『短編集・謎のクィン氏』アガサ・クリスティーを読んで~短編集には「暮らしの達人」が登場する嬉しさを見つけた🎶【選書・文化/推理小説】

【ブログ新規追加564回】

アガサ・クリスティーの推理小説は何が好き?

そう聞かれたらヤバイ(笑)だって、ほとんど読んでないんだもの!

映画で「オリエント急行殺人事件」やビデオで「「ナイルに死す」などを観た覚えがあるだけ。(TOPの写真は「ナイル殺人事件」1984版の画像を拝借した)

そこで、年末にアガサ・クリスティーの短編集「謎のクィン氏」を探して借りたのだ。このあたりで「世界の推理小説の女王」の作品を堪能したいと思ってね。

忙しい年末、おせちの煮物を煮る間、ちょっとの時間でも読める短編集。これでミステリー不足を補充できるかしら?

だって、ミステリアスなものや謎めいたものって、非現実的だとも思えるけど、普通の暮らしでも、頭のいい詐欺師はいっくらでも存在している。

そうした知恵の回る輩を捉えたり、回避したりするにはミステリーの持つ非凡な感性や手法はぜひとも習得してみたかったの。

また、わたしは大の「短編小説好き」だったのを思い出して、アガサ・クリスティーの作品が短編で読める!なんてとても、嬉しくなった。

謎のクィン氏』(クリスティー文庫) は大変に面白く、主人公のサタース氏、クィン氏ともに、とっても素敵な「暮らしの達人」だった。

簡単にレビューしよう。

アガサ・クリスティーが1930年に発表した短編集として三作目となる作品だ。


タイトルがすでに「謎」を彷彿させるが、原題の「The Mysterious Mr.Quin」の方が作品の雰囲気を伝えているかもしれない。


12篇の短篇が収められていて殺人事件を解くだけでなく、恋愛ミステリーと呼んでいいものもある。


12編すべてにクィン氏が登場する。

「黒髪で、陰気で、微笑んでいながら、悲しげ」に見えるハーリ・クィン氏。

彼は実は「探偵」でもないし、この短編集の主人公でもない。

主人公は、69歳の紳士サタース・ウェイト氏である。社交界にも通じる名手だ。

サタース・ウェイト氏のことを、アガサ・クリスティは「暮らしの達人」と称して主人公に据えている。

サタース氏は着る物から食べ物まで暮らしのあらゆることに、洗練された趣味のよさを持っている紳士なのだ。

まさに、「暮らしの達人」だと。

いい名称よね。(わたしもブログの名前を「暮らしの達人」と変えたくなっちゃった・笑)

サタース氏の姿は「人生という名前のドラマの熱心な研究者」であり、その研究の神髄は「人間たちが繰り広げる悲喜劇への並外れた興味」だと言い切る。

そこで、サタース氏が、偏愛ともいえる人間観察を投影させる相手として、「謎深い」クィン氏という同年代の男性紳士を登場させて、数々の殺人事件を解明していく・・・というストーリーだ。

この短編での読みどころは「クィン氏は謎を解かない」という一点だ。

クィン氏の謎ときの方法は、「その人間の持つ印象」に重きを持っていて、それをつぶさにサタース氏に伝えるのだ。

サタース氏も、次第にクィン氏が現われる時は、何か事件が起こる前兆だと考えるようになっていく。

いいや、サタース氏が自己投影した姿がクィン氏で、本当は実在しない人間なのかも・・・。

短編を読み進めると、読み手もサタース氏のようにクィン氏は何者なんだろう?と、思うように仕組まれている、見事な文章マジック!

やっぱり、ミステリーは読み手を騙してナンボ(笑)


 

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