【ブログ新規追加1568回】
『ヒットの復権』バズの起点は作れる~柴 那典・著(中公新書ラクレ866)

簡単レビュー
日本の音楽が、世界で存在感を示している。
米津玄師、YOASOBI、Creepy Nutsらの楽曲がグローバルチャートのトップ10にランクイン。
J-POPを代表するアーティストたちが続々と海外に進出し、ワールドツアーは各地で熱狂を呼んでいる。
なぜ、いま日本の音楽が世界に届くようになったのか?
その背景には、2020年代になって生まれた新たな「ヒットの力学」があったのだ。
本書はその構造的な変化を、2016年からの10年間を辿りながら解き明かしていく。
CD不況とランキングの形骸化で「ヒットの崩壊」が叫ばれた2010年代から、コンテンツ産業が日本の基幹産業の一つとなった2020年代の「ヒットの復権」へ。
この10年で音楽シーン、そして音楽業界に何が起きたのかを、以下の3つのキーワードで読み解く。
「バイラル」 ── SNSとショート動画から国境を超えるヒットが生まれる現象
「アニメ」──アニメとJ-POPが深く結びつき世界に届く構造
「プラットフォーム」──ストリーミングサービスの普及、そして業界団体と行政の連携
「音楽には世の中の変化が最初に現れる」──日本発コンテンツの海外売上は約5.8兆円と、いまや半導体や鉄鋼を超える規模に成長。
コンテンツビジネス・メディア・エンタテインメント産業に関わるすべての人必読の一冊。
【もくじ】
第一章 2016年、変革の萌芽
第二章 2019年、音楽シーンの主役交代
第三章 2020年、コロナ禍で何が起こったか
第四章 2023年、新たなヒットの方程式の誕生
第五章 2025年、コンテンツ産業は日本の基幹産業へ
★★★
三連休の合間にちょっとした遊び気分で、日本のPOPSシーンが如何にバズったか?を紐解く一書を読んでみた。
そして、日本のPOPSシーンを論文的に解説されている文章を読む中、思い出したのが己の「卒業論文」だった。
音楽大学でも「卒演」だけでなく、いっちょ前に「卒論」があったのよ。
わたし達のHクラスでは、卒論を観て下さる担当教授が西洋音楽史専門の先生だ。
先生からは、「あなたは、最近の日本音楽史の何か?をテーマにするといいよ。そして枚数は250枚~300枚で書いてみてね」と。
一足先に夏季休暇中の先生から「どう?卒論のテーマは決まった?」と、最速の書中見舞いが届いたから、さあ、大変!
わたしといえば、夏休みは友達と伊豆七島へ行ったり、海へ毎週行ったり、バイトしたりで超忙しくしていて、すっかり「卒論」のテーマを考えておくことなんて忘れちゃっていた。
そして、9月になってから、重い腰を上げて、原稿用紙を30束(300枚)とありとあらゆる日本の音楽シーンを彩ってきた、名だたるアーティストの資料を大学図書館にこもってコピーし続けた。
PCもスマホもない時代、こうして図書館にこもって欲しい情報を集めることしかなかった。それはそれで楽しかったけど。
そして、ぎゅっと向き合った卒論のテーマは「日本のPOPSが消耗品になるこれから」とか題名をつけて先生にテーマ出しを観て頂いた。
先生は「あなたには合っているように思う。ザっと書いたらもっていらっしゃい!」と。前向きなお言葉でほっとしたのを今でも覚えているわ。
そして、10月~11月と卒論と格闘した。その11月に発売された松任谷由実のアルバム「昨晩お会いしましょう」(昭和56年/1981年)に収録された「カンナ8号線」を聴きながら最後まで一気に書いた。

「昨晩お会いしましょう」アルバム写真。
★★★
ここで「カンナ8号線」をまとめてみるよ。
• タイトルの由来と背景→植物の「カンナの花」と、東京都内を環状に走る「環状8号線(通称:環八)」を掛け合わせた言葉。
• 環八のカンナ→当時、環状8号線の世田谷区から杉並区あたりの中央分離帯には、排気ガスや強い日差しに強い「カンナの花」が実際に植えられていた。
• 楽曲の内容→失恋の切なさや過去の思い出を、真夏の環八を車で走る情景や力強く咲く赤いカンナの花に重ね合わせた、疾走感のあるアップテンポな名曲。その後大ヒット。
★★★
約2ヵ月間をかけて卒論に没頭したわたしを支えたのは、まぎれもなく「日本のPOPS=名曲」の数々だった。
卒論に日本のPOPSを選び、深堀りする中で知ったことは「音楽には、世の中の変化が最初に現れる」という現象があることだった。
当時は「世界へ打って出るための方程式」が無数に音楽の中には潜んでいて、それが飽和状態になって溢れたら、大ヒットする・・・。
日本のPOPSには名曲が多く蓄積も多いから、一過性ではないいわゆる消耗品にはならないだろう・・・という展望や期待感も文章に入れて書き上げた。
あれから44年が経ち、日本のPOPSシーンは、まさに百花繚乱じゃないか?
「何が起きるかわからないし、どこに正解があるのかわからない、得体の知れない混沌が文化」と、本書の著者が書いていた。
この書籍には、名だたるアーティストたちの活躍の裏側が書かれているだけでなく、2025年前後に世界的に知られることになった「青葉市子」のことも詳しく書かれていた。(わたしも知らなかった・笑)
久しぶりに音楽の話を書いたら、無償に色々と聞きたくなって最高の連休になったの。
そうそう、あたしがおばあちゃんになってら、ラジオとかでユーミンの歌が流れたら元気になる自信がある~(^-^)
それでは、また。

-------------------------------------------------旧記事更新
