『日本で、ヒュッゲに暮らす』イェンス・イェンセン PARCO出版【書評・文化】

【ブログ新規追加394回】

日本で、ヒュッゲに暮らす』イェンス・イェンセン・著(PARCO出版)

ヒュッゲって何語?デンマーク語だそう。綴りは「Hygge」と書く。動詞でも名詞でも使え、「Hyggelig(t)」と書けば形容詞にもなる。

この言葉の意味は、「嬉しい・悲しい」などの人が感じる気持ちを端的に表している言葉なのだそうだ。

ちなみに、みんなでお酒を呑んで、ワイワイやるのはヒュッゲとは言わない。

要するに「楽しい」という感情は違うのだそうだ。何やらめんどくさ・・・。

• チルってる?とヒュッゲは同意語かどうか

そこで、少し前に、日本の若い人の間で流行った「チル」という表現を思い出したのだ。

このチルとは、「のんびり・まったり」や「癒し」などの心身のリラックス状態を表す言葉。

若い人の間で特にネット上で流行ったスラング(俗語)だ。

テンポの遅い曲をチル系と呼んだり、そういったゆるいライフスタイルを好む人たちをチルアウト系と呼んだりするのだそうだ。

これって、デンマークのヒュッゲに似てない?ひたすら心地よい空間を求める生き方や仕事の仕方が日本でも若い人の間から沸き起こっていたのを思い出した。

• 著者のいうヒュッゲの実現には時間が必要

日本とデンマークの決定的な違いは時間の使い方だという。デンマークのライフワークバランスの取り方はこうだ。

1日を3つのブロックに分ける方法(①仕事8時間 ②自分の時間8時間 ③寝る時間8時間)だと。

日本人はもっと働いているように思うとも。その仕事時間革命を奥さんと始める著者。

そういった人間本来のあり方をデンマーク人でありながら日本に住んで体現している様を一冊にまとめた書籍だ。

• さっそく読後感想を。

たしかに、ちょっとおしゃれだが、著者自身の文章に男性特有の無骨さがある。

まず、仕事の時間配分について、日本人である奥さんの働き方に異論を唱え徹底的に話し合う。

その結果、奥さんが仕事を辞めて、本来やりたかった手仕事を始めるというくだりでは唖然としてしまった。

「すごく話し合った」のだという。すべてにおいてこの繰り返しだったら・・・。

ちょっとわたしには合わないと率直に感じた。

「日本人は仕事が命」そう言い切る著者。だが、どうだろうか?今の日本で先ほど取り上げた「チル」する若者の存在を知っているのであろうか?まあ、4年前だから仕方ないか。

じわじわと、周りが変化しているかもしれないよね。

自分の親世代の生き方をどこまでも大切にする著者。わたしには「圧」を感じる文面が多かったのも事実。

しかし、何か生き方の柱のようなものを求めている場合には、大いに取り入れるのもいいのかもしれない。

一冊の本から生活規範を学ぶのも悪くはないだろう。

この書籍は2018年刊行された。それから約4年の間にコロナをはじめ、大きく世界は変わったのだから、「今までの生活習慣がすべて正しい」とはとても言えないと感じた。

                 ☆彡

もくじ

はじめに

1章 ヒュッゲなインテリア

2章 おいしい時間のヒュッゲ

3章 心がふれあうヒュッゲ

おわりに

•さて、 簡単レビューを書く

~北欧デンマーク流ライフスタイル“ヒュッゲ”で心地よく暮らすアイデア。

家具・食事・時間の工夫で変わる。

日本で“ヒュッゲ” を感じて豊かに生きるヒントがいっぱいデンマーク+日本の混合ヒュッゲで暮らしをもっと楽しもう~

                ☆彡

徹底的に「心地よく暮す」に注力した本だ。

子育て、パートナーシップ、コミュニティの在り方、仕事の仕方など様々な範囲を網羅している。

しっかし、おしゃれな北欧ばかりじゃないよ!と、小さなパンチを喰らった一冊。

たまには合わない本も紹介したくて登場させた。

興味があればぜひ!