スティル・ライフ ~自分の生き方に暗中模索する「ぼく」と、すでに生き方を掴んだ「佐々井」の物語 【書評・文化・中編小説】

スティル・ライフ

はじめに

毎年、6月~7月、わたしは短編小説を書いている。一昨年は「植物図鑑の扱い方」なる短編、昨年は「三か月であることを実行し達成する到達点」やはり短編を書いた。(未発表)

わたしの書く小説のほとんどは短編小説だ。大量のブックレビューを書いた経験から推測すると、現在、小説の需要はとても限られていて、ほとんどがあまり知られていない作家の作品ばかリ。しかも、未だに小説といえば長編が横行する閉じられた世界観なのだ。

無事に発売までこぎつけた作品でも、書店等で長編小説を読者が手に取り、購入し、最後まで読んで頂くのはかなり難しい分野になっているのが実情だ。

有名大家の作品こそ、大々的にリリースされ、書店頭にもど~んと平積みされるが、今ではそういった作家も村上春樹氏ぐらいかもしれない。

村上春樹氏6年ぶりの短編小説が昨日発刊されたばかり。そうか・・・時はやはり短編に向いてきたか、と。わたしは自分の狙いがちょっとだけ当たった感を持ってほくそ笑んだのだ。

さて、今年も芥川賞の発表があったばかり。毎年綺羅星のごとく舞う新人作家の作品を真っ先に手に取る楽しみは計り知れない。そんな中、歴代ベストセラーで、わたしの最もおすすめする芥川賞作品の紹介をする。

スティル・ライフだ。作者は池澤夏樹氏。第98回芥川賞受賞作品である。この中編小説はこれまで2回読んでいたが、3回目を昨日の午後、一気に読み通した。この一気に読ませる、読者を物語の森に誘い出す上手さに舌を巻いた。

※スティル・ライフ導入から

~この世界がきみのために存在すると思ってはいけない。世界はきみを受け入れる容器ではない~中略~大事なのは、山脈や、人や、染色工場や、セミ時雨などからなる外の世界と、きみの中にある広い世界との間に連絡をつけること、一歩の距離をおいて並び立つ一つの世界の呼応と調和をはかることだ。

たとえば、星を見るとかして。

【スティル・ライフ・物語の背景】

● 登場人物は主人公「ぼく」と「ぼく」が圧倒された生き様を持つ年上の「佐々井」のふたりだけ

「ぼく」に「佐々井」という年上の男が持ちかけた、ある壮大な計画というか仕事。それは三か月間で達成する予定だ。

「ぼく」は宇宙や微粒子に詳しい魅力的な「佐々井」の申し出を、一つ返事で受ける。そこから「ぼく」の人生の経験が積まれてゆく。ただ、三か月という時間はとても短い。

※「佐々井」が「ぼく」に持ちかけた、ある壮大な計画が物語のすべてである。

ある日、「ぼく」の前に「佐々井」が現われてから、ぼくの世界を見る視線は変わって行った。

「ぼく」は彼が語る宇宙や微粒子の話に熱中する。「佐々井」が消えるように去ったあとも、「ぼく」は彼を、遥か彼方に光る微小な天体のように感じるのだ。

科学と文学の新しい親和を感じた部分だ。「佐々井」という男がバーで飲むウイスキーの氷の光の中から、数万回に一回の確率で現れる光を見つけようとしている姿は、きっと男性だったら、真似したくなるスタイルだ。

「ぼく」という主人公が探しているものは

※ 常々、「ぼく」が感じていたことを文中より拾う。

~寿命が千年ないのに、ぼくは何から手をつけていいのかわからなかった。

何をすればいいのだろう。仮に、とりあえず、今のところは、しばらくの間は、アルバイトでもして様子を見る。そういうことだ。

十年先に何をやっているかを今すぐに決めろというのはずいぶん理不尽な要求だと思って、「ぼく」は何も決めなかった~文中より

この物語は青春小説などではなく、社会派小説と言えるのではないか~それは佐々井の持つ壮大な計画から読み取ることができる

自分の生き方にある種の諦めを感じながらも、若者らしく飄々と振舞う「ぼく」と天涯孤独で星や宇宙や山を愛する「佐々井」という年上の男。

彼らが出会う場所は、染色工場だ。作業要員として扱われ、それでもそんな仕事に若干のやりがいを見出す「ぼく」。

そして、染色工場を辞めてしばらくして現れた「佐々井」。「ぼく」に手伝ってほしいと頼まれた、ある壮大な計画。

この物語の最大の山場は、このある壮大な計画を「佐々井」が「ぼく」に告白し、淡々と緻密な計算を元に「佐々井」の思惑通りに計画を達成させる場面だ。あまりにも静寂すぎて見事な光景が文中に広がる。

※ 壮大な計画のキーワード・・・公的横領 株式投資 時効 この3点。

読後感を語る

わたしが最初に読んだ当時は気づかなかった部分が、「佐々井」という男の生活スタイルだ。究極のミニマリスト。持ち物は登山用のナップザック2個。計画のために必要なPCは買ってからタクシーで運ぶ。

友達はいない。銀行口座は持たない。所定の場所に長く住まない。要するに今でいうノマドライフの実践者にどことなく似ている。

著者の池澤夏樹氏は、遥か先数十年後を見据えて「佐々井」という男を生み出したとしか思えない。

芥川賞作品を最後まで読んだことがない人におすすめの一作だ。どんなに素晴らしい賞を取った作品でも、あまりに長い長編とか、小難しい表現、言いたいことを煙に巻く文章が過ぎる作品は、最後まで読み切れないものだから。

どうぞ、「ぼく」と「佐々井」のある壮大な計画と三か月を一緒に体感してみて。

そして、たまに星を見るとかして・・・。

自分で始めた女たち~いつの時代でも起業は素晴らしい!【選書・ワークスタイル】

Googleアドセンスに申請するにあたって、何度もGoogleの唱えるアドセンスポリシーなるものを熟読した。その中に、「自分のサイトから収益を得られる」と聞けば、多くの人は嬉しいに違いありません。と、こんな一文があった。

相模原北公園のアナベル。角度を変えて撮ってみた。

そう、そうよね。自分が手塩にかけた可愛いブログがせっせとおこずかいを稼いでくれるんだ・・・こんな印象が頭の中を駆け巡った。そして、アドセンス設置1日目。小さな収益が生まれていた。これがアドセンスのはじまり。

わたしは、人気作家になるために本やブログを書いてはいない。どちらかといえば、役に立つ情報を、己の体験からエッセイに絡めて書く、そんな自由な文筆スタイルを愛している。

それが、本ならば対価を頂ける内容だったり、ブログであれば少なくも収益に繋がるのだろう。いい加減な内容の記事や自分の感性=思い込みで書いてはいない。

すべて、実体験であり、写真も自撮りのものを使ってきた。これがわたしの考える自分で作る小さな仕事である。それを靜かに淡々と行う毎日だ。

ここで、女性たちの起業の実体験を集めた良書を紹介する。

自分で始めた女たち」グレース・ポニー著(海と月社)2019年7月刊行。

現在、各業界の第一線で活躍する様々な女性たちのインタビュー集となっている。

料理研究家、映画監督、脚本家、デザイナー、作家、ミュージシャン、イラストレーター、ブロガー、モデル、家具職人、スタイリスト、コメディアン、俳優、ジャーナリストなど多岐に渡る。

114人の女性たちのやりたい事や好きな事を仕事にして、夢を追いかけ、叶えた先にある美しい世界を写真とインタビュー記事で表現している。
インタビューの一覧をここに転記しよう。

・子どものころの夢は?

・駆け出しのころ役立ったアドバイスは?

・あなたにとっての成功は?

・自分ビジネスを始めて得た最大の教訓は?

・キャリアや仕事のために払った犠牲は?

・自分の性格でいちばん自慢できるところは?

・自信をなくしたり逆境に陥ったときの立ち直り法は?

・あなたのモットーは?

・今の仕事を知ったのはいつ?なぜ惹かれたの?

・ビジネスを始める前に考えておくべきことトップ3は?

・夜眠れなくなるような不安や悩みはある?

・失敗から学んで成功につながったことはある?

・ビジネスのアイデアや自分がやりたいことに気づいたのは、いつ、どこで?

・憧れの、あるいは尊敬する女性は誰?

 こうした質問に対し、114人もの女性たちが答えてくれるのだ。今、やりたい事が見つからないやりたいことへの一歩踏み出せずにいるなど、女性ならではの心中に一本の軸を見つける事ができるかもしれない希望と期待の一冊だ。

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始めるという大きな一歩を踏み出した女性たちの言葉には、成功への多様な価値観がある。

きっと言葉に出来ぬほどの苦労もあったのだろうけど、皆、人としてのしなやかさがある。読んで元気が出る本とはこういう本を指すのだろう。

これから、ワクワクややりたいことをビジネスにしたい!という人には、ぜひ一度手に取ってみて!

きっと、見違えるような気持ちになれる。わたしもそうだったから。

スターバックス成功物語~一杯のコーヒーが生んだ奇跡【書評・ワークスタイル】

アメリカ映画のワンシーンにスターバックスコーヒーが登場したのは、いつだったのだろう。

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ユーガットメールではトム・ハンクスとメグ・ライアンの鉢合わせた場所がスターバックスだった。プラダを着た悪魔では、メリル・ストリープからコーヒーを買って来るように指示されて会社の前にあるスターバックスで、フロアの人数分を買うアン・ハサウェイ。

メグの手にも、アンの手にも、あの紙カップが持たれている。企業ロゴにギリシャ神話のセイレーン(半魚人)を深い緑で描く印象的なデザイン。2年おきにセイレーンのデザイン刷新も行われているのだそうだ。

誰の目からみても印象的、この企業ロゴの持つ意味は多大だ。外で持ち歩くコーヒー。そのスタイルがなにしろカッコいいし、紙カップの印象的なデザインで、広告効果は絶大。瞬く間に世界中に広まった一杯のコーヒー革命だった。

アメリカ映画の最強の小道具は車でもハンバーガーでもなく、スターバックスコーヒーに様変わりした1996年。その年に満を持して出版された本。スターバックス成功物語だ。まず、概要をレビューをしよう。

● 本書の概要

著者であり、世界規模で展開を続けるコーヒーチェ―ン、スターバックスの会長であり、最高経営責任者(CEO)のハワード・シュルツ氏は、1982年、一流企業で高給を取りながらも、突如企業を退職してしまう。そして、たった5店舗の姉妹店を抱えるシアトルの小さなコーヒー小売り会社に転職した。それがスターバックスだ。

そして、5年後の1987年、スターバックス最高経営責任者(CEO)に懸け上げるのだ。当時、まだ姉妹店6店舗の地方企業から全国規模の大企業に育て上げる。

単なる一企業の成功過程を書き表しただけでなく、ビジネスに対する彼独特の持ち味というのか、こだわりや伸びやかな柔軟性がもたらすバランス経営などは必読だ。

現在、ビジネスの第一線で活躍中のパーソンにとっても教科書となりうるマインドの高い書籍である。彼の持つ人生観、起業をする理由や夢の追及など興味が尽きない良書なのである。

● スターバックスの原点とは

スターバックスの原点は二つある。一つは1971年に創業された初代スターバックス社。この時の企業理念は、最高級のコーヒーに情熱を注ぎ、一人ひとりの顧客にコーヒーの概念を啓蒙することに専念するというものだった。

そして、もう一つの原点は、著者のシュルツ氏がスターバックスに持ち込んだビジョンと価値観である。それは、負けじ魂と全社員が共に勝利者となることを断固たる決意で目指すとい強い理念であった。

彼はコーヒーに自分の夢を懸けて、ことごとく不可能を可能にすべく挑戦を開始した。常に斬新なアイデアで目標達成を成し遂げたのだ。

ただ、彼がスターバックスに出会う10年も前から、すでに地方都市での商売は繁盛していたのだ。だから、創立者にとってはコーヒーの品質がすべてだったのだ。

このことから、スターバックスの原点は二つあるというシンプルな指標を掲げたのだ。どんな企業でも、何を基盤にするかは議論を呼ぶ一番大切な部分だろう。

現在、スターバックスが取り入れているコーヒーの決めては、創立者が魅せられた深煎り焙煎された豆の独特の風味を基盤に置いている。その独特の風味にたどりついたからこそ、どこのコーヒーチェーンよりもひと味もふた味も違う本物になれたのだ。

● 著者 ハワード・シュルツ氏の父親の仕事

この書籍の冒頭には、シュルツ氏の生い立ちが事細かに書かれている。少しショッキングな場面を文中から引用する。

(文中から)当時、7歳だった僕の父が職場で足をくじいた。母親が友達と無心に遊ぶ僕に「パパがケガをしたから急い帰って」と。

僕の父は、足にギブスをはめたまま、その日から一ヵ月も家に引きこもるようになった。父親が働かないとこの一家は収入が途絶える。実は、今までもこういったことは何回もあった。

父の最後の仕事は、おしめの配達とおしめを回収するトラックの運転手だった。何ヵ月たっても身体に沁みついた臭いは酷くて汚い。本当に劣悪な仕事だと愚痴をこぼしていた。しかし、ケガや病気で休みがちな父は、その会社を解雇された時に、ひどく落ち込んで、もう一度あの仕事がしたい!と懇願していた。

その時、母は7ヵ月の身重で働きに出るのは無理だった。僕の家はすべての収入を絶たれて、ひどいことに健康保険も無く、失業手当もなく、頼れる人など皆無だった。

ことごとく、運命に裏切られてきた父親。父親は負け犬だった。知っている限り、ブルーカラー労働者として、トラック運転手、職工、タクシー運転手など。もちろん持ち家など持てるはずはない。子どもの頃住んでいたのはブルックリンの低所得者専用住宅だ。

年頃になった僕は、ふがいない父親との衝突が絶えなくなっていった。どうしてもっとちゃんとやれないのか?と。もっと努力すればできないはずはないだろうと。

しかし、父の死後、わたしは不当に父を裁いていたことに気づいた。

組織に適応しようと影で必死に努力をしたのであろうが、組織に無情に踏みにじられた父。まっとうな待遇も受けられず、自尊心を傷つけられて心を失ったことで、人生の落とし穴から抜け出すことも、生活を向上させることもできなかったのだ。

そのぐらい自尊心というものは大切なものだ。

そして、何より悲しかったことは、父が自分の仕事に生きがいと誇りを持てなかったことだ。

少年時代のわたしは、自分が経営者になるとは夢にも思ってはいなかったが、もし何かできる立場になった時には、決して人を見捨てるようなことはしない!と固く心に誓った(文中より)

この冒頭のプロローグには、世界的大企業の最高経営者が語る話は何ひとつない。あるのは、小さな頃からティーンエイジャーとなるまで見続けてきた父親の生き様から、自分の将来像を描き、希望を見出すシュルツ少年の話だけだった。

もちろん、本論では、経営者バリバリの起業理念や挑戦欲を湧き立たせるテキストとなっているが。

親の背中を子どもはちゃんと見ているのが良くわかる。プロローグで、極貧の生い立ちを書き切った、シュルツ氏の強き決意はこんな風に語られていた。

~人の気づかないところに心を配り、どんなリスクも恐れず、誰よりも大きな夢を抱き、不可能に挑戦する~

この書籍は、仕事中心のお堅い話ではなく、親と子、人生とは、人を思いやるとは・・・などビジネスだけでなく、あらゆる人生に共通する絶対法則がふんだんに語られている。しかも平易な文章がとても読みやすい。ちょっと古い本だが、今、あらゆる立場の人に読んで頂くと良い影響があると感じた書籍だった。最後にもくじを表示する。

マイ・コースター

【もくじ】

プロローグ

Part1 コーヒーとの出会い

Part2 新しいコーヒー文化を目指して

Part 3 起業家精神の見直し

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BIG MAGIC 「夢中になる」ことからはじめよう。【書評・自己啓発】

エリザベス・ギルバート・著 神奈川夏子・訳(ディスカバートゥエンティワン)

著者本人は、読者のためではなく「自分自身のために書いた」と本書の中で強調している。本書奥付より。

著者のエリザベス・ギルバートは、アメリカの小説家。
代表作『食べて、祈って、恋をして』は、1200万部という大ベストセラーを記録した。
同作品は映画化され、ジュリア・ロバーツが主演を務めた。

著者はTEDに2回登壇している。こちらの再生回数は、なんと1600万回に上る。私自身もTEDを拝聴して、BIG MAGIC を読もうと決めた。

BIG MAG の導入部

都立小宮公園内のホール

著者が語る BIG MAGIC とは何だろう?
それは 地球にはアイデアも棲んでいる ということにまつわる様々な奇跡のことだと理解ができる。

まず、アイデアは生命体である という観点をあらゆる角度から引き出した一書だ。

要するに簡単に言ってしまえば、あらゆるクリエイターが生み出し続ける創作物には、地球からの生きたアイデア=生命体が寄り添いもたらしたものだという観点。

(文中から)地球上には、動物や植物、バクテリア、そしてウイルスが共に棲息している。しかし、それだけではなく、地球にはアイデアも棲みついているのだ。

アイデアは固有の肉体をもたない、ただのエネルギーを持つ生命体だと考えられる。しかも、わたし達人間からは、完全に切り離された存在で、やり取りが可能なのである。

エネルギーを持つ生命体「アイデア」には切望していることがある。それは、誰かによって自分を形(作品)にしてもらうことだ。アイデアの持つ資質を誰か優秀な書き手に具現化して欲しがっているのだと言い切っている。(文中より)

ここでの誰かとは、画家・ミュージシャン・小説家などのクリエイターたちを指し述べている。

著者自身の体験からBIG MAGIC をひも解く

市内の自然公園前

彼女は、自然科学を取り入れた小説を書く作家として生計を立てている。ある朝、突然小説のアイデアが降り注いできたのだ。

しかし、彼女はまだ早い・・・と感じ、しばらく自身の様子を見ていたのだ。すると、あっという間に別の作家がほぼ、同じ内容のアイデアをふんだんに盛り込んだ小説を出版してしまった。

このことから、2つの着目点が考えられたのだそうだ。

① まだ、時期が来ていなかったから、ジャストな人のところに作品の種は落ちて行ったのだと。この観点はもろにアイデアは生命体だという彼女の持論だ。

同時に同じ事を考える偶然もBIG MAGICの特徴のようだ。だから、アイデアを盗まれた!と騒ぐ場合もいたしかりしかもしれない。

② いいや、アイデアのしっぽを掴みそこなったのはタイミングを逃した自分だと。原理原則に忠実な彼女のごく普通の観点。さて、どっち?

その時の著者自身の気持ちを文中から拾ってみよう。

(文中から)そしてアイデアは、ある日唐突に誰かの元にやってくる。普通は、アイデアがやってきても他のことをしていて気がつかない。

もしくは、気がついても「そんなの自分の手には負えない」とお断りしてしまう。

しかし、アイデアと戯れることを決意したとき、創造は始まる。 まるで禁じられた恋のように、熱烈に。(文中より)

この文面から2つの観点が明確に表現されていた。①に対してはまだ早い~今回は見送ろうと逃す自分。②に対しては、アイデアを受け入れることを恐れずに決意すると、創造が始まる前向きな自分だと。

これではっきりわかったことは、どんな小さな発見やアイデアであっても、すぐに着手すべきだということなのだ。②が本心だ。

やって失敗するより、やらなかった後悔であれば、やって失敗のほうが100%前向きな決断なのだ。

しかも、アイデアという生命体は、誰かの手によって作品に生んでほしい!と願っているのだから、それを叶えてあげないといけない。

文中より著者の体験のまとめを書き出す。

まとめ

ふいにアイデアが自分のところに現れたら、これからよろしく!と握手をし、それが作品となる日まで決して喧嘩をせず、見捨てずに、自分の持てる力を最大限に発揮して互いに協力すべきだ

努力を怠って放っておくと、アイデアは待ちくたびれて、どこかに去ってしまうこともあるから要注意。

● クリエイティブという魔法~書評

品川 mango tree

すべての人の奥底に創造の種という贈り物は眠っている。それを目覚めさせて、大きく育てるためのキャンバスを持ち、描き出す勇気を持つ人だけが、このBIG MAGICという魔法の虜になれる。

それは、たとえば作家などのクリエイター職ばかりじゃなく、庭師や料理人など、自分自身の人生を充実させるものすべてを指すのだ。自分の人生をより、クリエイティブなものとして考えることができるかどうかで、BIG MAGIC を掴めるかどうかが決まってしまう。

手前みそだが、わたしはブログを運営してる。最近、ブログ執筆がとてもクリエイティブな作業だと感じている。それを持てたことが幸せだと実感できたのだ。小さなBIG MAGIC を経験し掴み切れたからこそ、夢中という幸せが手に入るのだとわかった。

また、どんなひとにでも発揮できる創造性だと読み取った。だから特別な能力とも、すごい学歴ともまったく違う。

それは、自分のできる事を全力でやる事と、やり切った後に見える景色をきちんと見ておかないといけないのだと。

BIG MAGICは、きちんと見ている人の元に降臨するのだ。

著者の願いとは

浜松町からの東京タワーと満月

本書のメッセージは、あくまで、著者自身が作家としての教訓を交えながら自分の内面と向かい合って対話している、と言えばわかりやすい。

思い込みが多く、不安定な著者が作家として生きると決めた決心の場面は靜かながらもとても情熱的で印象深かった。

自分の人生に忠実であり続けることができるのか? 移ろいやすいクリエイティビティをつなぎとめるための考え方とは?悩みや葛藤さえも美しかった。

創造的に生きるということは、名声を得るとか、才能を使ってお金持ちになるとか、そういうことではないのだと、著者は繰り返えす。

むしろ自分の中の創造性を、社会で換金しようという目的を第一にしてしまうと、創造性は痩せおとろえてしまうとも言っている。

わたしの話だが、ブログを書くことが楽しくて毎回、何を書こうかと考えるとワクワクが止まらない。

書きあげて推敲、撮影しておいた写真を入れてのアップでウキウキは最高潮に(笑)

それでいいのだ、それがいいのだ、それを続けなさい、と著者が私の背中をポンポンと軽く叩いてくれるのだ。


さらに、 見えないけれど私の周りにアイデア、好奇心の種が満ち溢れていることも教えてくれる。

完璧なアーティストではない、私たちだからこそ共感できる、個人的かつ創造的生き方の告白。それが本書なのだ。

【もくじ】

Chapter 1 「恐れ」を乗り越え、充実した人生を送るには

Chapter 2   インスピレーションとともに生きる

Chapter 3   誰もが「やりたいことをやる自由」を持っている

Chapter 4  決してあきらめない

Chapter 5  好奇心を信じ続ける

Chapter6  ビッグマジックが起こした奇跡

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人生に必要なものは夢か安定か~結論はコミックにあり!【選書・サブカルチャー】

人生長くなると、だいたいどんなことでも乗り越えられるほど、経験の塊になるものだ。しかし、その悩みの渦中にいる時は想像を絶する辛さ。

わたしは、そんな時どうやってその悩みの渦から抜け出したのか?改めて思い出してみると、大好きな漫画=コミックに答えを見出していたのだ。

コミックは意外なほど、人生をつぶさに語り、見つめ、時には残酷に物事の現実を教え、しかし、最後にはほぼ問題の解決策を講じる。また、そうした作品がベストセラーになりやすい。

わたしと同世代のいい大人の男性が、座右の書がエースをねらえ だったりする。それは、たんに女子高校生のテニスに懸ける情熱物語だと思いきや、主人公ひろみを見出し育て上げる宗像コーチの男の生き方が世の男性たちの人生指南書となった時代もあった。

もう、語り出したら止まらないコミックの世界へようこそ。

エースをねらえ!

【もくじ】

1、コミックを読んで夢は叶うのか?

2、仕事運やチャンスをツカみたいのならコミックを読むべし!

3、世の中の色を見るのにもコミックは最適

4、まとめ 大人こそ、もっとコミックを読もうじゃないか

1、コミックを読んで夢は叶うのか?己の限界を超える方法

結論ですが、叶います。

コミック自体が夢や希望の塊。思い入れのある主人公のコミックから力を借りて、やる気溢れる主役となることが現実社会で可能だ。表現が変われば周りの見る目も変わる。その瞬間をとらえて行ければ、入試や面接、パフォーマンス、プレゼンなどなんでも思い通りに操れるのだ。

ちなみに、わたしの経験から。取り上げるコミックはいつもポケットにショパ(著・くらもちふさこ)だ。ピアニストを目指す女子高生の麻子と海外帰りの天才ピアニスト季晋が紡ぐ音楽成長ラブストーリー。

この作品が別冊マーガレットに連載されたのが、高校3年、偶然にも音大受験の真っただ中だった。毎月じりじりと進む二人の関係にやきもきしつつ何十回も読み返していた。

しかし、リアルな音大受験の様子、ピアノを弾くのは寝る時間以外は一日中だとか(それは、電車やバスに乗っていても、普通の教科の授業中でも常に膝には楽譜を置いて、音無し指動かし練習と暗譜をする)などの過激極まりない練習のやり方、しまいには、主人公の二人も、受験やコンクールなどの修羅場があり、まるで一緒に乗り越えようとしているかのような、錯覚まで起こすほど、一心同体のなくてはならないコミックになった。

受験は無事合格し入学した。新しく友達になった人ほぼ全員がこのコミック通りに受験を勝ち抜いてきたのだと後から知った。

な~んだ、やっぱりそうだよね(笑)みんな、藁緒もすがる思いだったから、不思議な指南書が出て来て救われたのだ。それがコミックだっただけ。

2、仕事運やチャンスを掴むのなら、スポーツ&ビジネスコミックを読むべし!

初めてのブックレビュー作品は、名作スラムダンクの井上雄彦氏のリアル(全14巻・未完)だった。まだ駆け出しのブックレビューライターに、初回から長編作を書かせてくれた編集者には本当に感謝が尽きない。

リアルは、車いすバスケットに出会い、選手として活躍することで、障害のある若者がやりがいと生きがいを持って、たくましく生きてゆく感動超大作。もうだめだ!と思う時、リアルの登場人物たちを思い出し、まだまだあと5分!っと頑張れるようになった。逃げないという心情も大事な観点だとコミックから教わった。

リアルを熱量を込めて書き上げたことで、ライターの評価もうなぎ昇り。ブログで長文を書いていたことが安定した仕事量の確保に転じた。その後ブックレビューの仕事も軌道に乗り、契約3年の間で250作品もの長編小説や実用書のブックレビューを書き続けてこれた。

それもこれも、最初に長編作品リアルをしっかりと書き切り、出し惜しまず熱く書いたレビューが受けた結果だった。ここでも、わたしはコミックに救われたのだった。

コミックでの最も長い作品は、世界を股にかけて飛び回る画商のビジネスストーリー、ギャラリーフェイク(全32巻)は、3ヵ月という長丁場をフルスロットルで書き上げた。こんな風に、様々な仕事を知り、知識も蓄えて、主人公の人生を疑似体験し、仕事にも生かせるコミックを読むことの価値は大きい。

3、世の中の色を見るのにもコミックは最適

しかし、俗世間ではいいことばかりじゃない。わたしは日頃、営業職なのだが、客先で思わぬ売られたけんかを買いそうになることもある。

そんな時に思い出すのが、働きマン(著・安野モヨコ)の主人公、雑誌記者の松方弘子の相手を見据えるテクニックなのだ。要するに相手と同じ土俵に上がらず一瞬で気持ちを切り替えて、冷静に言葉を選んで話を進めるのだ。けんかを売られて、白・黒はっきりつけよう!なんていうのはビジネスじゃないのよ。仕事の現場は常にグレーなものなの。こんなこともみんなコミック先生が教えてくれた。

4、まとめ 大人こそ、もっとコミックを読もうじゃないか!

漫画論なるものが、ネット上にも紙媒体にも存在していることをご存知だろうか。いかに漫画の世界がディープかつ、知識に溢れた世界であることを延々と学術的に論じられているのだ。一度、ぜひご覧ください!再度、コミックに夢中になれるかも。

現在、コミック市場は電子書籍がほぼ市場を座巻しつつある。スマホアプリもいわずもがなだ。日本が誇るサブカルチャーの大文化になるだろう。

コミックがあれば幸せだったのは、随分昔・・・と、こんな人もBook Live!で電子書籍コミック読み放題を使ってお気に入りをみつけてみて。

人生には夢も安定も必要。それを叶えるのがコミックなのだ!

そうそう、ブックレビューライター、最後の作品は世界的クライマーの山岳救助物語 (著・石塚真一)だった。あまりに壮絶な日本の山岳救助隊にボランティアで参加する島崎三歩。彼の救助の技術と姿勢はすべての仕事に通じるプロフェッショナルだ。全18巻を全力で書き切った。もうこれでレビューライターは充分だと心底感じた思い出のコミックだ。

(全18巻)

夢を追うのも、安定を目指すのもすべて自分の人生。サブカルチャーの女王でありタレントの中川翔子さんの座右の言葉は、あなたの好きがあなたを救うで、10代の時、ひどいいじめにあっていた時、コミックなどのサブカルチャーに救われたのだそう。夢中になれることで、人生の道が開けたのだ。

やはり、コミックは偉大である。

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ワーク・シフト【選書・働き方】

2025年、私たちはどんなふうに働いているだろうか?

「漠然と迎える未来」には孤独で貧困な人生が待ちうけ、

「主体的に築く未来」には自由で創造的な人生がある(奥付から)

クラウドソーシング「ランサーズ」

激動の未来を思い描きながら執筆された本書。実に3回目の読了を終えたので、あらためて、レビューを書いてみようと思う。

● すべての働く人へ未来からの警鐘を示す

初めて手に取った年は2016年2月。3月に書籍執筆の仕事を頂いて、働き方のベストセラーである本書を急いで手に入れて読み始めた。その年5月に、政府の女性活躍推進法の施行により、女性の働く現場の体制や環境が大きく転換を図る矢先の出版。

これまでの仕事観を一掃させる辛口かつ綿密な取材データの豊富な本書から、我が仕事の未来までも予想できるほどのインパクトがあった思い出の書だ。

● まずは我が家の中から改革を!仕事の内容を細かに伝える

また、著者がこの本を執筆した動機は印象的なものだった。ある日の朝食のテーブルで2人の息子たちと交わした会話からだった。長男は将来やりたい仕事にジャーナリストを、次男は医師を選んでいたのだそう。この時、働き方の研究を始めたばかりだった著者がとっさに思ったことは、「あくまでも好きな仕事を選ぶ」という一点を教えなければ!と考え、話をし始めたのだ。

例えば、ジャーナリストは取材や原稿の執筆など特有の技術が必要不可欠な割に、お給料が少ない業種だという話。また、医師に関しては、医療機器の爆発的な開発によってバーチャルでの診療や手術が可能な将来に成り得ることなどを話し、今の考えや勉強だけでは到底立ち向かえないものだと、ピシャっと話をつけてしまう。

しかし、彼女は息子たちに、継続的に最先端の技術や社会動向を勉強し続けることを徹底することで、「好きな仕事」を続けて行けるのだと畳みかけるのだ。確かに未来が予測通りに行く保証がないことを考えれば、やりたいことや好きなことを仕事にし、すべての情熱を傾けることが賢明だと思える。

本来、仕事というものは、「お金を稼いで食べてゆくだけ」では満たされない深いメンタルの部分があるものなのだと解く。メンタルが満たされる条件はただ1つ。やりがいなのだ。

産業革命の歴史からひも解かれる、今後の行方を複数の取材先でのエピソードを交えて書かれるケース・スタディが満載の一書。読み応えは抜群だ。

● 各シフトの具体性

さて、本書のテーマである仕事のシフト=転換をどうやって叶えてゆくのか?3つの指標が提案されているので紹介してみよう。

第一のシフト・・・ゼネラリストから連続スペシャリストへの転換

第二のシフト・・・孤独な競争から協力して起こすイノベーションへ

第三のシフト・・・大量消費から情熱を傾けられる経験をする

なぜ、この3つの指標が重要なのか?それは、著者曰く、今後、時代を揺り動かす5つの要因があると解く。

1、テクノロジーの進化

2、グローバル化の進展

3、人口構成の変化と長寿化

4、社会の変化

5、エネルギー環境問題の深刻化

この5つの要因を考えるに、自らの固定観念を解体して、より柔軟に仕事そのものや自身を取り巻く環境整備に努めるべきだと書かれている。

今回、3回目の読了を果たしたのだが、驚くことが書いてあった。すでに1990年、バングラデシュで貧困世帯を救う学者の家の子どもたちは、高速回線を使ってイギリス本国からのオンライン授業を1日4時間受けさせていたという現実。

今年、新型コロナウィルス感染がなければ、日本のわたし達はまだまだ、オンライン授業やオンライン会議、商談や診療などには手が届かず、旧式の仕事や学習を続けていたのであろうと推測される。

また、ミニ起業家という概念が韓国や台湾の女子大生から湧き起こった年、取材現場の多くはSNS上にあり、対人するのは画面だけだという現実。アジアの女子大生は卒業後も既存の会社に就職するのではなく、起業家として、好きなことを発信する仕事を始めるのだった。キャリアを積むこと自体に夢や希望は見いだせないといいながら。

今では、まったくあり得る普通ですらある光景だ。

先に示した3つの指標だが、あえて解説は控えよう。なるべくは本書で読み込んで頂きたい箇所だからである。

● 最後に

なぜ、未来を予測する必要があるのか?それは、自分自身や大切な人のなんらかの決断や判断が必要な時、なるべくは正しい理論的な決断や判断をつけるためには、目の前のことだけではなく、これから先のことを常に着目し、案じていける習慣を習得する必要があるのだといわれた。

そして、正しい理論的な決断やスピードを持った判断が人を育て、人を救うのだと教えてくれた。正しい理論的な決断や判断は、人のためになるのだと、3回読み込んでやっと到達した見解だ。

ワーク・シフト~孤独と貧困から自由になる働き方の未来図2025

著者 リンダ・グラットン

出版元 プレジデント社

2012年5月初版

【もくじ】

プロローグ~働き方の未来は今日始まる

序章 働き方の未来を予測する

第1部 なにが働き方の未来を変えるのか? 

第2部 「漠然と迎える未来」の暗い現実 

第3部 「主体的に築く未来」の明るい日々 

第4部 働き方をシフトする

エピローグ 未来のために知っておくべきこと

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ストーリー思考で奇跡が起きる 1%の成功者だけが知っている人生の脚本の作り方【選書・自己啓発】

脳の仕組みを理解することで誰にでも奇跡は起こせる。行動をしていないから結果が出ない この考え方は半分が正解で半分が間違いなのだ。

では、結果を出すのにはどうしたらいいのでしょう・・・。この書籍の最重要な箇所ではこう書かれています。

今、必要なことだけに絞って学び、必要なことを得るのに重要な人を探すことです。

それには道筋を示す人生のストーリーが必要です。 さあ、結果を出す、奇跡を起こすために「人生の脚本」を書いてみましょう。人生を一変させる奇跡のロジックをモノにしてみましょう。

ストーリー思考で奇跡が起きる 1%の成功者だけが知っている人生の脚本の作り方」小山竜央・著(大和出版)2015年8月初版

神奈川県開成町 瀬戸屋敷にて、2016年6月1日 撮影

【もくじ】

序章 目標を捨てると人生が変わる

第1章 1%の人が大事にしている習慣~ステップ1「テーマ」を決める

第2章 たったひとつの行動が奇跡を起こす~ステップ2 「イベント」を起こす

第3章 あなたが変化する瞬間にフォーカスする~ステップ3「ストーリーボード」を書く

第4章 自分を育てる時間を作る~ステップ4「種」をまく

第5章 人生を性格にとらえて夢実現の精度を高める~ステップ5「見直し」をする

第6章 夢の実現を最速で引き寄せる~ステップ6「協力者」をつくる

第7章 夢を叶える4つのツール

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72時間をあなたの手帳で管理すれば、仕事は劇的にうまくいく 【書評・ワークスタイル手帳術】

1日は何時間?

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24時間でしょ!

しかし、時間の幅を広げられれば、いつも雑事に追われて時間がない!という時間地獄から抜け出せるかもしれない・・・そんな夢みたいな理論が網羅された本を見つけたんです。

1日は24時間という枠組みを取り払って、3日間で72時間をひとつの時間の塊と捉え、手帳で管理するといった新しい時間管理術なのです。

以前、歌手の松田聖子さんが、TVの取材でおっしゃっていた話がとても良かったのでここで紹介します。

「朝、起きたらお天気が良くて、どっかに行きたいと思ったら、5分で出かけちゃう。それは、家の雑事に振り回されず、まず、私が行きたい場所へ行くための作戦だから。着替えたらすぐ出ちゃうわね!」と

要するに、聖子さんには「やりたいことはまず先にする」という徹底したマインドがある!ということと、やらねばならないことやいつでもできるルーティン(家事など)は後回しでいいのだ!というマインドの両方をバランスよく持っていることを知りました。ね!素敵でしょ。

まさに、時間オンチと時間マスターの違いはここにあるのです。「もっと時間があればやりたいことができるのに・・・」こう考える人はまさしく「時間オンチ」です。著者の久瑠あさ美さんは、「時間オンチ」は「時間トリック」にはまっている、と本書で言われています。

どんなにやる気があっても、発想がピカイチでも、「時間オンチ」だと時間管理でつまづき、タイミングに乗れず、チャンスを逃してしまいます。

そして、「時間オンチ」の人はみな、真面目で「やるべきことをやらないと、やりやいことに着手してはいけないんだ!」こう考えているのです。

さあ、この本で「時間のトリック」から目を覚まして自分の時間を取り戻しましょう!

それでは、72時間手帳管理術の極意をレビューしていきます。

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● まず、一週間スケジュールであなたの時間を取り戻そう!

スケジュール中心の普通のものでOK。手帳では、おもに週間スケジュールと月間スケジュールを使います。ペンは3色で、仕事の予定は「黒」プライベートの予定は「赤」未来の予定は「青」で記入します。

ここでのポイントは72時間を何曜日に決めるか?です。

実際にわたしのやってる72時間活用法を紹介します。

【わたしの72時間攻略法】

わたしの72時間=3日間のやり方はこうです。

私は、週の初めの「月・火・水」をひとくくりの72時間で捉えて仕事やプライベートを納めています。

毎月4回の72時間ワークデーとして取り込んでいますが、なぜ、週の後半にも取り入れないのか?

それは、週1回で充分、仕事のフォローとはみ出た予定のリカバリーが可能な状態だからです。

まず、週1回取り入れて、そこで、重要な仕事の着手をするように仕向けています。そうすると、重要な仕事は週の初めに取り組んでいますので、気持ちの上でも余裕が生まれ、後半の平日で執筆など頭を使う仕事に没頭できます。

しかも、週末には仕事をシャットダウンして、趣味のカメラ撮影や大好きな自然の中でのトレッキングの時間もたっぷり取れるようになりました。

72時間を有効に使うといっても、週間感覚を非常に強く持つわたし達は、やはり週初めの取り組みで重要な仕事をまず、しっかりと攻略するという観点で利用するのが望ましいです。

そして、できなかったことがらを「繰り越す」記入欄をノートに作りましょう。見やすく忘れにくい右ページ上の部分など、工夫しておきます。繰越す→記入する→達成する→消す という一連の動作が、あなたの未来を変えるんです。

1日=24時間という狭い時間間隔を72時間に広げることで、どんなことも達成できてしまう幸運に恵まれるはずです。

著者の久瑠あさ美さんは、メンタルトレーナーとして活躍されている方です。人の心のスペシャリストなのです。本書の中扉にこのような一文がありました。

~人は「時間がある」と感じると、「できる」と思えます。

 そして「できる」と思うことで、達成率は劇的に高まる。

 24時間=「1日でやる」と、とらえるのと、72時間=「3日でやる」と、とらえるのとでは、

 どちらが「できる」と思えるのかは明らかです~

● 次に月間スケジュールで未来を創る!


72時間でできること=24時間でできることの3倍・・・という発想ではありません。3日間を均等に割り振っていくなら、なにも72時間という単語をキーワードに当てはめる必要がないからです。

72時間もあれば、大型の仕事やリフォームや海外旅行など、躊躇しがちなことがらにもワイドな気持ちで取り組めるようにメンタルが変化できるのです。


文中に、ケーススタディと称して5人の女性の時間管理に対する悩み相談が載ってます。目次を羅列しましょう。


Case1 Q「やりたくない」から抜けられず繰り越し続けてしまう。

Case2 Q「やりたいこと」を書いても実行できない。

Case3 Q  周囲に迷惑をかけるかと思うと「やりたいこと」に時間をさけない。

Case4    Q「やりたいこと」より「やらねばならないこと」をどうしても優先してしまう。

Case5 Q  自分の予定を入れる前に、他人の予定でいっぱいになる。


と、こんな女性たちのお悩みに、メンタルトレーナーである著者の久瑠あさ美さんが丁寧にお答えしています。どんな風に回答されているかは、ぜひ、本書でご覧ください!

● 時間がない!という思い込みをぐるっと変える方法


あれができない!これもできない!と、すべて時間のせいにしがちな人は、今すぐ思考の転換を図りましょう。


72時間は1冊のノートと1本のペン、わたしの72時間はまったくの0円で手に入ります。コスパ最強(笑)
こうした考え方を利用して、今まで以上にダイナミックに動いて行きませんか?

本書では紙の手帳を使って72時間で予定を管理する、という方法をお伝えしています。

前章では「週間スケジュール」を使って、より具体的にスケジューリングする効能を書き連ねてきました。使うペンの色は、仕事「黒」プライベート「赤」未来「青」でしたね。

ここでは、「月間スケジュール」の書き方や使い方をお伝えしていきます。

まず、月間スケジュールに書き込む項目は、「すでに決まっている予定」これは、仕事では会議や出張、アポイントメントなどです。そして、プライベートはデート、結婚式、旅行など恋人、友人や家族との交流、アクション予定ですね。

ここで一番重要なのが、「叶えたいことがら・夢」の欄を用意することです。週間スケジュールでは「繰り越し」の欄を用意するという指示でしたね。ここでは、ワクワクする夢や仕事で叶えたいキャリアなどを具体的に時間軸で着地点を決めてしまいます。

叶わなかったらどうしよう・・・とか、

無理ムリできるはずない・・・とか、

こういったマイナス思考を存分に取り除いて、自分だけの手帳にどんどん青ペンを入れて見ましょう。

そして、もしも決めた月に叶わなかったら、叶わなかった項目はチェックをして、そのつど、どうして叶わなかったのか?を自問自答しましょう。

目標を続行するか?

辞めるか?

こういった重要なことがらに手帳を通してしっかりと向き合うことで、自己肯定感が高まると著者も言われています。

なんでもない手帳で、自分の時間をコントロールし、本当に叶えたいこと、なりたい自分、将来の夢をどんどん、前向きに作り出せる方法なのです。

「72時間手帳術は、あなたの仕事・人生そして、未来を変えるためのエネルギーを引き出す源です。予定を書き込んだだけで満足してしまっては、もったいないのです。予定を書き込んだ後、その予定を何度も見返すことで、あなたに紐づいた72時間の感覚はどんどん強化されていきます。書き込んだ予定との付き合い方が上手くなると、自在に自分時間を生み出せるようになります」(文中引用)

著者の久瑠あさ美さんが、最後にいわれていた重要な部分を抜粋しました。

時間だけがすべての「人」に平等に「与えられて」いるものです。ただ、手に取って質感を感じることはできませんし、もちろん目にも見えません。

だからこそ、自分の時間の質を上げて、思い通りの人生を歩んで行きたいものです。

毎朝、毎晩の黄金タイムで、この「72時間手帳」から望む未来を創りだしましょう!

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【書籍名】72時間をあなたの手帳で管理すれば、仕事は劇的にうまくいく
【著者名】久瑠あさ美
【出版社】日経BP社
【第1版第1刷】2016/01/2
【こんな方に】やりたいことがやれない、時間貧乏
【キーワード】72時間  手帳 時間オンチ 時間のトリック
【頁 数】158ページ


【目 次】

 はじめに 自分の時間を取り戻す

 序章 「時間オンチ」は「時間のトリック」にはまっている

 第一章  1日24時間のフレームを外す

 第二章  72時間手帳術の書き方1;週間スケジュールであなたの時間を取り戻す

 第三章  72時間手帳術の書き方2;月間スケジュールであなたの未来を創りだす

 第四章  72時間手帳術で書き込んだ予定とのつきあい方;8つの極意

 第五章  自分の時間が見えれば、他人の時間も見えてくる

【著者・近々の作品紹介】

沈黙の春【選書・文化/環境問題】 

新型コロナウイルス感染に怯える2020年。今、自然からの警鐘をこの本で再確認している。

書籍原本

「自然は、沈黙した。いまはもの音一つしない。野原、森、沼地――みな黙りこくっている」「でも、敵におそわれたわけでもない。すべては、人間がみずからまねいた禍いだったのだ」文中より

2月~3月と、ひたひたと忍び寄るウイルスの恐怖を感じながら、日々外へと仕事に出ていた。仕事先のショッピングモールでは、マスクやトイレットペーパーの買いだめが怒涛のように起こり、群集心理に引きずられて、仕事の合間に行列に並んだ。

運よく100円均の30枚入りマスクを手に入れた時は、安堵する気持ちが沸き上がった。たかがマスクで?しかし、マスクがなければ営業の仕事には出られない。まず、1か月安心して働けるよう準備ができた。その後、会社から2度に渡る50枚入りのマスク配給には涙が出た。

3月24日からは、いよいよの自宅待機。4月7日の緊急事態宣言を受けて仕事のストップが決まった。長期休暇にもあたるこの不思議な期間を、今まで懸案だったブログを統合するサイトを構築し始めた。

そして、普段なかなか読めなかった名書もひも解き始めた。いつも仕事に出ている時間をそれにあてて、無駄に過ごさないように、徹底した自己管理を始めた。

沈黙の春(Silent Spring)は1962年に出版された。DDTを始めとする農薬などの化学物質の危険性を、鳥達が鳴かなくなった春という出来事を通し訴えた作品。 発売されて半年で50万部を超えた世界的な大ベストセラー。

SDGs、ESGなどの国連の取り組みや、気候変動や環境保護を訴えるグレタさん等、今では環境保護、気候変動への対処といったテーマが盛んに耳目を引いていることは間違いない。


著者レイチェル・カーソンは、この本で主にアメリカでの化学農薬の大規模な散布が、自然に破壊的影響を与えている実例数多く紹介し、警鐘を鳴らしている。


商務省、内務省での勤務で彼女自身が環境問題に関与したことから、実例は具体的な数値や、人間以外の動物、野鳥、昆虫、魚類と多岐に亘る生物への影響の具体例に裏打ちされて、大変説得力がある一書だ。


公害は高度成長路線に乗った世の中の、人的無差別テロと言い換えられるだろう。生物・植物と環境を切り離して論じてはならない。それを彼女は58年前に発信した先見性には敬意を払いたい。


改めて出所の分からないものの見極めと、成分の分からないものを口に入れないなど、情報リテラシーと判断基準の質的向上が必要なことと切実に感じた。新型コロナウイルスに対する対処への教訓ともなろう。

「沈黙の春」を久しぶりにひも解いて、アッ!と思い立ったこと。それはSNSとの付き合い方だ。SNSバーチャルの向こうには人がいる。考え方も生き方も違う無数の人たちが。

これまでわたしは、自分とは正反対の発言やヘイト、また遠巻きに人を揶揄するクセのある人はなるたけ遠ざけてきたし、おかしいと感じた投稿には、すかさずブロックをしていた。

今回、このブロックをすべて解除をした。それからいくつかのSNSで様々な整理をしてすっきりと総合ブログサイトを始められるように準備を進めたのだ。

今、まさにやらなければいけないことは、できるかぎり「純粋に」「素直に」なることだろう。そうでなければ、他人の意見や要請を受け入れられず、余計な知識や認識で目を曇らせて大事なことを見逃してしまうと感じたからだ。

時間がない!焦る気持ちをなだめながら、毎日、自分の人生の棚卸しをやり続けていた。あっという間の1か月だった。

緊急事態宣言の延長でしばらくはこの生活が続く。感染者数が圧倒的に多い東京がいつ宣言解除になるのか・・・まだまだ先は見えないが、ただ、少しずつ感染者数が減ってきてはいる。

だからこそ、希望を持ってこの豊富な時間を、今しかできないことに賢く費やそう。

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【レイチェル・カーソン関連書籍】

センス・オブ・ワンダー

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書くことで今すぐ仕事を得る!仕事をエンジョイできる文章術 【新刊案内】

5月15日、自身2作目となる電子書籍を発売しました。
https://mangabito.biz/?p=12219

今回の出版依頼を受けたのが2019年12月26日。はじめから文章術に関するテーマを頂きました。あらかじめ執筆テーマを提示されたことから、資料を集めたり文献を読む際も一切、迷う事がありませんでした。

年が明けて、資料や文献を集め始めた頃、新型コロナウイルス感染のパンデミックが起こり、感染予防から数多くの業種が瞬く間に廃業や閉店に追い込まれ、もちろん失業や内定取り消しを余儀なくされた人も大多数出ています。

少しでも、希望が持て役に立つ、仕事に結びつける書籍を書こう!と肚を決めて3週間で入稿を果たしました。敬体で読みやすく、きちんとした文章を書き切ることに専念しました。

タイトルの文章術とは、仕事を請け負うマインドを持つための内容に始終しております。言うなれば、上手く書くことより、伝えたいことが伝わる文章術のイロハです。

(株)Mangabito様のミッションに、役に立つから行動に移れる本という説明があります。その意味でも 読まれた方々がぜひ、何等かの形で内容を生かして頂けたら本望です。

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古暮 由実・コグレ ヨシミ