンゲショウマが群生(自生)している。

8月後半から9月初旬にかけて淡い紫色の3㎝相当の花を咲かせる。レンゲショウマはキンポウゲ科の多年草で、細長い花茎を伸ばして3~4㎝の花を下向きに咲かせる。

レンゲショウマの名前の由来だが、蓮の花に、葉がサラシナショウマににていることからそう名付けられた。

希少性の高い山野草なため、園芸種でも販売はされていない。わたしが今まで見てきた場所は東京では御岳山と高尾山、神奈川では荻野運動公園に咲いている。(自生の植物の場合、気象状況で毎年同じ場所にきっちり咲くとはいえない。)

希少な草花を守るために、富士峰園地の入口には門扉と網シートが張ってあり、それぞれが門扉のポールを外して靜かに園地へ入場する。

木道階段も急勾配で、油断したら滑りそうな極めて危険な場所だった。

しばらくアップダウンが繰り返される山道をトレッキング~御岳山ビジターセンタを目指す

天空の集落(御坊/おし)へ足を踏み入れる

宿坊の入口(丸山荘・高級そう!)

右側の道下のれんの先は「JR青梅線 鳩ノ巣駅」わたし達は武藏御嶽神社(山頂)へ向かう。

途中、神代ケヤキに出会う。

武藏御嶽神社参道の斜面にそびえる樹高23mの御神木である。樹齢は1000年を超えているそうだ。(大国西の尊が云々…とか熱心に教えていたお父さんがいた・笑)国の天然記念物。

武蔵御嶽神社参道をゆく(緊急事態宣言中で8月22日まで、すべての商店が閉店している)

ここまで、天空の集落を歩きながら武藏御嶽神社を目指す。山の中は一般道はなく、生活者道路として軽自動車が通れるぐらいの道しかない。

50CCのバイクに何度も出会う。急勾配の坂道を上がり続けるから、バイクや軽トラックの音が聞こえたら、ひと休みと路肩に避けて待つのもいいものだ。

大自然に包まれて癒されるパワースポットの御岳山山頂

で、やっと武藏御嶽神社入口に到着。湧き水のお水取りでしばし涼をとる。

ここから、石段(たぶん200段以上はあったような・笑)最後の登りに挑む。

これが延々と続く先に神社が姿を現わす。

ここまでで、午前9時。ほぼ計画通り。

このあとは、長尾平まで下り(200m歩く)休憩をとる。(山飯も作る)

朝9時30分の山飯。(コッヘル2つのセットにはバーナとガスボンベが収納できるので気に入っている)

長尾平には、緊急離着陸できる東京~御岳山へリポートがある。

ヘリポートからの眺めを堪能するわたし

ここからが険しい下だり道が続く。

滝や岩のガーデンへのルートだが、あまりに悪路のため滝はやめてロックガーデンまでとした。(所要時間2時間)

美しい緑苔むすロックガーデンは、入口からすでに崖を下る鎖場だった。もう、ここまででかなり歩き疲れたので入口の崖を見て終わり!とした。

目の前に苔むした巨岩と鎖場があり、ここからはクライマーの聖地だとも言われていた。

で、ロックガーデンから、ゆっくりと御岳山駅への帰りを目指す。

途中疲れのせいか、あまりにゆっくりなわたしの足取りに、すれ違ったご夫婦から、「足つったの?68って薬持ってるけど飲む?」といきなり声をかけられた。

※ 68とは→漢方薬 芍薬甘草湯のこと。

気軽に声をかけてくれたご夫婦。ホントに有難い。山慣れしているようで、旦那さんが、「木の根は踏まないようにゆっくりとね!」っと、優しく促してくれた。

こんなふれあいが充実した登山となる。

実は、6月に患った皮膚細菌感染症で食が細くなり4キロも体重が減った。

足の筋肉の衰えを危惧していた。

今回、久しぶりの山行でハードに歩いてみて、自分でも驚くほど足が弱っていた。トレーニング開始しよう。

御岳山は、どこも入口だけは砂利が敷かれて歩きやすくなっているが、少し山に入ると木の根っこだけの道や岩だらけの道になる場所がひどく多かった。

悪路にも勇敢に挑戦できる脚力を取り戻したいと切望した登山だった。

これから、トレーニングをしながら秋の山をどんどん楽しむつもり。

まあ、足つりに気をつけてやるね(笑)



東京で本格的トレッキングをする~「日帰り御岳山」準備編【風景・登山】

【ブログ新規追加451回】

やっと晴れ間の見えた今週の中盤。山は昨日まで雨でも今日晴れたらもう大丈夫!とか絶対に危険。

で、一日おいて、今日待ちに待った「わたしの夏休み」が実現した。

はあ~、長かったな。

しかし、山頂の清々とした空気は、わたしのこれまでの鬱々を洗い流し、辛抱した甲斐があったと、つくづく感じる素晴らしい眺めだった。

※ 今朝7時50分の御岳山(山頂にほど近い見晴らし台にて)

御岳山は8月後半にどうしても行きたかった場所だ。大好きな夏の山野草(自生)が咲き乱れる様を見られる絶好の期間だから。

御岳山の詳しくは、明日まとめてアップする。

今日は昨日まで準備していたあれこれを振りかえってみよう。

• 準備品のあれこれと入山前にやっておきたい準備とは

御岳山HPによると、近年、山ブームにより登山の準備をされない人が増えている。これだけは必ず用意してしほしいという要請が求められていた。

① 登山靴(かなり険しい木の根ばかりの道や岩だらけの道(悪道)が多く、普通のスポーツシューズでは登山が難しい)

② ヘッドライト(山の天気は変わりやすく、薄暗い森の中では必要。わたしは100均セリアのLEDライトを購入)

③ コンパス(近年の山ブームで地図を持たず、きままに登山を楽しむ道中で、道に迷ってしまう人がとても多いと。せめて自分の位置を確認できる術を持って欲しいそうだ。わたしのコンパスは懐中時計型・夫から貰う)

この3点を用意して!と、書かれていた。

またスケジュールだが、今日、早朝から登山を始めて、13時には下山の予定を立て、 スケジュール計画も分単位で立てた。

行き当たりばったりが一番危険度が増すそうだ。

※ それと、重要なのが、「登山申告」をすることだ。これは、今では無料アプリに登録してそこから申告するのがベター。また、身近な人にも登山先や日時などは伝えておこう。

忘れた場合も山の管理センター(御岳山ではビジターセンター)に申し出ておけばいい。(朝早いなどでもセンターのポストに申告のメモを入れて入山しよう)

• 山に持って行きたいもの(バックパックには)~今回はコッヘルセットとバーナを持参で山飯♪

一応、お稲荷さんのお弁当を用意した。また、山では意外なほど汁ものが美味しい。御岳山では御獄汁というご当地名物がある。ケーブルの駅や土産物店で買える。

そんな名物汁ものを買ってお湯を沸かして飲めば旅の気分も最高だよね。

わたしは、キャンプで人気の具入りラーメンを持って登った。御岳山はバーナ使用が許可されている。

今朝は朝9時のラーメンタイムを敢行した。大汗をかいた後のラーメンは美味しすぎる(笑)

途中、歩きながら食べられる行動食も今日はオートミールバー(フルーツ入り)を用意した。わたしはカロリーメイト(チーズ味)が大好きで、普段でも仕事の合間に良く食べている。

あとは、水(飲み水、ラーメンの分)、カッパ、トレッキングポール、手袋、薬、メモ、地図、日焼け止め、などetc.

と、こんな具合で持ち物だけでもかなり重くなるから、どうやって軽く荷造りできるか?がとても大事だろう。

バックパック以外に貴重品やカメラなどをサッと出せるように、サブバッグも必要だ。

また、持ち物だけではなく、体調の管理もぬかりなく。わたしは、16日から19日までの4日間、禁酒を励行した(笑)

で、今日、晴れて山行が無事終わったんで飲んでます(笑)

と、こんな準備を毎日少しずつしながら天気の回復を待った夏休みだった。

                 ★

最後の写真は、東京~御岳ヘリポートに登った一枚を。

では、御岳山の本編②は明日。




『騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編』村上春樹・著(新潮社)【選書・文化】

【ブログ新規追加450回】

一気に読んでしまった。

これまでの村上作品と比べて、遥かにモノゴトについての説明や登場人物についての情報が多く、わたしが思う「読者を置き去りにしない」秀逸な作品と言える。

小説を読むうえで、わたしが必要としているのは、伝えたいことについての説明や情報が詳細でなくとも、ある程度提供されているのを重要視している。

これまで数えきれないほど小説を読んできたから、内容が薄く書き手の勉強不足を補うリカバリーな文章表現にはもう騙されなくなった。

村上氏のこれでもか!という「ミルフィーユのように積み重なった膨大な勉強量」と「納得の行くまでゴリゴリと手直しされたであろう推敲のこん跡」が垣間見えるエンターテインメント性の高い芳醇な作品だ。

ああ、村上春樹氏ってどこまでも読者思いだったんだと改めて気が付いた(驚き!)

で、もったいないので、小説のレビューはよそう。できることなら読んでみてほしい。

簡単なあらすじだけ書き示しておく。

騎士団長殺し 第1部 顕れるイデア編

これは、36歳の男性画家(肖像画専門の画家)の話だ。結婚6年目にある日突然妻から「あなたとはもう一緒にやってはいけないから」とだけ言われた。

その日の内に画家は車で東北方面へあてもなく放浪の旅に出ていく。

2ヵ月ほど北の街を放浪したが、もう飽きてしまい画家仲間の友だちにいきさつを電話した。

友だちの提案により、友だちの父親(有名画家)が所有する小田原の別荘で暮らすことになる。

そこから、奇妙な事件やら問題に引きずり込まれていく。

キーワードは別荘の屋根裏に隠すように置いてあった、「騎士団長殺し」という名前のついた大型の絵画だった。それは有名画家が「ある問題」を明らかにするために描いた絵画らしい。

主人公画家は、このピカソ作ゲルニカを思わせる絵画の持つ秘密を暴くつもりはなかったが、どんどん不思議とも言える人物や現象に巻き込まれていく。

例えば、いわくつきの中年男性の依頼を受け肖像画を書く案件とか、なぜだか夜中に鈴の音が規則正しく鳴り響くとか、怪しい石室の存在など毎日がサスペンス極まりない状況を冷静に分析する主人公画家。

謎だらけの話がさらに謎を生む。

そんなある日、イデアが突然顕れる。

イデアとは、プラトンが生んだ哲学だ。

「見る」という動詞(idein) に由来する。元々は「見られている」ことを前提とした「姿」「形」を表す言葉である。

作品中、時おり主人公の前に姿を顕す身長60㎝のイデアは、まさに「騎士団長」の出で立ちをしていた。

イデアが顕れるようになってからは、不思議な現象にも説明がつき、いつしか現実でも非現実でもモノゴトは進んでいくし、まったく怖いものではなくなっていった。

しかもイデアは予言ができる。

この予言に従う主人公画家の行く末は・・・。

               ★

「第2部 還ろうメタファー編」では、主人公画家とイデアが遭遇する新たな局面(解決すべき問題)をどうやって乗り越えるのかが超楽しみだ。

第1部、第2部で1000ページにも及ぶ超大作。それを一気に読ませる村上氏の筆力には脱帽する。

※8月18日夕方の月

騎士団長の放つ名言に「目に見えるものが現実だ」「しっかりと目を開けて見ておればいいのだ」「判断はあとですればよい」と。

村上氏には珍しい、モノゴトの収束をさせる場面も多数あり、この作品は第3部が続編で出されるだろうと、多くのハルキストの話題となった記憶がある。

そうね。第3部が出たらぜひ、読みたい。

どうか、村上氏、煙に巻かないで・・・(笑)

※ 騎士団長のモチーフは、モーツアルト作オペラ「ドン・ジョバンニ」の名場面「地獄落ち」からだそうだ。

まず、タイトルありきの作品となった。




旅ブログを書く楽しみ~アクセスアップと紀行文を残す醍醐味【紙上講座・旅日記】

【ブログ新規追加449回】

旅好きだから続いているブログ。

あちこち出かけるのが大好きで、様々な場所で食べ飲み、いろんな経験をして土地の人と知り合う。

そういった、自分ならではの旅の記録としてブログを多いに利用してきた。

この、自分ならではの旅記録を書くことが何より好きでたまらない。

• 旅日記の更新は翌日にしようと思案中

一方で、旅行記というか紀行文を書く上で気をつける点もある。

それは、旅を本気で楽しむために中途半端な即日更新はしないというやり方にしようと考えている。

よ~くまとめて翌日にするとか。

余裕を持った旅日記の更新という感じ。

コロナ禍でなかなか、出かけるのもおぼつかないこの頃だが、いざ出かけられたら、速やかにブログにまとめてアップしてしまいたい欲求に駆られる。

しかし、そんなに焦って慌ててもいい紀行文が書けるわけじゃないし、むやみに更新ばかりを目指す旅はつまらないものになってしまう。

ブログのネタにするために旅に行くわけじゃない。

せっかくの旅を疲れた体で出先でPCに向かうとかせず、帰宅後に丁寧に楽しく作業したい。

今までもそうしてきたが、さらに更新に囚われず、楽しんで書いていく気持ちでいる。

雨の今週は、旅の準備をゆっくりと進めている

今週は長期休暇(9日間)の半分が雨に終わった。

今、やっと晴れ間が見えてきた。ああ~遅いよ(怒笑)

こんな時は、旅の準備をゆっくりとやっている。

用意するモノをひとつ、ひとつ点検しながらテーブルに並べてみたり、その日の出で立ちを用意して一通り着てみたりと。

雨でも旅は始まっているんだ。

リアルな旅に向けて細心の準備にぬかりないのも楽しいものだね。

SEOのアクセスアップを実現させるにはちょっとしたコツがある

旅日記の場合、読者には良く読んで頂けたし、写真の効果でアクセスアップにもつながってきた。

しかし、アクセスアップのためには絞り込んだキーワード選定がどうしても必要だ。

立ち寄ったスポットや名店などの確かな名前がタイトルにちゃんと含まれていなければ、まったくアクセスアップには繋がらない。

ブログに書くということは、検索エンジン(SEO)対策をきっちりとやるべき。そこで、書き手におススメな書き方はこうだ。

まず、旅から帰ったら、記憶を頼りに立ち寄った場所をひとつづつ丁寧にブログで紹介してみよう。

1ブログで1つの紹介だったら、タイトルのキーワードも1つだけ。これならヒットしやすい。アクセスアップに繋がりやすい。

あれもこれも詰め込んだ時系列の旅日記は、書いている本人だけが楽しいのでは?と、気が付いた。

例えば、海の旅の場合 泊まったホテル→ビーチ→ステーキの名店→話題のスイーツ屋など、こういった時系列の日記は情報には程遠い。タイトルに全部入れるなんてカッコ悪いし(笑)読者へのポイントも絞り込めないよね。

それなら、ホテルの紹介だけで1本、ビーチの歴史で1本、ステーキ名店と話題のスイーツのイート系で1本。

これだけで3本の最新情報旅日記、または紀行文が書けるじゃない?

読者は、読みたい部分だけが読めればいいのであって、何もすべての行程をなぞりたいとか、まったく考えてはいないだろう。

また、ブログをアップするという使命に従うのなら、情報をよりわかりやすく、より最新でなくてはならない。

だから、1回の記事に情報が1つのブログでいい。

そこに旅ブログの価値があるとさえ感じている。

で、わたしも次の旅からは、こうしたその場所を丁寧に解説するブログを書いて行こうと決めた。

SEOなんて関係ない!と思うかもしれないけれど、アクセスを集めやすい書き方を知っているだけでも、他とは一味違うブログが書ける。

早く書きたいな。

それよりまずは、出かけなくっちゃね(笑)

『ナイルパーチの女子会』柚木麻子・著(文藝春秋)【書評・文化】

【ブログ新規追加448回】

ねえ、ナイルパーチって魚知ってる?

スズキ目アカメ科アカメ属の淡水魚。淡泊な味で知られる食用魚だが、一つの生態系を壊してしまうほどの凶暴性を持つ。要注意外来生物だ。

回転ずしで使われている大半の白身魚は偽装魚である。偽装魚とは、味や調理によって使い勝手のよい安価な食材になり変われる代用魚のことである。

例えば、真鯛→ティラピア、ひらまさ→ナイルパーチ、あいなめ、えんがわ→アメリカナマズ などetc (資料先 / 回転寿司店はアメリカナマズとナイルパーチを大半の白身魚として出す)

ナイルパーチの女子会』柚木麻子・著(文藝春秋)

第二十八回山本周五郎賞&第三回高校生直木賞作品だ。

女の友情とはいったい何なのか?を描いた問題作。(2015年3月発刊)

• あらすじ

父親と同じ大手商社でバリバリ働く主人公(志村栄利子・30歳・独身)海外出張も多く多忙な栄利子のひそかな楽しみは、主婦ブロガーおひょうさん(丸尾翔子・30歳・既婚/夫と二人暮らし)の書く「ダメな主婦日記」を毎日読むことだ。

おひょうさんの紹介する回転寿司やコンビニパンやお菓子の新商品を買い込み食べながらブログを読むのが楽しくて仕方がない。

キャリアウーマン栄利子とは全く違う平凡な主婦おひょうさんのどーでもいい日常を垣間見て、それはそれはいいストレス解消になったのだ。

いつしか、おひょうさんのブログの熱心な読者となる。

さらにおひょうさんが栄利子と同じ街に住んでいることを突き止めた。

その後、ブログで知ったおひょうさん行きつけの店で二人は偶然の出会いを果たしそこから意気投合する。

しかし、それは偶然ではなく、栄利子のストーキング癖によって実現した出会い。

一旦は意気投合した二人だったが、おひょうさんは栄利子の執拗な待ち伏せに辟易し、彼女をストーカーと認定する。

女同志の蜜月は予想以上にあっけなく破綻した。

それは、他人との距離をうまくつかめない栄利子の一挙手一投足が原因でおひょうさんを遠ざけてしまったのだった。

だが、執拗におひょうさんに執着する栄利子は、まるでストーカーまがいの行動に度々打って出てしまう。

昔、中学生時代にも、幼馴染みの圭子から疎ましがられたことが許せず、ストーカーじみた行為を起こし、信じられない噂(圭子が援助交際しているというウソを流す)となって圭子の将来を潰した経験を持つ栄利子なのだ。

普段は、美しく優秀な商社勤めのOL栄利子。しかし、自分が避けられたり受け入れてもらえなくなったりすると逆上し、相手を食い尽くす狂暴な癖を持っていた。

まるで、偽装魚のナイルパーチみたいだ。スカンジナビア湖にたった一匹のナイルパーチを入れた時、あっという間に湖の生態系がナイルパーチの食い荒らしにより変わってしまったのだ。

商社でナイルパーチの輸入に携わる栄利子はナイルパーチの生態を勉強し、まるで女同志の友情のようだと反芻した。

何がなんでも、おひょうさんは私のものだと言わんばかりにストーキングを繰り返す栄利子はまるで狂暴なナイルパーチそのものだ。

執着する栄利子は悩みを相談した同僚の男と寝たことが婚約者の派遣女子・高杉真織にばれ、とんでもない約束をさせられてしまう。


一方、おひょうこと翔子も実家に問題を抱え――。

作家である重松清氏の解説・・・「本作『ナイルパーチの女子会』は、柚木麻子さんがデビュー以来追い求めてきた主題の一つの到達点であり、その後の柚木さんが展開する文学への結節点でもある。」

• 読後感

同性の友だちができない栄利子と翔子。ブルーの表紙、ふわふわしたイラストからはまったく想像できない女のドロドロ執着劇だ。

かなり狂気の世界なのに、誰にでも経験のありそうな女の「取った,取られた」から始まる当たり前の日常を巧みな言葉で表現する柚木麻子氏。

身近でありながら、登場人物たちが言葉を荒げる様は狂喜じみていて、何度も途中で読むのを止めようと思わせるが、結局栄利子と翔子の近々の将来が知りたくて最後まで読んでしまった。

ストーキングや社内いじめや家庭内介護のすさまじさなど、恐ろしくもあり身近でもある内容に目が離せなくなってしまったのだ。

女の持ち合わせている深層心理をえぐる内容が息苦しい。この作品を再度読み返そうとは思わない。

普通の女子がサイコだった話。

最終盤に差し掛かる頃、付きまとわれていた翔子も同じように、NORIという女にストーキングしてしまう。

誰もが栄利子になりうるのだ。

それまで、築き上げてきた世界をいとも簡単に崩す怖ろしい女の狂気劇だった。

もう、当分は回転寿司店へは行けない(笑)

「心がえぐられすぎてつらい」

病気になってもいい日を用意する~時間の予算計画を立ててみた【健康・時間の予算立て】

【ブログ新規追加447回】

会社員のわたしの平日は基本的に仕事だ。だから週末しか病気になれない!と、ずう~~~っと思い込んで、この13年勤務してきた。

カラダがというか、頭がそういう風に思考するんだから、決まって週末になると、カラダのあちこちが痛み出したりするものなのだ。

今年の前半も、やっぱり週末を狙ったかのような「皮膚細菌感染症」に突如罹ってしまい、それからの一週間、痛い・熱で苦しいなどの症状が続いた。

あれも、これも、いつも突然襲ってきたみたいに感じているけど、絶対に伏線があるのだろうとも感じた。見て見ぬふりしてたりとか(笑)

病気になるのは自分のせいだ。

病気にならないためには責任感が必要。この責任感を持つということが周りへの配慮にもつながるし、何より健康であり続けるために一番大切な要素だと、つい最近気が付いた。

そこで、月末までの平日に「空白の3日間」を予算立てしてみようと考えたのだ。

(※ 仕事をしない日ではない。あくまで予定を自分から入れない日と言い換えるとわかりやすいかも。仕事の積み残しを月末に持ってこないようにするだけで叶う)

何にもしない日、予定を入れない日。そんなのできるのかな?

でも、挑戦してみよう。

                 ★    

会社の仕事は、前もってWEBのスケジュールに落とせばその日から休むのは可能だ。

自分の責任範囲をしっかりと営業することが大事なわけで、わたしは入社当初から、一ヵ月先までのザっとした営業稼働日を予定してきた。

急に思い立って用意もそこそこに出るとかは、まずしない。

この一ヵ月予定の中には仕事以外の趣味の国内ホテル旅や以前だったら、アジア諸国への短い旅なんかが毎月含まれていた。

さらに映画、展覧会、演奏会などのイベントも前持って入れてしまう。

と、ぎゅうぎゅうな予定を実行するのが楽しかった。正直、病気のことまでは手が回らなかったと言える。

               ★

若さって、自己健康管理が必要じゃなくてもかなり、正確に予定をこなせるものなのよ。

自分のこれまでの行動を思い返して、笑っちゃうぐらいフットワークが軽いもん。

しかしだ、もう、そういった暴れん坊ではダメよね。

ちゃんと「時間の予算」を見積もって、いざ、病気になってもいい3日間を作ろうとこの夏休みに決めたんだ。

まったく、遅いよね(笑)

で、9月の最終週の3日間をまず、夏バテ対策として充ててみた。もちろんスケジュール帳に書いてね。(9月27日~29日)ここで、カラダのメンテをするという感じ。

別に病気になりたくて予定するのではないよ。

いざとなったら、この空白の3日間がある・・・という余裕の暮らしをする時間の予算立てを習慣にしたいと、初めて考えたということなのだ。

要するに「時間の予算」がある→何もしなくていい日→病気になってもいい日だと。

これで、どんなに忙しくても月の最終までパンパンに仕事しないようになれるはず。

               ★

そうそう、登山でも遭難者の多くが「体力の限界」まで使ってしまった時に遭難しやすくなると、本で読んだ。

なるほど!と納得できた体力の配分。

全部使い切って月末じゃあ、回復期がないじゃない。それだと、次の月の頭にすっきりと動き出せない。

時間も体力も有り余るほどなくなった今、あるのは「知恵」のみだ。

一日24時間とか、一か月30(31)日とか、限られた時間と共に生きている間は「時間の予算計画」を立てるのは不可欠だと言えよう。

予算なき時間は、想定外の出来事や、人生の応用問題などを解いたりはできないだろうね(笑)

※ 一番気に入っている愛媛県の焼き物、砥部焼をトップの写真に撮ってみた。


多読を楽しみ切る夏季休暇~多読の達成感はやりがいに効く【書評・自己啓発】

【ブログ新規追加446回】

本は一冊、一冊慎重に選んでじっくり読む?

それとも出会いを大事にしてインスピレーションのままに手に取る?

どちらも素敵。

だって、本さえあれば、いつでも新しい世界を見る(妄想)ことができるし、孤独を存分に楽しむ最高の時間になるから。

今日は、そんな最高の読書の話をすこし。

わたしの本とのつきあい方を語る。

わたしは多読=ブックジャンキー(本狂い)だという話

私の読書法は一度に大量の本や雑誌、新聞などを横に積んで、一定の時間でどんどん読み続けていくことだ。

今では、雑誌は姿を消した。その代わりWEBの記事を読み続けるので常にPCは立ち上げている。

何か気になる情報があれば、すぐに検索するし、You Tubeは消音して観たい所だけを拾う。

今や、「多読」と言ってもその姿は、紙の書籍だけを指すのではない。WEBも動画配信もすべて多読に含まれるのだ。

長期の休みに入る前、図書館で10冊の書籍を借りる。今回の内訳は小説4冊、アウトドアに関する書籍を2冊、健康やファッションなどを4冊借りてきた。

で、休暇2日目の今日から、村上春樹・著『騎士団長殺し・第1部 顕れるイデア編』『騎士団長殺し・第2部 還ろうメタファー編』を朝から大雨の中、粛々と掃除、洗濯をしてずっと読んでいる。

休み中に読み切って、書きたくなったら書評を書くかも。無理はしないのん(笑)

とまあ、図書館通いは通常でも毎週やっている。今では借りる本も少なくはなってきたが電子書籍も2冊はオンラインで借りている。

本当に欲しいものはサッと迷わず購入する。

出版社の営業だから本の世界に一年中どっぷりなわけで、情報量もそりゃあ断然多い。しかし、大事な情報を見抜く目を持っていないとたちまち情報の波に押しやられてしまう。

今の自分に必要な視点だったり、思考だったりを必要としているゆえに、あれもこれもと触手を伸ばすこともなくなった。

「多読」は、無数の考え方の一端を知り、取り入れたりしながら「自分らしく生きる指標」となってきた大切な習慣なのだ。

お菓子を食べながらいっぱい読んでインプット。冬眠前の熊みたいなもん(笑)

貯めるだけ貯めて一気に吐き出すアウトプット。その場所はこのブログだけで充分だ。

誰の真似でもなく、誰とも戦わない、わたし独自のやり方(インプットとアウトプット)が「多読」と「ブログに書評を書く」ことなのだ。

読書は読み終えて、ブログにまとめて落とし込むまでが一連の行動で、思い通りに書けた時の達成感は何ものにも代えられない醍醐味がある。

多角的発想と詰め込んだ知見がわたしを豊かにしてきたのは間違いない。

「いっぱい読んで、いっぱい吐き出す」

これでいつもスッキリ(笑)


           

『働かないの』群 ようこ・著(KADOKAWA)【選書・ワークスタイル】

【ブログ新規追加445回】

主人公 キョウコ 48歳。無職。月10万円生活(貯金を切り崩す)。独身。

都内のおんぼろ木造アパートに気のおけない女たちとつかず離れずに自由に暮している。

働かないの~れんげ荘物語

簡単レビュー

2009年の第一作から3年後の2011年3月キョウコは48歳になった。まだ、独身。ひとりでれんげ荘に住んでいた。

2011年3月といえば、東日本大震災が起った年。作品でもおんぼろ木造アパートのれんげ荘は地震にも倒壊しなかった。管理会社社長はほんとにいい人で、木枠の窓をアルミサッシに変え、窓枠にはめ込むタイプのエアコンまで無償で取り付けてくれた。

そのおかげで、おんぼろアパートだが確実にキョウコの生活もグレードアップしていた。

隣りの部屋に若い女性が越してきたので老婆心であれやこれやと世話を焼いてしまい苦虫を噛んだり。

喫茶店で見かけた細かく美しい刺繍バッグに魅せられて刺繍を始めてみるが、持ち前の完璧主義が邪魔をする。

それは、何でもできる!と、思い込んでいたが実際始めてみると、針の一刺しすら思い通りに刺せない。

要するに若い頃と違い、目が悪くなっていて、針を持つ手もプルプルと震えてしまうのだ。

あれほど完璧主義だったキョウコ。ぐうの音も出ない。

いったい一つの作品を仕上げるまでにどれだけの時間がかかるのだろうか。

一方でこれから、趣味で本格的な刺繍を始める人にとってはとても興味が尽きない内容だろう。

そして、キョウコの夢はこうだ。

長い間、仕事だけをしてきた。それも早期退職を夢に見続けて。「誰にも気兼ねせず、好きなだけ寝て、好きなだけ食べて、好きに旅して」と。よ~するに何もしない、働かないために45歳まで、必死で働いてお金を貯めてきたんだから。

そうそう、働かない(無収入)で独身って場合は、所得税や住民税が発生しないのだ(驚き)

そうすると、年に何度か役所の担当が「お前もちゃんと働け!」「税金を納めろ!」と、言わんばかりに家庭訪問に来る下りが面白い。

キョウコの言い分はこうだ。

「御用は何でしょうか?年金と保険料は支払っていますが」

(なぜ働かないのか?と聞く役所担当に向かって)

「ですから、以前も申し上げた通り、働く気持ちはありません!」

(役所担当ははあ~と、ため息)

このやりとりがえんえんと続くのだ。例えば「どこか具合が悪いのか?」とか「まだ働ける年齢でなぜ、仕事をしないのか?」」など身辺調査に躍起になる役所担当。

彼の使命は、キョウコに再就職してもらって、区民税を払ってもらうという納税者増加の一端を担う者なのだった。

キョウコは、ひたすら自由を求めて、仕事を続けて貯金を貯めて退職できて晴れて自由になった。

しかし、世間はそう簡単にはキョウコを自由奔放にはさせてくれないものなんだ。

月3万円のぼろアパートに住んではいるが、お昼だって、都心の高級スーパーのセールで手に入れたアンチョビや紅茶と新鮮野菜も八百屋で買い、安くておしゃれなひとりパスタランチを楽しむ。

ランチの後は、日がな読書するもよし、好きなピアノ曲を聴くのもよし。アパートの女住人たちはみな総じて優しいのだ。

これで、生きて行ければ何もいらない。

いらないついでにTVも捨てたのだ。要らない情報の呪縛から逃れるためだそう。

時おり、「何かやらなきゃ!」と焦る気持ちもあったが、3年も無職を続けると、あれだけ自己嫌悪に鬱々していたことがウソのように穏やかな日々に満足している。

働かない!と、決めた女の強さも端々に見える。

ただ、2011年という具体的な数字を作品に見つけた時は、まるでおとぎ話を読んでいたはずだったが、否が応でも現実に引き戻されてしまった。

このあたりが、「群ようこの狙い」だったのかもしれない。

何にも起こらない日常でも、びっくりするような現象に遭遇するのだから。

平凡な日常を嘆いたりせず、身近な人を大事にしながら、ひたすら「ご自愛」をする提案を作品を通して続けている。

コロナ禍の今、ステイホームのお供に「群ようこ」にハマるのも悪くないだろう。

                ★

群 ようこ氏の作品はこれで2作目。

1作めは「かもめ食堂」・・・北欧でひとりの女が手作りシナモンロールやシャケのおにぎりを作りcafeで売り出す、実に靜かで素朴な話。

原作を読んで映画を観て、日本から一番近いヨーロッパに行きたくなった作品だった。

ただ、あまりに情報量(セリフや場面)が少なすぎて物足りなかった。おしゃれなんだけどね。

作者はわたしより7歳年上。バブル期を謳歌した年代だ。しかし、大人気作家となっても自身の慎ましい暮らしぶりは変わらなかったそうだ。

群 ようこ氏「人となり」を知るには「かもめ食堂」や「れんげ荘物語」を読むのをおすすめする。

何でもない日常を愛おしく感じられるようになるから。

夏季休暇前、志村けんさんの記念碑にお参り~in東村山【暮らし・夏休み】

【ブログ新規追加444回】

8月13日盆の入り。

東村山で夏季休暇前の仕事が終わったその足で、JR東村山駅に隣接する「志村けんさん記念碑」にお参りに向かった。

かなりの人だかりの中、さっと一枚全体を撮らせてもらう。

こちら、仕事先の書店では、一番良い場所に志村けんさんのこれまで出された書籍と一緒に新型コロナウイルス関連の書籍も所狭しと陳列されている。

もう、コロナと一緒の夏も2度目。 東京では今日も5000人を超え6000人に迫る感染者数。 今週、大雨被害の心配もつのる日本列島だ。

昨日、またもや仕事先の一斉訪問不可のチェーン店の連絡が入るなど、わたしの仕事もまだまだコロナ受難が続いている。苦しい限りだ。

それでも、笑顔の志村さんに会ったら何だか気持ちが晴れた。「そうよね。負けてらんない!」と心底思ったよ。

それに明日から9日間の夏季休暇が始まる。このあと図書館によって、小説4冊、山の本3冊、その他2冊の合計9冊を借りて、お供のスペインワインを買って帰ってきた。

仕事の憂さは本で晴らすのがわたしの流儀だもんで。ついで美味しいお酒もね。

当初の予定だったキャンプも緊急事態宣言延長で仕方なくキャンセルをした。あいにく梅雨みたいな悪天候が続くようだし。

不要不急の外出はお天気を見計らって早朝に出られれば嬉しいな。それももちろん東京都内でね。

さて、コロナ禍でも夏休みは楽しみたい。

現金なほどワクワクしている。

それでは、前夜祭としてカレーうどんを煮ようっと(笑)

わたしが今、本当にしたいこと~「歩く」は散歩から始まる(Life Tour 21より)【Life tour21st・すぐそこにある旅】

猛暑の仕事三昧も今日で3日め。

「歩く」をテーマに書きたいのだけど、毎日の暑さにいかんせん外に出て歩きたくはない。

そこで、「歩き」関係の記事を載せる前に、「わたしの本当に好きな時間の過ごし方」を書いてみた。

※ トップの写真はスイカ模様が可愛い「ミニ・ぺぺロミア

光を求めてどんどん伸びる観葉植物。風水効果も期待できるんだそう。

テーブルでもベランダでも勝手に育つ、わが家で一番手のかからない子よ(笑)

• わたしの好きな時間と過ごし方

わたしが、今、本当にしたいことは「家で3時間ぐらい、自分のためだけに使う」というタイムマネジメントなのだ。

その「3時間」のくくりだが、とにかくWebを見ながら情報を集めたり、ひたすら好きなだけ本を読んだり、これまたイヤというほど考えごとをしたりするのに「3時間」というくくりが必要なのだ。

特に、深い目的があるわけではないのだが、考えごとも一から順を追って考え続けると途中で止められないものだし。

Webの記事を読んでいても、ひとつのことから次のことへどんどん関連づけてシャワーを浴びるように読みたいのだ。

まあ、こんな感じで「見る、読む、考える」をやっていると、あっという間に時間が過ぎてしまうじゃない。

その速さには驚きだもの。

だから、「自分のための3時間」という空白の時間が毎日取りたい。しかし、なかなか3時間ってまとまった時間は取れないものなのよね。

せいぜい夏休みの間は「自分のための3時間」に挑戦しよっと(笑)

                 ★

• 「歩く」は散歩からはじまる~「すぐそこにある旅」2016年9月のブログより

すぐそこにある旅(全文紹介)


 夜明け前の静けさが街灯から伝わってくる。(午前5時)

 家の中で一番好きな場所はどこですか?と、聞かれたたら迷わず、「台所!」そう答えるでしょう。〜中略〜私にとって台所は料理をするだけの場所ではありません。スープを煮ている間、本を読んだり、床に座り込み考えごとをすることだってある。時にはスタンディングバーになることも!
                 「台所のホニへト」 伊藤まさこ・著(新潮社)より

9月になって、秋の入り口に立った。いつも朝は早く起きているけれど、ほとんど外に出ることはなかった。今朝は思い立って、静まり返った住宅街を抜け、いつものセブンイレブンまでそぞろ歩いて買い物に。

 紫色に広がる空が輝き始めてきた。先週からの台風のせいで、低気圧の時には頭痛がするし、急に雨が上がり、晴れ上がれば、気持ちがいいはずだが、どこか落ち着かない気分。泣きたくなるような美しさの朝。


 新興住宅街が朝日の中に浮かび上がっている。

遠くに出かけなくても、いつもの散歩道や公園など、目先を変えてみれば「すぐそこにある旅」が可能だ。早朝、見慣れたいつもの慣れた道なのに日の出前のうんと早い時間には、見たこともないような景色が広がっていた。思い立って出掛けてみると、それだけで見知らぬ土地を訪ねたような新鮮な刺激が感じられる。


 朝焼けに照らし出されたコンビニのポールが隣りのビルに映り新鮮。

毎年、春先になると欲しくなる、「日本の植物図鑑」。きれいな花を眺めることは心和む一時だが、名前を知るだけで、急に親近感がわくものだろう。樹木はさしずめ「彼」、花たちは「彼女」。それらの名前を植物図鑑で調べるなんて、素敵だな、っとず〜っと思っている。
 来年は忘れずにやろうと思う。忘れずにね。(笑)


 オレンジ色の朝焼けに映える信号が清々しく感じる。(5時14分)

もうひとつ、多分やらないだろうな、と思うけれど、たまにやろうかな?と思うことがある。それは「自分史」を書いてみる、ということだ。30代〜40代当たりの頃、何者かになりたくて焦っていた頃の自分。はたまた、はちゃめちゃな人間関係を自分なりに消化して楽しんいた20代。すべての道が輝くことだけを望んで過ごした10代。

 そういった今までの歩みを時系列に並べて、A4の紙、一枚に箇条書きにして書き出す・・・といった作業を文豪みたいに、「山の上ホテル」でわざわざ1泊して書く、とかね。PCから離れて、アナログで書く。今の自分にたどりつけるかどうか?ちょっと面白いかもしれない。


 遠く富士の峰にも朝日が当たり、勇姿を見せている。(5時30分)

旅の定義は本当に様々。自分が旅だと思えば、キッチンでこうして原稿やブログを書くことも一種の旅だと感じる。頭の中で別の空間があって、そこに行くことで始めて書くことが始まるような感じ。

 書き終わって一杯のワインやビールの美味しいこと。正に至福。不特定多数の人に向けて書いていることがほとんどだが、誰かに向けて書くこともあるかも。時折、「ブログ楽しみに読んでいます」というメッセージを頂く。ほんとに、嬉しい。