映画『舟を編む』バリアフリー映画(視覚・聴覚ガイドつき)を無料で楽しむ一日【暮らし・映画鑑賞/旧記事更新48】

【ブログ新規追加1170回】

『舟を編む』原作・三浦しをん 

あらすじ

出版社に勤務する馬締(まじめ)は、並外れた言語感覚を見込まれ、辞書編集部に配属される。個性的な仲間たちと辞書の製作に取り組むが、下宿先の大家の孫娘に一目ぼれし、仕事が手につかなくなってしまう。

出版社の辞書編集部を舞台に、新しい辞書づくりに取り組む人々の姿を描き、2012年本屋大賞で第1位を獲得した三浦しをんの同名小説を映画化。

初公開から10周年となる本年3月、35ミリフィルム上映を含む期間限定リバイバル上映中。

              ★

3月23日(土)午後2時、市内図書館11階ホールで開催のバリアフリー映画を楽しみにしていた。

バリアフリー映画とは?大学病院などの待合などに設置されている「視覚・聴覚」に障害を持つ方々にも番組を楽しめるように、背景説明のナレーションが入る映像のことをさす。

今回は、幼少から全盲であり、図書館勤務26年の男性職員さんの、「街中で視覚・聴覚障害を持つ方に会った場合の接し方」のお話を聞く機会もセットされていた。(映画の前に15分程度)

1か月前に予約をしていた60人限定の無料映画。当日はキャンセル待ちの長い列ができていた。

2時間30分の大作であるが、まったく飽きさせないその濃い内容に圧倒された。映画満足度90%だそう!

『舟を編む』は出版業界の話で、同業のため興味が先行して発売当日に購入し、一気に読んだ記憶がある。

主人公が出版営業から辞典編纂への転身という、わたしにとっては身近な業界ネタだったから作品に没頭できた。

わたしは、若い頃に三省堂の辞書を専門に作る工場に1日だけのスポットでアルバイトに行ったことがある。(確か4時間で4800円を即金で頂いた)

主な仕事は、流れ作業で送られてくる薄紙の束を一度に4冊分ざっと拾い上げて次のレーンに乗せる作業だけだが、それが何しろコツがいる作業だった。

腰をしっかりと入れて、両腕を自由闊達(笑)に使いながら、辞書を4冊拾っては、次のレーンに並べるのを延々と繰り返す。

ただの薄紙だった紙の束が次のレーンに乗ると「合皮の表紙をつけられて辞書になって行く」様は面白かったな。

薄紙とインクの匂いも特有でね。それぞれが自由に15分間の休憩を黙々と取って作業に戻るのね。家の近所でこんな場所があるなんて「非日常感」も伴って不思議な体験だった。忘れられないアルバイトになったわ。

そして、現在では出版社で書店営業を担っている。もちろん辞書も売っている。

丁度、春の辞典フェア真っ最中。入学シーズンで辞書フェアが終わるGW後に展開頂く次のフェア企画を持ち込み中。

さて、辞書の世界だが、まだまだ終わってはいない。

電子辞書があるじゃない?!いえいえ、紙の辞書が今、再び熱いのだ。

子どもに辞書の引き方、使い方を紐解くセミナーなども書店等では開催されている。

現在では、両方持ちの学生が多いと書店員さんから聞いている。(電子辞書はモバイルで、家では紙の辞書でちゃんと調べる)

わたしの辞書使いの最たるものは、病気のリハビリ(ダメージを受けた脳細胞の再生)にと「毎日10ページ国語辞典を読む」という課題が与えられて、夫の辞書を入院先の病院まで届けてもらった記憶がある。(読んだら食べた?わけじゃないよ・笑)

そう、その時初めて「辞書は読むもの」だと知ったのだ。

『舟を編む』は、辞典を読み、例文や類語を知る楽しさ、言葉をつかさどる編集者の熱い思いに触れる名作。

書籍の紹介もここにしておこう。

『舟を編む』三浦しをん・著(光文社文庫)

辞書編纂は何年も時間を費やす、いわゆる「儲からない」と言われる部門。

それでも、チーム一丸となって1冊の辞書を編み上げて行く様は、まさに「舟」そのものだ。

わたしも新年度を迎えるにあたり、心新たに、一層身が引き締まった名画だった。

それでは、また!

ー--------------------------------------------旧記事更新48

『SunTAMA Style』2021年3月23日記事

『SunTAMA Style』2022年3月23日記事